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色無の魔女①
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曇り一つもない青空に日差しが優しく差している。
森の中をジャンヌは溜息を吐いてから、目の前の木に向かって飛び蹴りをする。
木が割れ、後ろへ倒れ込もうとした時、「わぁ」と情けない声と共に、木から何かが飛び出した。分かり切っていたが、やはりアキセ・リーガンが隠れていた。いつものように。
「急に何するんだ!」
アキセが怒鳴る。
「死んだらどうする?」
「死ねば」
ジャンヌがそっけなく返す。
「これであんたから解放されるならせいせいする」
アキセが目を吊り上げる。
「そもそも、あんたが大ッ嫌いなの!私の行く先にいつもいっつも私を巻き込みやがって!」
「助けた時もあるだろうが!」
「いつも私がやられてからでしょうが。助けてもらっても邪心が混ざって嬉しくないし。迷惑かけた罪が大きすぎて、生存中に祓える気がしないから、死をもって償いなさい!この悪質トラブルストーカー!」
ジャンヌは、今までの鬱憤を一気に言い放つ。
「あっそ。勝手にしろ!」
アキセは怒り返した。
「はいはい。そうし・・・」
振り返れば、そこにはアキセの姿なかった。
「珍しくすぐに消えた」
歩き出そうとした時、倒れた木の元に何か落ちてあった。
「何、これ?」
ジャンヌは、布で包まれた小物を拾う。布を広げれば、手で収まるくらいの丸い鏡だった。
「鏡?」
どうみても普通の鏡しか見えなかった。アキセの落とし物とすれば、おそらくコルンからまた盗んだものだろう。あとでコルンに返すことにしたため、ジャンヌは鏡をしまう。
「何これ・・・」
愕然としてしまった。
目の前には、色を失った景色が広がっていた。木、花、川の色が灰色になっていた。
唯一色が残っているとしたら、真っ青な空だけだった。太陽が照らしているおかげなのか、空までは色を失っていない。
近くにあった花を触れただけで形を失い、灰の山になった。
「これって・・・」
突如鈴の音が鳴る。この音を聞いただけで不快を感じる。
「魔女に決まっているでしょ」
聞き覚えのある女の声。
振り向けば、枝の上で足をぶらぶらさせながらかざなりの魔女ウィム・シルフがいたが、すかさずロザリオで白い炎を放つ。
ウィムは枝を足に絡め、後ろへ回転する。白い炎は空の彼方へ飛んでいった。
「何するのよ!」
「それはこっちのセリフだ!」
声を上げる。
「散々私を使いやがって!」
吸血鬼の結婚阻止させるために使われ、しかもありもしない噂を流した。そもそもアキセと付き合っているという噂を流してからロクなことがなかった。
完全に魔女に踊らされ、ウィムを退治しきれていない自分にも嫌気が差す。
「もう殺してやる!」
鋭い目つきをするジャンヌはロザリオを出す
「あーそんなことするんだ。じゃあ教えない」
ウィムは不貞腐れる。
「いいの。この原因の魔女知っているんだけどな」
ジャンヌは瞬時にウィムに飛び込み、枝から地面に落とし、ウィムの首元にロザリオをかざす。
「さっさと言え」
これは利用する。敵の情報を知るためなら手段を選ばない。
「はい・・・」
ウィムが冷や汗をかく。
「あの魔女わね。色無(いろむ)の魔女レス・フェルベゴール。姿を持たない魔女なの」
「姿を持たないって?」
「だから周りに色がないの。色を奪って姿を取り戻そうとしているの」
「へ~もしかして、弱点も知っているの」
「そうだよ」
「言え」
「けど辞めた。あたいに刃向けたから」
唐突に風が吹き、葉も風と一緒に踊る。
晴れれば、ウィムがいなかった。
「あーでも、レベル高めなヒントを教えてあげる」
森の中が木魂する。
「私からの最大のヒント。あの魔女は愚か者よ」
耳元で囁く。ウィムが耳元にいる。振り向けば、姿がない。
「じゃあ、頑張ってね。遠くから祈っているから」
鈴の音が鳴る。
いつものことだから、いちいち驚かない。
ウィムの情報が事実だとしたら、厄介な敵には変わりない。
まだ日は昇っている。沈む前に狩らなければならない。相手が見えないとしたら、どうやって戦う。
その時、唐突に静かになった。
「きれいないろ・・・」
不気味な声と共に背後からジャンヌの顔の横に手が伸びていた。
その手は、包み込むように顔に近づくが、ジャンヌは手に白い炎を生み出し、伸びた手を掴む。伸びた手に白い炎が包み込む。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
悲鳴を上げる魔女がひるんでいる隙に前に出る。距離を取り、ロザリオを構える。
敵の正体を確認するも姿がない。白く燃え下がる手しか視認できなかった。しかも手についた白い炎を吸い取った。
「うそでしょ・・・」
魔女が『呪い』を浄化する『光』を吸収した。
ありえない。いくら抗体を持っているからという問題ではじゃない。
「いいな。きれいないろだなあ・・・ほしいな・・・ほしいな・・・」
声だけが響く。
「ほしいな!」
木の間から黄色く狂気に満ちた目玉が睨まれ、声を上げる。
手が伸びてくる。白い炎を迎え撃つ。
「ああああああああああああああああああああああああああああああ」
魔女は悲鳴を上げる。その隙に森の奥へと一旦逃げる。
森の中をジャンヌは溜息を吐いてから、目の前の木に向かって飛び蹴りをする。
木が割れ、後ろへ倒れ込もうとした時、「わぁ」と情けない声と共に、木から何かが飛び出した。分かり切っていたが、やはりアキセ・リーガンが隠れていた。いつものように。
「急に何するんだ!」
アキセが怒鳴る。
「死んだらどうする?」
「死ねば」
ジャンヌがそっけなく返す。
「これであんたから解放されるならせいせいする」
アキセが目を吊り上げる。
「そもそも、あんたが大ッ嫌いなの!私の行く先にいつもいっつも私を巻き込みやがって!」
「助けた時もあるだろうが!」
「いつも私がやられてからでしょうが。助けてもらっても邪心が混ざって嬉しくないし。迷惑かけた罪が大きすぎて、生存中に祓える気がしないから、死をもって償いなさい!この悪質トラブルストーカー!」
ジャンヌは、今までの鬱憤を一気に言い放つ。
「あっそ。勝手にしろ!」
アキセは怒り返した。
「はいはい。そうし・・・」
振り返れば、そこにはアキセの姿なかった。
「珍しくすぐに消えた」
歩き出そうとした時、倒れた木の元に何か落ちてあった。
「何、これ?」
ジャンヌは、布で包まれた小物を拾う。布を広げれば、手で収まるくらいの丸い鏡だった。
「鏡?」
どうみても普通の鏡しか見えなかった。アキセの落とし物とすれば、おそらくコルンからまた盗んだものだろう。あとでコルンに返すことにしたため、ジャンヌは鏡をしまう。
「何これ・・・」
愕然としてしまった。
目の前には、色を失った景色が広がっていた。木、花、川の色が灰色になっていた。
唯一色が残っているとしたら、真っ青な空だけだった。太陽が照らしているおかげなのか、空までは色を失っていない。
近くにあった花を触れただけで形を失い、灰の山になった。
「これって・・・」
突如鈴の音が鳴る。この音を聞いただけで不快を感じる。
「魔女に決まっているでしょ」
聞き覚えのある女の声。
振り向けば、枝の上で足をぶらぶらさせながらかざなりの魔女ウィム・シルフがいたが、すかさずロザリオで白い炎を放つ。
ウィムは枝を足に絡め、後ろへ回転する。白い炎は空の彼方へ飛んでいった。
「何するのよ!」
「それはこっちのセリフだ!」
声を上げる。
「散々私を使いやがって!」
吸血鬼の結婚阻止させるために使われ、しかもありもしない噂を流した。そもそもアキセと付き合っているという噂を流してからロクなことがなかった。
完全に魔女に踊らされ、ウィムを退治しきれていない自分にも嫌気が差す。
「もう殺してやる!」
鋭い目つきをするジャンヌはロザリオを出す
「あーそんなことするんだ。じゃあ教えない」
ウィムは不貞腐れる。
「いいの。この原因の魔女知っているんだけどな」
ジャンヌは瞬時にウィムに飛び込み、枝から地面に落とし、ウィムの首元にロザリオをかざす。
「さっさと言え」
これは利用する。敵の情報を知るためなら手段を選ばない。
「はい・・・」
ウィムが冷や汗をかく。
「あの魔女わね。色無(いろむ)の魔女レス・フェルベゴール。姿を持たない魔女なの」
「姿を持たないって?」
「だから周りに色がないの。色を奪って姿を取り戻そうとしているの」
「へ~もしかして、弱点も知っているの」
「そうだよ」
「言え」
「けど辞めた。あたいに刃向けたから」
唐突に風が吹き、葉も風と一緒に踊る。
晴れれば、ウィムがいなかった。
「あーでも、レベル高めなヒントを教えてあげる」
森の中が木魂する。
「私からの最大のヒント。あの魔女は愚か者よ」
耳元で囁く。ウィムが耳元にいる。振り向けば、姿がない。
「じゃあ、頑張ってね。遠くから祈っているから」
鈴の音が鳴る。
いつものことだから、いちいち驚かない。
ウィムの情報が事実だとしたら、厄介な敵には変わりない。
まだ日は昇っている。沈む前に狩らなければならない。相手が見えないとしたら、どうやって戦う。
その時、唐突に静かになった。
「きれいないろ・・・」
不気味な声と共に背後からジャンヌの顔の横に手が伸びていた。
その手は、包み込むように顔に近づくが、ジャンヌは手に白い炎を生み出し、伸びた手を掴む。伸びた手に白い炎が包み込む。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
悲鳴を上げる魔女がひるんでいる隙に前に出る。距離を取り、ロザリオを構える。
敵の正体を確認するも姿がない。白く燃え下がる手しか視認できなかった。しかも手についた白い炎を吸い取った。
「うそでしょ・・・」
魔女が『呪い』を浄化する『光』を吸収した。
ありえない。いくら抗体を持っているからという問題ではじゃない。
「いいな。きれいないろだなあ・・・ほしいな・・・ほしいな・・・」
声だけが響く。
「ほしいな!」
木の間から黄色く狂気に満ちた目玉が睨まれ、声を上げる。
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