魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク

白崎詩葉

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完結篇

第2話 気付くまでに③

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「ルチア様・・・」
 瞬時に入ったルチア様に腕を掴まれ、部屋の外にまで投げ飛ばされる。
ルチア様は扉が閉じる。
「開けてください!」
 扉が開かない。扉をたたいても何も反応しない。
 部屋の中が騒がしくなった。ガラスが割れたような音が響いていく。
「ジル司祭!ルチア様!」
 その時銃声が鳴り、扉の鍵穴に穴が空いた。
 やっと扉が開いた。
 部屋に入れば、あんなにあった宝石がなくなり、塵の山ばかりだった。
 ルチア様は、ジル司祭の首を掴み、結晶の刃を向けていた。
ジル司祭を殺そうとしている。 
「やめてください!」
ルチア様に抱き着きつく。
「ルチア様・・・ルチア様・・・」
 ルチア様と目が合う。
「どうして、ジル司祭を殺すのですか!ジル司祭は魔女や魔族(アビス)を人から守っている方なのに、どうして!聖女のあなたが殺すのですか!」
 ルチア様にここまで声を上げたのは初めてだった。
「あなたは・・・」
 急にルチア様が豹変し、胸を抑える。
「ルチア様・・・」
 ルチア様に突き飛ばされる。
「ルチア様!」
ルチア様は部屋を出ていった。
「ルチア様は混乱しているんだ」
「え・・・」
 ジル司祭に向ける。
「ルチア様は、呪病により心まで侵されている。『呪い』は人の感情にも反応する。負の感情に侵され、自信で判断もできなくなっている。だか、君なら救える」
 またその言葉を聞いた。救えると。
「私が・・・でもエンジェライトがないです」
 ルチア様に投げ飛ばされた時に落としてしまった。
「ご心配はなく」
 ジル司祭の懐からエンジェライトを取り出した。
「エンジェライトをあの方に届けてください。あなたならできます」
 ジル司祭からエンジェライトを渡される。
 期待してくれている。聖女としてまたジル司祭が見てくれている。
 私はまたできるんだって。
「はい!」


 ルチア様。どこにいますか。どこですか。
 雨で足跡を消され、森の中では方向感覚も失ってしまう。
 分からない。どこにいるの。ルチア様。
 このままでは死んでしまう。
「来なさい」
「え・・・」
 森の中で女の声がした。
 顔をあげれば、白い鳥が枝にとまっていた。
「ルチアはこっちよ」
「ルチア様が・・・」
 白い鳥は奥へと飛んでいく。
「待って!」
 白い鳥を追いかける。
 その先に木に寄りかかっているルチア様が見えた。
「ルチア様!」
 やっと見つけた。
 ルチア様は胸を抑え、息が乱れている。呪病が悪化しているに違いない。
「ジル司祭から聞きました。治療を断っていたって。治す方法があるのに断っていたって」
 ルチア様は黙り込む。
「これを渡せば、治せるんですよね。だから・・・」
 ジル司祭からもらったエンジェライトをルチアに渡す。
「これで・・・」
 手を払われた。
「え・・・」
 エンジェライトは地面に落ちる。
「なんで!」
 エンジェライトを慌てて拾う。
「これで治るのに!」
「分かってない!」
「え・・・」
「分かってない!あなたは・・・何も・・・」
 初めて私に話した。でも。
「だったら・・・どうして何も教えてくれないんですか。何度も・・・何度も言ったのに・・・どうしてそんなことを言うんですか!」
 心の中に閉じこめたものが一気に放したようで泣きながら言った。
「私は・・・」
 ルチア様は言いかけた時だった。
「あら、こんなところに聖女がいるなんて」
 声をした方へ向く。
 バラのような赤い目。根のような緑の髪が後ろにまとめている。花のドレスを着た女だった。
「茨花(いばらか)の魔女フィルゼ・ガーフィリオと楽しみましょう」
 魔女は不適に笑う。
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