魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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獅炎の魔女③

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「何するのよ!」
 ジャンヌはアキセに怒鳴る。
 アキセと一緒に転送され、今は森の中にいた。
「なんだよ。助けてあげたって言うのに」
「まだヒュパティアが!」
「そんな余裕があるか。あの魔女はいつもと違うぞ」
「そんなの分かってる!なおさら、ヒュパティアを!」
「見つけた」
 ボルガの声。その声だけで心臓が止まるところだった。
 顔を見上げれば、ボルガが目の前に立っていた。
 ボルガはすかさずアキセを蹴る。木が何本もなぎ倒されていきながら、アキセは奥へと飛ばされる。
「も~逃げないでよ。何気に100キロも離れてさ」
 あの場所からそれだけ離れているのに、一瞬でしかも時間も経っていないのに。それにあの時、アキセが魔術で生み出した水を浴びたはず。火は水に弱いが、弱まった様子がない。水が弱点というわけではないのか。
 ボルガの手に何かを掴んでいると思えば、ヒュパティアを掴んでいる。
「ヒュパ・・・」
「大丈夫。まだ息あるよ。殺したらジャンヌと戦えないだろう。あんまり人質っていうのも好きじゃないんだけど。こうしないと相手してくれないからさ」
 ボルガはヒュパティアの左足を踏みつける。
「あああ!」
 ヒュパティアを後ろへ投げる。
「さあ。やようよ!」
 ボルガは子供のようにはしゃぐ。
「だったら、ヒュパティアを聖女の地に送らせてよ。その後で」
「ダメ」
 ボルガははっきり言う。
「そのまま逃げるつもりだろ。騙されないよ」
 さすがに読まれたか。
「俺は強くなる相手には殺さないつもりだよ。だって相手がいなくなるからね。君も強くなるよ。だからさ。死なない程度に戦うからさ。そうだな」
 ボルガが考えこむ。
「じゃあ。あの聖女が死ぬまでは相手してよ」
あくどい魔女らしい。
このままではヒュパティアは死ぬ。逃がす気がない。
 ラクシュミーと合流まで時間を稼ぐしかないか。だとしてもいつまで。あの場所から離れた。ヒュパティアがそれまで耐えるが怪しい。
 殺すつもりがなければ、ヒュパティアを聖女の地に送らせることを優先するしかない。動きを止めるっていうほどの相手ではない。今は昼間。日差しで『光』が充満している。光の鏡を作るにも時間がかかる。だったら。
「来ないならこっちから行くよ!」
 ボルガが拳を込める。
 もうやるしかない。時間を稼ぐ。
――イヴ様。お願いします
 ボルガの戦いは肉弾戦。距離を取りながら戦うしかない。
 真っすぐきた拳を避けただけでは次の手が来る。足に白い炎を噴射し、後ろへ距離を取りながら、白い炎を放つ。
空を飛んで戦うのもあるが、離れすぎてはヒュパティアにまだ何かするかもしれない。
避けやすく、少し浮かせた状態で戦う。
 ボルガは白い炎を受けても、距離を詰めていく。また、拳を込める。
 白い炎を噴射し、足を思いっきり上げ、円を描くように体を回して避ける。ボルガから距離を取りながらも、ロザリオを大きく振り、白い炎の刃を放つ。ボルガは拳を後ろに大きく振り、白い炎の刃を砕ける。
 ジャンヌが着地した途端に、ボルガが迫り、右腕を掴まれる。
 腹に膝を食らう。岩がぶつけたような重い膝蹴りだった。
 倒れそうになる体を足で踏ん張る。ロザリオの頭でボルガの右腕の関節に押す。掴まれた手を離れさせ、すぐに距離を取る。
 乱れた息を整えながら腹を抑える。
 本気を出していない。手加減しているにしても、衝撃がかなりあった。それにしても。
――何あいつ。マジで『光』効かないんだけど。
 白い炎をぶつけても全然効かない。結晶を飛ばしてもすぐに砕かれる。
 後は直接体内に『光』を注ぐしかないが、絶対に接近したくない。
「ねえ。離れてばかりだとさすがに飽きるけど」
「おまえに合わせるかよ・・・筋肉バカが・・・」
「ん~ん?」
 ボルガがヒュパティアに視線を向ける。
 ヒュパティアの真下が光っている。
 光の鏡が完成した。ヒュパティアはそのまま光の鏡へと入っていった。
地上から聖女の地に戻る時は、日差しや月明かりの『光』が充満し、意思を通してイヴやマリアに許可した時に『光』が結晶化し、光の鏡を生み出す。
 ジャンヌは、送り出せる時間は稼げた。
 ボルガは瞬時に光の鏡を踏みつける。
 光の鏡が割れた。逃亡経路を絶たれた。けど、ヒュパティアを聖女の地に送らせた。向こうで対処してくれる。
 後は、どうやってボルガから逃げるか。同じ作戦で行かせるつもりはないはず。
「そういえば、昔もこんな感じで逃げた聖女がいたの思い出した」
 ボルガは思い出すように言う。
「これで気にしないで戦えるね」
 ボルガが笑顔で言う。
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