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海の仕置人⑧
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その場にいた者が一斉に静まり返った。
急にアマビエが別の姿に変えて、『キューティー・ビアール』と名乗っている。
どういうこと。
「ふざけやがって!」
トリトンがビアールの腕を掴んだ瞬間、逆の腕でトリトンの顔に崩れるほどに入り、殴り飛ばす。しかも指には指輪を4本はめてあるから、威力がさらに増している。
かなり重い音。衝撃も空間が揺れるほどだった。
青ざめる手下たち。
「海に変わってお仕置きよ」とビアールは手下たちに向かう。
ビアールは次々に手下たちに投げ飛ばしたり、関節に決まったり、流れていくように技を決めていく。叫び声の中に、音が重い。折れる音。砕く音が空間に響く。
「やればできるじゃん」
ジャンヌは一番に声を上げてしまった。
「じゃなかった。何あれ?」
一番の疑問をキンタロウに訊く。
「アマビエ。本気で怒るとあーなるんだ」
「は?」
魔力が全くないわけがないと言っていたのはこのことだったのか。
「一度怒らせてな。骨を逆に向かせたものだ。なぜか死んでもおかしくないほどに・・・」
「ギャグ補正入ってるからじゃないの」
「確かにあいつから受ける技は不思議と死なないんだ。衝撃はあるが・・・」
「ちなみに何で怒らせたの」
「間違ってあいつのお菓子を食べた」
確かに食べ物の恨みは恐ろしいというのは知っているだけど。
「あいつらも見たんだな」
レイガンは柱の陰に、ウパスケは壁の外の岩に尾を見せて顔を隠している。
「浮気して怒られたんでしょ」
「よく知っているな」
襲われた時も言っていた。
「魔女の血が流れても女の方が強くなる傾向あるからな」
「本質的には受けついているってことね。で、これってどうやって治まるの」
「あいつがスッキリするまで。全然耳に入らなくなるんだ」
「まあ、相手はいい気味だけど・・・」
ジャンヌが視線を向けば、トリトンが逃げようとした。だか、飛んできた魚の獣人にぶつかり、トリトンの逃亡を止める。
トリトンはすぐに起きあがる。ビアールが魚の獣人を引きずりながらゆっくり近づく。
床から水柱が伸びるが、ビアールは手を払い、水柱の方向を変える。
トリトンは怯えた顔で青ざめる。
ビアールは引きずっていた魚の獣人を投げ捨て、トリトンに向かう。トリトンは逃げ切れず、技を食らう。
「ジャーマンスープレックス!」ドン「タイガードライバー!」ドン「タブルアール!」ドン「キン○○バスター!」ドン「ローリングソバット!」ドン「旋回式トーチャーラックボム!」ドン。
ビアールは次々に技を言いながらトリトンに決める。
気持ちよく決めるから、技を教わりたくなる。
トリトンが仰向けに倒れる。
ビアールが足を大きく上げる。
「やめ!」
思いっきり股間に落とす。空間が揺れるほどだった。
嵐が過ぎ去ったような跡たった。
トリトンを含めて魚の獣人たちは倒れていた。虫の息だった。
「あ~スッキリ!」と言った途端に元のアマビエの姿に戻った。
「あれ?私・・・」
しかも無自覚。
「無自覚なの?」
「話したら身に着けたいって言いかねない」
「ん~」
言ってもいいような気がするが、練習に付き合うキンタロウの身がもたなくなるから、控えよう。
「あの~何か?」とアマビエに声をかけられる。
「覚えていないの?」
「とてもスッキリした感じはしてます」
笑顔でアマビエは言う。
夕日の海。
「なんか疲れた・・・」
ウパスケに連れられ、日が沈んでいく海を眺めていた。
ジャンヌは流木に背中を預けている。それに体が唾液でべたついている。
「あとで面倒見てやるから」とキンタロウは言う。
体は動いたが、毒は完全に抜けきっていない。面倒を見てくれるようだ。
「あの二人なんなの」
遠くでアマビエとレイガンがいた。
「付き合ってはいるんだけど、レイガンが浮気しているから結婚まで至らない関係」
「あ~」
「ごしゅじんがうわきなおせば、いっしょにすめるんだけどね~」
ウパスケは横から言う。
「アマビエと会う前からいろんな女に手を出したみたいだしな。なかなか直らないんだよな~」
「そうなのね」
男の浮気はそんなもの。
「来てくれたんですね・・・」とアマビエがレイガンに言う。
「来るに決まっているだろ」
「ハーレムまで作って浮気しているくせに」
「だとしてもおまえは別だ」
「そんな言い訳訊きません!」
アマビエは声を上げる。
「せめて浮気は治してほしい」
「・・・」
「もういいです!」
「努力するから!」
「そのセリフは聞き飽きました!」
どう見ても痴話げんかに見える。
「このくだりよくやってる」とキンタロウが横から言う。
「でも・・・来てくれたことは忘れませんから・・・」
アマビエは少し視線をそらしながらレイガンに言う。
いくら浮気してもお礼を忘れないようだ。
「それに今回ことでレイガンも海に・・・」
「俺も海に入ってないから変わらないって。それに海以外にもあるから問題ない。そんなことを気にするな」
安心させるようにレイガンは言う。
浮気性のくせに。
「うん・・・」
アマビエは軽く頷く。
1週間後
やまおくの魔女セツコ・ヤマンバが山に帰ってきた。
セツコの山にある自前の温泉にセツコとアマビエは入浴していた。
「それは大変だっだな」と化粧を落としたセツコが言う。
「はい・・・」
「住み込んでも構わんよ」
「ありがとうございます。でもずっとお世話になるのも・・・」
「そんなの気にしなくてもええよ。おまえさんのタタリのこともあるし、無理に一人でいようと思わんでええよ」
「ですが・・・あの方の行動は読めないので、何をしてくるのか・・・」
「気にしていたら、あの女の思惑通りになるぞ。だから気にせず、ここを家だと思いなさい」
「本当にいいんですか・・・」
「いいよ」
「ありがとうございます・・・」
その時、セツコはアマビエを温泉から押し出す。
セツコが温泉の底に沈んでいく。
あの時も水の底を通ってトリトンの元へと転送された。魔女の領地の中でもトリトンの力があるようだ。
「セツコさん!」
声をかけるが。
「いけめええええええええええええええええええええええええん」
ドカドカドカドカドカドカドカドカ。
温泉の底から聞こえる。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああ」
悲鳴も聞こえてきた。
何事もなかったようにセツコが帰ってきた。
「イケメンだった・・・」と何かやり切ったように言う。
「・・・」
やっぱりセツコのところでお世話になることにした。
急にアマビエが別の姿に変えて、『キューティー・ビアール』と名乗っている。
どういうこと。
「ふざけやがって!」
トリトンがビアールの腕を掴んだ瞬間、逆の腕でトリトンの顔に崩れるほどに入り、殴り飛ばす。しかも指には指輪を4本はめてあるから、威力がさらに増している。
かなり重い音。衝撃も空間が揺れるほどだった。
青ざめる手下たち。
「海に変わってお仕置きよ」とビアールは手下たちに向かう。
ビアールは次々に手下たちに投げ飛ばしたり、関節に決まったり、流れていくように技を決めていく。叫び声の中に、音が重い。折れる音。砕く音が空間に響く。
「やればできるじゃん」
ジャンヌは一番に声を上げてしまった。
「じゃなかった。何あれ?」
一番の疑問をキンタロウに訊く。
「アマビエ。本気で怒るとあーなるんだ」
「は?」
魔力が全くないわけがないと言っていたのはこのことだったのか。
「一度怒らせてな。骨を逆に向かせたものだ。なぜか死んでもおかしくないほどに・・・」
「ギャグ補正入ってるからじゃないの」
「確かにあいつから受ける技は不思議と死なないんだ。衝撃はあるが・・・」
「ちなみに何で怒らせたの」
「間違ってあいつのお菓子を食べた」
確かに食べ物の恨みは恐ろしいというのは知っているだけど。
「あいつらも見たんだな」
レイガンは柱の陰に、ウパスケは壁の外の岩に尾を見せて顔を隠している。
「浮気して怒られたんでしょ」
「よく知っているな」
襲われた時も言っていた。
「魔女の血が流れても女の方が強くなる傾向あるからな」
「本質的には受けついているってことね。で、これってどうやって治まるの」
「あいつがスッキリするまで。全然耳に入らなくなるんだ」
「まあ、相手はいい気味だけど・・・」
ジャンヌが視線を向けば、トリトンが逃げようとした。だか、飛んできた魚の獣人にぶつかり、トリトンの逃亡を止める。
トリトンはすぐに起きあがる。ビアールが魚の獣人を引きずりながらゆっくり近づく。
床から水柱が伸びるが、ビアールは手を払い、水柱の方向を変える。
トリトンは怯えた顔で青ざめる。
ビアールは引きずっていた魚の獣人を投げ捨て、トリトンに向かう。トリトンは逃げ切れず、技を食らう。
「ジャーマンスープレックス!」ドン「タイガードライバー!」ドン「タブルアール!」ドン「キン○○バスター!」ドン「ローリングソバット!」ドン「旋回式トーチャーラックボム!」ドン。
ビアールは次々に技を言いながらトリトンに決める。
気持ちよく決めるから、技を教わりたくなる。
トリトンが仰向けに倒れる。
ビアールが足を大きく上げる。
「やめ!」
思いっきり股間に落とす。空間が揺れるほどだった。
嵐が過ぎ去ったような跡たった。
トリトンを含めて魚の獣人たちは倒れていた。虫の息だった。
「あ~スッキリ!」と言った途端に元のアマビエの姿に戻った。
「あれ?私・・・」
しかも無自覚。
「無自覚なの?」
「話したら身に着けたいって言いかねない」
「ん~」
言ってもいいような気がするが、練習に付き合うキンタロウの身がもたなくなるから、控えよう。
「あの~何か?」とアマビエに声をかけられる。
「覚えていないの?」
「とてもスッキリした感じはしてます」
笑顔でアマビエは言う。
夕日の海。
「なんか疲れた・・・」
ウパスケに連れられ、日が沈んでいく海を眺めていた。
ジャンヌは流木に背中を預けている。それに体が唾液でべたついている。
「あとで面倒見てやるから」とキンタロウは言う。
体は動いたが、毒は完全に抜けきっていない。面倒を見てくれるようだ。
「あの二人なんなの」
遠くでアマビエとレイガンがいた。
「付き合ってはいるんだけど、レイガンが浮気しているから結婚まで至らない関係」
「あ~」
「ごしゅじんがうわきなおせば、いっしょにすめるんだけどね~」
ウパスケは横から言う。
「アマビエと会う前からいろんな女に手を出したみたいだしな。なかなか直らないんだよな~」
「そうなのね」
男の浮気はそんなもの。
「来てくれたんですね・・・」とアマビエがレイガンに言う。
「来るに決まっているだろ」
「ハーレムまで作って浮気しているくせに」
「だとしてもおまえは別だ」
「そんな言い訳訊きません!」
アマビエは声を上げる。
「せめて浮気は治してほしい」
「・・・」
「もういいです!」
「努力するから!」
「そのセリフは聞き飽きました!」
どう見ても痴話げんかに見える。
「このくだりよくやってる」とキンタロウが横から言う。
「でも・・・来てくれたことは忘れませんから・・・」
アマビエは少し視線をそらしながらレイガンに言う。
いくら浮気してもお礼を忘れないようだ。
「それに今回ことでレイガンも海に・・・」
「俺も海に入ってないから変わらないって。それに海以外にもあるから問題ない。そんなことを気にするな」
安心させるようにレイガンは言う。
浮気性のくせに。
「うん・・・」
アマビエは軽く頷く。
1週間後
やまおくの魔女セツコ・ヤマンバが山に帰ってきた。
セツコの山にある自前の温泉にセツコとアマビエは入浴していた。
「それは大変だっだな」と化粧を落としたセツコが言う。
「はい・・・」
「住み込んでも構わんよ」
「ありがとうございます。でもずっとお世話になるのも・・・」
「そんなの気にしなくてもええよ。おまえさんのタタリのこともあるし、無理に一人でいようと思わんでええよ」
「ですが・・・あの方の行動は読めないので、何をしてくるのか・・・」
「気にしていたら、あの女の思惑通りになるぞ。だから気にせず、ここを家だと思いなさい」
「本当にいいんですか・・・」
「いいよ」
「ありがとうございます・・・」
その時、セツコはアマビエを温泉から押し出す。
セツコが温泉の底に沈んでいく。
あの時も水の底を通ってトリトンの元へと転送された。魔女の領地の中でもトリトンの力があるようだ。
「セツコさん!」
声をかけるが。
「いけめええええええええええええええええええええええええん」
ドカドカドカドカドカドカドカドカ。
温泉の底から聞こえる。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああ」
悲鳴も聞こえてきた。
何事もなかったようにセツコが帰ってきた。
「イケメンだった・・・」と何かやり切ったように言う。
「・・・」
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