魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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雨粒の魔女③

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 アキセと転送し、ビアムから逃げられた。
 いつものようにコルンの発明品で逃げたところだろう。
 見つけた洞穴に隠れ、アキセから降ろされる。
「今、治す」
 ロザリオをアキセの首に向ける。
「ここで殺したら、魔女に殺されるぞ」
 アキセは慌てることもなく、冷静な目で見つめる。
「その手には引っかからない!」
 ジャンヌは怒声を上げる。
「そうやって私を利用して・・・巻き込ませて・・・騙して・・・イルのことも殺そうとして・・・」
 声が震える。
「新しい力が手に入れてたくましくなったじゃないか」
「そういう問題じゃないわよ!」
 さらに怒鳴る。
「お前を助けたこともあったろ」
「下心満載の取引するためにでしょ!」
「全部じゃなかったぞ」
「あんたの善意は偽善だ!」
 はっきり口を出す。
「本当にひで~女だ」
「あんたに一番言われたくないわよ。あんたの顔なんかみたくない!ここで!」
 ロザリオで払おうとしたが、腕を掴まれ、力が抜ける。魔力を使って『光』を奪われている。
 さらに両腕を掴まれ、そのまま押し倒される。
「本当にあんたの魔力が憎たらしい」
 魔力に『光』の抗体があるから、『光』を奪われることが何度もあった。
「何回も引っかかってくれるから、飽きないね」
 殴ろうにもまた力が抜ける。
「離してよ!」
 もがいてもアキセはどかせない。
「手当して、あの魔女の退治に協力するからさ。それで埋め合わせできないか」
 アキセは真面目な顔で見つめる。
「なんでそれで許せると思ってるのよ・・・」
 腹が立つ。
「あんたの顔なんか見たくない・・・消えてよ・・・」
 視線をそらす。
「分かった。今の魔女を退治したら、もう会わない。姿を見せない。関わらない。それでいいか」
「そんなの信・・・」
 アキセと視線があった途端にキスさせる。
――こんな時になんでするのよ
 払おうにも腕を抑え付けられる。いつも以上に力を入れて。気持ち悪い。
 やっと離れた直後にアキセに顔を平手する。
「そういうとこが・・・」
 アキセに額を触られた途端に急な眠りに誘われる。


 今の記憶を奪った。後が怖いのもあるが。
 寝ているジャンヌの顔を触る。
よく分からない。気になって仕方がない。顔や体形が好みでからかいがあるから。消えてほしくないから。それに聖女なら惑わされることもない。
 ただはっきりしているのは、リリムや淫魔は恋の感情はないということ。


 ジャンヌの『光』を返し、足を手当てしてから洞穴から出る。
 また雨が降っている。
 あの時、雨粒が止まっていた。どうやら、ビアムは支配する範囲が狭いようだ。
「ねえ。本当に何かあったの」
 声をした方へ向けば、枝の上にウィムが座っている。
 雨に濡れないようにしているのか、ウィムが薄く風で包まれている。
「珍しくこじらせてさ」
「知っているだろうか」
「まあ。全部じゃないけどね」
 ウィムはジト目で見つめる。
「何。彼女にいいとこ見せたいの」
「かもな・・・」
――俺もバカなことをするな
 散弾銃を召喚する。
「ふ~ん。じゃあ頑張ってね」
 ウィムは鈴の音と風と共に消えた直後だった。
「あれ~」
 背後から声がした。
 雨が止まり、宙に雨粒が浮いている。振り向けば、ビアムが浮いていた。
「聖女はどこにいるの?」
 ビアムに見つかる。
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