魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇

白崎詩葉

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省かれた一族 前半②

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「イルをどうした!」
 ジャンヌはイーグスに胸蔵を掴んで、問い詰める。
「飛ばしました」
「どこに!」
「危険なことにいることは確かでしょうね。精霊術が使えないほどに『呪い』の濃度も高いですし、部外者が嫌いな一族がいますから。場合によっては魔女もいるかもしれません」
「魔女がいるの・・・」
「かもしれませんよ」
 イーグスの言葉に間に受けてはいけないが。
 真実だとしたら、イルが危ない。
 イーグスはイルが精霊術を使えるのを知っている。
 だから飛ばしたのか。
 精霊を使えない場所で、しかも攻撃的な一族がいるとしたら、無事に逃げ切れるかも難しい。それに魔女もいるかもしれない。
「だから早く!」
「取引です」
 その発言で手元が止まる。
「実は、カーミラ様からある一族を助けてほしいと」
「だから!」
「その一族はある事件に困っていたところなんですよ。そこであなたのお力添えをいただいきたいと思いまして。僕ら二人で」
 イーグスは懐から出したのは、拘束鏡の中にいるアキセだった。
「あとこちらも」
 イーグスの手元に指輪を持っている。
 指輪も取られている。人質に取られた。だとしても。
「どうしてイルまで!」
「だから言いましたよ。取引だということを。もちろん。取引を受ければ、この指輪も返しますし、彼を助けますよ」
 イルの場所はこいつを問い詰めない限り分からない。
 聖女の地に一度戻って、ラスターゲートで探すこともできる。だか、今天気が悪く、『光』が少ない中では戻れない。晴れるまで待っていられない。
「どうして、こんなことを・・・」
「これは仕事なので」
「本当にそれだけ・・・」
 イーグスと最後に会ったのは、仮面のことだった。まさかとは思うが。
「そんなに前回のこと引きづっているわけ」
「思い当たる節はあるんですね」
「日頃の行いが悪いからでしょ!」
 拉致して、勝手に血を吸おうとした。罰が当たってもおかしくない。
「僕にも限度というものがありますよ」とイーグスの口調が強くなる。
「で、返事は?」とすぐに柔らかい口調に変わる。
 これ以上問い詰めてもイルの場所を教えない。その間にも何をされるか分からない。
「本当にその約束を守ってくれる・・・」
「はい。あのクズよりは守りますよ」
「分かった・・・」
 胸蔵から手を離す。
「ご協力感謝いたします」
 悪意のある笑顔で腹が立つ。
 指輪を取り戻すにも、イルを助けるにも従うしかない。
「あとこれを飲み込んでください」
 渡されたのは、小さな赤い玉だった。
「これはコルンの発明品です。『権利独占玉』と言いまして、この玉に血を染み込んだ者に絶対服従、権利を奪われます。僕の血を混ざっております」
 本当にコルンは拘束するものばっかり作るのに、使いこなしたところ見たことない。
「ここまでしないと信用できないわけ」
「形状は必要ですよ。ちゃんと終わったら解放しますので」
 この玉を飲み込めば、完全にイーグスから逃れない。
「では取引はやめます。別に僕はこの仕事をまともに受けるつもりもないですし、おそらく彼が生きていられるかも・・・」
 ジャンヌは『権利独占玉』を取り、口の中へと飲み込む。
「そんな慌てなくても。まあ、これで取引成立ということで」
「後で覚えておきなさいよ」とにらみつけ、「今は取引に専念しましょう」とイーグスは笑顔で返す。
「では、着きましたら、まず着替えてください」
「は?」
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