単身赴任しているお父さんの家に押し掛けてみた!

小春かぜね

文字の大きさ
166 / 167
番外編

第87話 その夜見た夢 その6

しおりを挟む
「なぁ……蛇の姿をしているけど、実は母さんでは無く小春だろ?」

「……」

 大蛇は口は開かなかったが、俺の頭の中に大蛇が話し掛けてきた!

『私は小春では無いよ。蛇さんだよ♪』

 大蛇は小春では無いと言うが、しゃべり方は小春瓜二つで有った。
 いや、思いっ切り小春だろ!?

「小春…。其処をどいてくれないか?」
「俺なんか食べても美味しくは無いぞ……」
「それに、猫も気になる…」

『あら! そんな事無いわよ♪』
『人間は美味しい物をたくさん食べているから、さぞ美味しいお肉でしょうね♪』

 大蛇は舌舐めずりをしながら言う。
 ふざけているのかと言いたいが、俺ではこの大蛇には勝てない。
 猫の事はスルーされた?

「小春……本気で、俺を食べたいのか?」

『えぇ! 猫にちょっかい出した人は、食べなくては成らないわ♪』
『この猫は直ぐに人を求めるから……私も困っているのだよ♪』
『それに何度も言うけど、私は小春じゃ無いよ♪』

「猫が人を求めるのは猫の勝手だろ?」
「それとも何だ、あんたは此処のぬしか!」

『うん! 主!!』
『そして、この鴉は私の右腕!!』

「カァ~~!」

 此処で鴉が一鳴きする。

『普段はこんな事しないけど……猫があなたを好いてしまった様だから、私はあなたを食べなくては成らない』
『この猫は、あなたの元に付いて行く気満々だからね♪』

『そうなると、私に不都合が起きるのだよ♪』
『詳しい事は、割愛♪』
『だから、食べる!』

『今まで、この猫に懐いた人はみんな食べたわ♪』
『私は優しい蛇だから、有る程度鴉に食べさせてから、丸呑みする!♪』

(これは不味い! 話が通じない!!)
(それに、それを優しいとは言わない!)

 半殺しの状態で、鴉に突かれたら冗談では無い!
 正面突破は無理のため、俺は反転する事を決め、第2駐車場の方に逃げようと体の向きを変えるが……

「あれ!?」
「道が無く成っている!!」
「なんで急に道が消えた!!」

 俺の後方は少し開けた場所に成っているが、道が完全に消えていた。行き止まりで有る。獣道すら無い!
 俺は確かに第2駐車場から、こっちに来ていたのに!!

『さて!』
『これ以上お話しすると、あなたに未練が出て来るから、いただくね♪』
『怖いのは一瞬だから、安心して♪』

 大蛇はそう、俺の頭の中に言って、蛇が捕食する体勢に入る。
 猫はさっきの攻撃ダメージが大きかったらしく、その場から動けない状態で有った。

「母さん!」
「冗談は止めてくれ!!」
「俺がこの世で、一番愛しているのは母さんだけだ!!」

 俺がそう、大蛇に訴え掛けると……大蛇は表情を変える!

『うゆ!』
『何時もそう言うけど……結局、咲子に好意を寄せているのがバレバレなんだよ!!』

「やっぱり、蛇は母さん(小春)では無いか!!」
「食べる冗談なんてよしてくれ。心臓に悪い……」

 俺はそう言うが、母さんは捕食する体勢を崩さない!?

『…どうせ、今から私に食べられるのだから、冥土の土産で教えて上げたのよ!』
『咲子の誘惑に乗った、おバカお父さんを食べます!!』
『私は本気だよ!』

 此処で大蛇は母さんと自白したが、今までのは演技なのか本当なのか??
 大蛇はゆっくりと……俺の頭上に迫ってくる!!

「冗談は止めろ! なっ、母さん!!」
「咲子に二度と、誘惑されないから!!」

 母さんは大蛇なのに、悲しそうな表情を見せる!

『もぅ、遅いよ……お父さん』
『咲子は、お父さんを本当に好き成ってしまった…』
『お母さんはそれに耐えられないけど、咲子を食べる訳にはいかない。私の娘だから……』

『だから、私の家族を守るのと、私の血肉のために、お父さんをいただきま~す♪』
『今まで、ありがとう~~♪』

「やめろ、こはる!!」

「うがあぁぁ~~♪」

 鴉は『ざまあみろ!』の表情をして、大蛇は本当に嬉しそうな笑顔で大口を開けて、俺を……

 ……

「はっ!!」

 俺は目が覚める……
 此処は大蛇の胃袋で無く、単身赴任先の部屋で有った……
『助かった』と言えば良いのだろうか??
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。 ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。 健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。 事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。 気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。 そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。 やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています

六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった! 『推しのバッドエンドを阻止したい』 そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。 推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?! ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱ ◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!  皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*) (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

処理中です...