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複霊の魔女⑤
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「何、面倒くさくさせるのよ」
「あいつより君の方がいいから」
ジャンヌとアキセは、町外れまで走っていた。
「あっそ」
目の前でレオンが魔女レオンを連れていかれたらしく、アキセはレオンを無視してジャンヌの元へ来たという。
「ちゃんと追跡術かけてあるから、分かっているって」
いつの間にレオンにかけただろうか。唐突にアキセが立ち留まったので、勢いよく足を止める。
「急に止まらないで!」
アキセは無視して、周囲を見回している。
「え~と、ほら見つけた!」
アキセが指をさす。
空に黒い点のようなものが飛んでいる。おそらくレオンと魔女レオンだろう。
「さて、どうしますか。ジャ!」
アキセの胸倉を掴む。
「え!?」
ジャンヌは、足を大きく踏み、「行ってこい!」と腕の力でアキセを投げ込む。
「ああああああああああああああああああああああ」
アキセの悲鳴が響く。
狙い通り。レオン魔女に当たる。鐘が鳴ったような音が響き、垂直に落ちる。
「よし!」
ガッツポーズをしてジャンヌは駆け込む。
駆け付けた先は、3人とも伸びていた。
よく見れば、レオンは口と体に縄で縛っている。これで精霊術を封じられていたのか。
アキセが頭を抱えながら起き上がる。
「俺を・・・」
アキセは鋭い目つきを向けてくる。
「いやだって、あんたの問に答えだけ。それに丁度いい砲弾だったから」
「だからって・・・」
アキセが睨みつける。
「何よ」
別の声がしたと思えば、魔女レオンだった。
夜で暗かったため、顔はよく見えなかったが、改めてみれば、レオンとそっくりだった。
金髪の長い髪、黒いワンピース。決定的に違うのは、耳が短く、胸があることと『呪い』を少量散らばっている。
「このアマ!いきなり!」
魔女レオンにロザリオを向ける。
「うるさい黙れさっさと魔女を言え」
単調にドスが入った声で言う。
「ほう。本当にそっくりだな。これならイケる」
アキセの発言に縛っているレオンがふがふがと反抗する。
その発言に呆れた視線をアキセに送る。
「おい。なんだよ。いいじゃねえか。女だからいいだろ」
「そこじゃない」
その時だった。
魔女レオンの背後から幽霊が飛び出した。
思わず後ろへ下がる。
「ありゃりゃりゃ。逃げきれなかったか」
抜ける声が奥から聞こえた。
腰に2本の剣を持っている。中性的な顔。髪も目も全体的に白と黒で、左右対称ではないおかしな服を着た女だった。
「大丈夫?」と心配に言う。
「よかったね」と子供のように言う。
「ここで殺そうぜ」と暴言に言う。
一口言うたびにしゃべり方が違っていた。
「みんな同時に話さないでよ~わからなくなるよ~」
抜けるように話す。
女は静かに見つめる。
「いや~聖女さん。こんにちは。僕の名前は、複(ふく)霊(れい)の魔女ソルティ・マクベスだよ」
「あら、ご丁寧にどうも。じゃあ、あんたが事件の発端ね」
ジャンヌはロザリオを構えてにらみつける。
「そうだよ。ここ、僕の実験場なんだ」
「へ~人格とか幽霊を生み出すことか」
「え?何!聞いてくれるの!じゃあ聞いて聞いて!」
目をキラキラに輝くソルティが聞いてほしそうだ。
「ほら。誰だってなりたい自分ってあるでしょ」
ソルティが淡々と話す。
「その願いを叶えたらどうなるのかなってね。なりたい自分を鏡の前で思えば、新しい人格が生まれる仕掛けになっているんだ。でもそれだと鏡を見るたびにどんどん人格が生まれるでしょ。そしたら、いらない人格がゴミのように捨てられたのが、あの幽霊たちなんだ」
「やっぱりね」
「あれ、分かっていたの?賢いね」
ソルティは感心する。
「新しい人格を生み出すにしても、一つの体に収まるほど人間はタフじゃない」
「そうだね。自身を保つためにしたことなんだよね。けど、幽霊たちもそのまま黙っていられない。本能的に自身の体に帰りたがっているんだ。まあ、その幽霊たちを食べるのも美味しいんだ。また違った味がしてさ」
無邪気にソルティは話す。
人格を生み出し、自身を保つために過去の人格は捨てられる。捨てられた人格も体を取り戻そうと人間を襲う。それで二つの噂に繋がる。
それだと。
「じゃあ、レオンとあのバカに関してなんなの。他と違うけど」
アキセは多重人格。レオンはもう一人生み出している。これはどうなっているだろうか。
「ん~、そこのリリムは、お互い自我が強いからなかなか人格が抜けないのかな。その現象ってだいだい欲情が高い人ばかりそうなるんだよね。不思議」
アキセに嫌味の視線を向ける。
「おい、なんだよ。その目」
アキセがいう。
「そこの多重欲情男はどうでもいいんだよ」
「おい!」とアキセが言っていたが、無視するソルティは視線を変える。
「そこの二人に興味があるの」
ソルティが指した二人とは、レオンと魔女レオンだった。
「まさか分身が生まれるとは思わなかった。初めてのことだから僕も驚き~綺麗にエルフと魔女に分かれた。お互いが力を持っているから、幽霊みたくならなかったんだね~」
「ちょっと待て!」
横からレオンが入ってきた。いつの間に口に縛っていた縄が解いていた。
「なんで俺の分身が女になっているんだ。しかも魔女に!」
「ん~、やっぱ魔女の血が濃いからじゃないの。それともやっぱ、女の子になりたかったんじゃないの?」
イタズラな瞳でソルティはからかうように言う。
「そんなことはない!」
全力で拒否するレオンだった。
「僕はもう少し研究したいところだし。だから邪魔しないでくれる」
ソルティの目つきが鋭い殺意の目に変わった。
「聖女」
ソルティの背後から幽霊が飛び出す。
おそらく魔女の使い魔だろう。使い魔ならロザリオの一振りで払える。
ロザリオに白い炎を纏い、白い炎の波を放つ。
幽霊は蒸発するように消えるが、さらに大量に幽霊が襲ってくる。
「たく!」
「ありゃりゃりゃ。やっぱ聖女相手はきついか」
ソルティはジャンヌにやられる幽霊を眺めている。
「ねえ、やっていい?」
「え~、僕逃げたいんだけどな~」
「いいだろ。最近体がなまっているんだ。動きたい~」
「分かったよ。やるなら、確実に殺しなよ」
「へ~い」
ソルティの目の色が変わった。
「やっほー」とテンション高い声を上げる、
ソルティは高く上げた二本の剣を振り下げるも、ジャンヌはロザリオで受け止める。
「さあさあ!楽しもうぜ!聖女!」
鋭く目つきをジャンヌに向ける。
「この多重人格が!」とジャンヌも声を上げる。
「あいつより君の方がいいから」
ジャンヌとアキセは、町外れまで走っていた。
「あっそ」
目の前でレオンが魔女レオンを連れていかれたらしく、アキセはレオンを無視してジャンヌの元へ来たという。
「ちゃんと追跡術かけてあるから、分かっているって」
いつの間にレオンにかけただろうか。唐突にアキセが立ち留まったので、勢いよく足を止める。
「急に止まらないで!」
アキセは無視して、周囲を見回している。
「え~と、ほら見つけた!」
アキセが指をさす。
空に黒い点のようなものが飛んでいる。おそらくレオンと魔女レオンだろう。
「さて、どうしますか。ジャ!」
アキセの胸倉を掴む。
「え!?」
ジャンヌは、足を大きく踏み、「行ってこい!」と腕の力でアキセを投げ込む。
「ああああああああああああああああああああああ」
アキセの悲鳴が響く。
狙い通り。レオン魔女に当たる。鐘が鳴ったような音が響き、垂直に落ちる。
「よし!」
ガッツポーズをしてジャンヌは駆け込む。
駆け付けた先は、3人とも伸びていた。
よく見れば、レオンは口と体に縄で縛っている。これで精霊術を封じられていたのか。
アキセが頭を抱えながら起き上がる。
「俺を・・・」
アキセは鋭い目つきを向けてくる。
「いやだって、あんたの問に答えだけ。それに丁度いい砲弾だったから」
「だからって・・・」
アキセが睨みつける。
「何よ」
別の声がしたと思えば、魔女レオンだった。
夜で暗かったため、顔はよく見えなかったが、改めてみれば、レオンとそっくりだった。
金髪の長い髪、黒いワンピース。決定的に違うのは、耳が短く、胸があることと『呪い』を少量散らばっている。
「このアマ!いきなり!」
魔女レオンにロザリオを向ける。
「うるさい黙れさっさと魔女を言え」
単調にドスが入った声で言う。
「ほう。本当にそっくりだな。これならイケる」
アキセの発言に縛っているレオンがふがふがと反抗する。
その発言に呆れた視線をアキセに送る。
「おい。なんだよ。いいじゃねえか。女だからいいだろ」
「そこじゃない」
その時だった。
魔女レオンの背後から幽霊が飛び出した。
思わず後ろへ下がる。
「ありゃりゃりゃ。逃げきれなかったか」
抜ける声が奥から聞こえた。
腰に2本の剣を持っている。中性的な顔。髪も目も全体的に白と黒で、左右対称ではないおかしな服を着た女だった。
「大丈夫?」と心配に言う。
「よかったね」と子供のように言う。
「ここで殺そうぜ」と暴言に言う。
一口言うたびにしゃべり方が違っていた。
「みんな同時に話さないでよ~わからなくなるよ~」
抜けるように話す。
女は静かに見つめる。
「いや~聖女さん。こんにちは。僕の名前は、複(ふく)霊(れい)の魔女ソルティ・マクベスだよ」
「あら、ご丁寧にどうも。じゃあ、あんたが事件の発端ね」
ジャンヌはロザリオを構えてにらみつける。
「そうだよ。ここ、僕の実験場なんだ」
「へ~人格とか幽霊を生み出すことか」
「え?何!聞いてくれるの!じゃあ聞いて聞いて!」
目をキラキラに輝くソルティが聞いてほしそうだ。
「ほら。誰だってなりたい自分ってあるでしょ」
ソルティが淡々と話す。
「その願いを叶えたらどうなるのかなってね。なりたい自分を鏡の前で思えば、新しい人格が生まれる仕掛けになっているんだ。でもそれだと鏡を見るたびにどんどん人格が生まれるでしょ。そしたら、いらない人格がゴミのように捨てられたのが、あの幽霊たちなんだ」
「やっぱりね」
「あれ、分かっていたの?賢いね」
ソルティは感心する。
「新しい人格を生み出すにしても、一つの体に収まるほど人間はタフじゃない」
「そうだね。自身を保つためにしたことなんだよね。けど、幽霊たちもそのまま黙っていられない。本能的に自身の体に帰りたがっているんだ。まあ、その幽霊たちを食べるのも美味しいんだ。また違った味がしてさ」
無邪気にソルティは話す。
人格を生み出し、自身を保つために過去の人格は捨てられる。捨てられた人格も体を取り戻そうと人間を襲う。それで二つの噂に繋がる。
それだと。
「じゃあ、レオンとあのバカに関してなんなの。他と違うけど」
アキセは多重人格。レオンはもう一人生み出している。これはどうなっているだろうか。
「ん~、そこのリリムは、お互い自我が強いからなかなか人格が抜けないのかな。その現象ってだいだい欲情が高い人ばかりそうなるんだよね。不思議」
アキセに嫌味の視線を向ける。
「おい、なんだよ。その目」
アキセがいう。
「そこの多重欲情男はどうでもいいんだよ」
「おい!」とアキセが言っていたが、無視するソルティは視線を変える。
「そこの二人に興味があるの」
ソルティが指した二人とは、レオンと魔女レオンだった。
「まさか分身が生まれるとは思わなかった。初めてのことだから僕も驚き~綺麗にエルフと魔女に分かれた。お互いが力を持っているから、幽霊みたくならなかったんだね~」
「ちょっと待て!」
横からレオンが入ってきた。いつの間に口に縛っていた縄が解いていた。
「なんで俺の分身が女になっているんだ。しかも魔女に!」
「ん~、やっぱ魔女の血が濃いからじゃないの。それともやっぱ、女の子になりたかったんじゃないの?」
イタズラな瞳でソルティはからかうように言う。
「そんなことはない!」
全力で拒否するレオンだった。
「僕はもう少し研究したいところだし。だから邪魔しないでくれる」
ソルティの目つきが鋭い殺意の目に変わった。
「聖女」
ソルティの背後から幽霊が飛び出す。
おそらく魔女の使い魔だろう。使い魔ならロザリオの一振りで払える。
ロザリオに白い炎を纏い、白い炎の波を放つ。
幽霊は蒸発するように消えるが、さらに大量に幽霊が襲ってくる。
「たく!」
「ありゃりゃりゃ。やっぱ聖女相手はきついか」
ソルティはジャンヌにやられる幽霊を眺めている。
「ねえ、やっていい?」
「え~、僕逃げたいんだけどな~」
「いいだろ。最近体がなまっているんだ。動きたい~」
「分かったよ。やるなら、確実に殺しなよ」
「へ~い」
ソルティの目の色が変わった。
「やっほー」とテンション高い声を上げる、
ソルティは高く上げた二本の剣を振り下げるも、ジャンヌはロザリオで受け止める。
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