53 / 155
第2章
第4話 水鱗の魔女②
しおりを挟む
鱗の女は、ジャンヌを手足に鎖を繋がれたまま、引き連れていた。
ジャンヌを部屋の中へ放り投げる。
「あとは姉様が帰ってきてからにしましょ」
「そうしましょ」
鱗の女は部屋から去っていく。
ジャンヌはため息をする。
手足に鎖で縛られ、『呪い』で満ちた水のおかげで『光』がほとんど尽きてしまった。
どうしたものかと思った時だった。
「大部、使い魔たちにやられてるな」
聞き覚えのある声に嫌な顔になるジャンヌは、声をした方向に向く。
「そんな顔するなって」
アキセも手足に鎖をつけて、捕まっていたのだ。
「なんでここにいるわけ。しかも捕まっているし」
「いや~ドジっちゃってさ」
アキセは、木の枝の上で寝ていた。
日が昇り、アキセが目を覚め、木の枝から降りようとした。降りた先に大きい水たまりがあり、そこから捕まったという。
ジャンヌは大きなため息をする。
「なんだよ。その大きなため息」
この男って奴はと呆れる。
いや、待った。アキセがこの部屋で拘束されている。あまりにも偶然にしてはできすぎている。
「まさか!使い魔たちに私のこと話したでしょ!」
「ちょいと話しただけだよ。まさか来るとは思わなかった」
うそだ。絶対わざと言った。一人じゃ抜け出せないから、呼び出すために使い魔に言ったんだ。じゃあなきゃ、今アキセがジャンヌに向かって舌を出していない。
「サイテイ!」
ジャンヌはこの鎖がなければ、一発殴りたい。
「やられたわりに元気だな」
「うるさい!」
「やっぱ火を扱う聖女でも相性があるんだな。水苦手なのか?」
嫌なところに突っかかる。
「話したくなかったけど苦手っていうか、より消耗が激しくなるだけ。すぐに『光』が無くなるの」
「へ~」
「何よ」
「これで確信とれた」
「何が?」
「君が水との相性がさ。ほぼ想像通りでよかった」
「まさかとは思うけど、それも確かめたくて・・・」
「長話はここまでにして、とりあえず逃げますか」
遮断された。
アキセは、手についた鎖を靴先に叩きつける。ガシャと音を鳴らし、鎖がバラバラに砕けた。アキセの手は自由の身となった。
「取れた取れた」
足についた鎖を外す。
「何したの?」
突然の出来事に目が点になる。
「この靴特別製でな。先端にカースネロを付けたんだ。こういう時の為にね」
カースネロは、魔術に使う『呪い』を含めた宝石。
それにとアキセは言いながら、靴の底を外し、何かを取り出す。それは、伸縮自在の杖だった。
「準備万端だろ」
アキセはドヤ顔をする。
アキセがジャンヌの鎖も外してもらう。
「立てるか」
アキセが手を伸ばしてきたが、手を出せなかった。それは、長く水に入ったおかげで体が冷え切っていたからだ。手を伸ばすよりも小さく体を縮め、どうにか温めようとする。
「仕方ないな」
杖で陣を描き、中指で弾く。ジャンヌに触れた途端、陣は塵状なり、ジャンヌに降りかかる。体が徐々に温まり、体を動かせる。
「これでいいだろ。本当に『光』がないんだな。俺の魔術が効いているほどだもんな」
アキセは小さく笑う。
魔術は、人間でも『呪い』を扱えるようにできた術。
『呪い』を利用しているので、『光』を扱える聖女にとって無効化させるが、無効化させるほどの『光』が残っていないため、魔術が効いている。
正確には、聖女は『呪い』の抗体を持っていないため、残っている『光』が、『呪い』に侵されないように聖女の体を守っている。
体が温め切ったので、ジャンヌは立ちあがる。
「だから、まともに戦えないわよ。それに脱出算段できてるの。多分、ここ水の中よ。魔女が作った」
「まあそこは考えてあるので、ご心配なく」
「それって・・・まさか泳いだりしないよね・・・」
「おいおい、そんな泳いで逃げるって・・・あれあれ?」
アキセが感づいた。
「何よ」
「もしかして、泳げないのか~」
いたずらな笑みで見つめてくるので、視線をそらす。
「まあそうだよな。火を使うもんな。水が苦手なのも泳げないのも仕方ないよな」
アキセが煽るように言うので、イラつく。
「もういいでしょ!さっさと行くよ!」
「あと寄りたいところあるけど」
「何よ」
「俺の指輪を取り返したいんだ」
その言葉でジャンヌはロザリオがないことに気づく。そういえばアキセも指輪がない。
ジャンヌを部屋の中へ放り投げる。
「あとは姉様が帰ってきてからにしましょ」
「そうしましょ」
鱗の女は部屋から去っていく。
ジャンヌはため息をする。
手足に鎖で縛られ、『呪い』で満ちた水のおかげで『光』がほとんど尽きてしまった。
どうしたものかと思った時だった。
「大部、使い魔たちにやられてるな」
聞き覚えのある声に嫌な顔になるジャンヌは、声をした方向に向く。
「そんな顔するなって」
アキセも手足に鎖をつけて、捕まっていたのだ。
「なんでここにいるわけ。しかも捕まっているし」
「いや~ドジっちゃってさ」
アキセは、木の枝の上で寝ていた。
日が昇り、アキセが目を覚め、木の枝から降りようとした。降りた先に大きい水たまりがあり、そこから捕まったという。
ジャンヌは大きなため息をする。
「なんだよ。その大きなため息」
この男って奴はと呆れる。
いや、待った。アキセがこの部屋で拘束されている。あまりにも偶然にしてはできすぎている。
「まさか!使い魔たちに私のこと話したでしょ!」
「ちょいと話しただけだよ。まさか来るとは思わなかった」
うそだ。絶対わざと言った。一人じゃ抜け出せないから、呼び出すために使い魔に言ったんだ。じゃあなきゃ、今アキセがジャンヌに向かって舌を出していない。
「サイテイ!」
ジャンヌはこの鎖がなければ、一発殴りたい。
「やられたわりに元気だな」
「うるさい!」
「やっぱ火を扱う聖女でも相性があるんだな。水苦手なのか?」
嫌なところに突っかかる。
「話したくなかったけど苦手っていうか、より消耗が激しくなるだけ。すぐに『光』が無くなるの」
「へ~」
「何よ」
「これで確信とれた」
「何が?」
「君が水との相性がさ。ほぼ想像通りでよかった」
「まさかとは思うけど、それも確かめたくて・・・」
「長話はここまでにして、とりあえず逃げますか」
遮断された。
アキセは、手についた鎖を靴先に叩きつける。ガシャと音を鳴らし、鎖がバラバラに砕けた。アキセの手は自由の身となった。
「取れた取れた」
足についた鎖を外す。
「何したの?」
突然の出来事に目が点になる。
「この靴特別製でな。先端にカースネロを付けたんだ。こういう時の為にね」
カースネロは、魔術に使う『呪い』を含めた宝石。
それにとアキセは言いながら、靴の底を外し、何かを取り出す。それは、伸縮自在の杖だった。
「準備万端だろ」
アキセはドヤ顔をする。
アキセがジャンヌの鎖も外してもらう。
「立てるか」
アキセが手を伸ばしてきたが、手を出せなかった。それは、長く水に入ったおかげで体が冷え切っていたからだ。手を伸ばすよりも小さく体を縮め、どうにか温めようとする。
「仕方ないな」
杖で陣を描き、中指で弾く。ジャンヌに触れた途端、陣は塵状なり、ジャンヌに降りかかる。体が徐々に温まり、体を動かせる。
「これでいいだろ。本当に『光』がないんだな。俺の魔術が効いているほどだもんな」
アキセは小さく笑う。
魔術は、人間でも『呪い』を扱えるようにできた術。
『呪い』を利用しているので、『光』を扱える聖女にとって無効化させるが、無効化させるほどの『光』が残っていないため、魔術が効いている。
正確には、聖女は『呪い』の抗体を持っていないため、残っている『光』が、『呪い』に侵されないように聖女の体を守っている。
体が温め切ったので、ジャンヌは立ちあがる。
「だから、まともに戦えないわよ。それに脱出算段できてるの。多分、ここ水の中よ。魔女が作った」
「まあそこは考えてあるので、ご心配なく」
「それって・・・まさか泳いだりしないよね・・・」
「おいおい、そんな泳いで逃げるって・・・あれあれ?」
アキセが感づいた。
「何よ」
「もしかして、泳げないのか~」
いたずらな笑みで見つめてくるので、視線をそらす。
「まあそうだよな。火を使うもんな。水が苦手なのも泳げないのも仕方ないよな」
アキセが煽るように言うので、イラつく。
「もういいでしょ!さっさと行くよ!」
「あと寄りたいところあるけど」
「何よ」
「俺の指輪を取り返したいんだ」
その言葉でジャンヌはロザリオがないことに気づく。そういえばアキセも指輪がない。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる