リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜

ゆずき

文字の大きさ
54 / 294

53話 敬愛する貴女へ

しおりを挟む
 レオンはリオラド神殿へ、セドリックさんは私達のお茶を準備する為……それぞれ部屋を後にした。
 私とリズはふたりで並んでソファに座る。リズの顔を見た途端に舞い上がってしまい、以前カミルに注意された事もすっかり忘れて思い切り抱きついてしまった。
 今回はあの時のように、私の行動をたしなめる人はいなかったけれど、それ以上に恥ずかしい目にあってしまった。心配していた通り……レオンは相変わらずのマイペースで、リズの前でもお構いなしで私に触れてくる。きっと驚いたよね……リズがどんな顔をして私達を見ているか、怖くて確認できなかった。

「レオン殿下は……」

 リズがレオンの名前を呟く。心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。

「殿下は本当にクレハ様の事をお好きなのですね。話だけは伺っていたのですけど、実際に目の当たりにして、何というか……圧倒されてしまいました」

「うぅ……人がいても全然気にしないから。リズもびっくりしたよね」

「驚かなかったと言えば嘘になりますが、ちょっとだけ安心もしました」

「安心?」

 リズは政略結婚が当たり前と聞かされても、私が会った事もない相手と婚約させられたのをとても心配していたのだと言う。けれど、のちに婚約がレオン本人の希望であったことや、私の為にリズに直接会い来た事など……レオンの私に対する想いを感じられて、嬉しかったらしい。

「クレハ様の方も満更でもなさそうですし……」

 殿下、カッコいいですもんねー……とリズはニヤニヤしながら私に言った。

「べっ、別にレオンがカッコいいから流されてるわけじゃないよ! そりゃ……ちょっと、かなりドキドキするけども……」

 言葉が後半にいくにつれ、尻すぼみになっていく……彼のあの綺麗な顔に見惚れてしまうのは、1度や2度ではないからだ。

「殿下のお気持ちはここに来るまでにも散々聞かせられましたが、肝心のクレハ様がどう思っていらっしゃるかは分かりませんでしたから。まさか、この短期間であんなに仲良くなられているなんて思いませんでしたよ」

「仲良く……見えるかな」

「少なくとも、クレハ様が嫌がっているようには見えませんね」

 リズの目から見てもそうなのか……確かに嫌ではないけれど。恥ずかしいという気持ちは強くあるが、彼の側はとても心地が良い。それに、不思議と懐かしい感じがする……

「お体の調子も良さそうで良かったです。私だけでなく、お屋敷の皆もとても心配していたのですよ」

 レオンの前で気絶したのが、そんなに大事おおごとになっていたのだろうか。慣れない事をしたせいで、疲れていただけなんだけど……

「心配かけて、ごめんなさい。もうすっかり大丈夫よ」

 トレーニングも再開してるし、体調は万全なのだとリズに伝えた。島には広くて大きな訓練所があるから場所にも困らないと言うと、彼女は困惑したような目つきで、ぎこちなく笑った。

「とっ、ところでクレハ様。実はジェフェリーさんと私から、クレハ様にプレゼントがあるんですよ」

「えっ!!」

 リズは花柄の布に包まれた荷物を、私の目の前に差し出した。大事そうに抱えていたから何だろうと思ってはいたけれど、まさか私へのプレゼントだったなんて……

「私はジェフェリーさんの贈り物を見て、便乗しただけなんですけどね。ジェフェリーさん……わざわざ私の家まで来て、クレハ様に渡して欲しいと頼んできたんですよ」

「ジェフェリーさんが……」

 ひょっとしてお見舞いのつもりなのかな……こんなにみんなに心配させていたなんて……
 レオンに言われるがまま王宮で過ごしていたけれど、やっぱり一度家に帰った方が良いんじゃないだろうか。わざわざ来てくれたリズには申し訳ないけれど、王宮にはまた来ればいいしね。レオンが神殿から戻ったら相談してみよう。私はリズから布包みを受け取った。










「さあ! クレハ様、どうぞ開けてみて下さい」

「私も見せて頂きましたが、とても素敵なお品ですよ」

 お茶を準備して戻って来たセドリックさんも交えて、頂いたプレゼントを開封することになった。プレゼントが包まれている布を、ゆっくりと開いていく……すると、出て来たのは1冊の本と長方形の小さな箱。

「これは……」
 
 まずは本の方へ手を伸ばす。タイトルは『ローズ物語』……聞いたこと無いけれど、どんな内容の本だろう。

「本は私からです。これ最近町で流行ってるんですよ」

「少女向けの恋愛小説ですね。シリーズ物ですが、1冊完結型でそこまで長くなく、気軽に読めるので人気なんだそうですよ。現在3巻まで刊行中です」

「セドリックさん……詳しいんですね。もしかして、読んだことあるんですか?」

「いえいえ、店でご婦人方から聞いたのですよ」

『とまり木』のお客さんは若い女性が多いらしいからなぁ。そこで働くセドリックさんには、自然と情報が入って来てしまうようだ。ふたりから本のあらすじを軽く教えてもらう。
 主人公のローズは幼い頃に両親を亡くし、遠い親戚の家に預けられて育つ。そこでの生活はとてもいいと呼べるものではなく、ローズは下働き同然の扱いを受けていた。ある日、ローズは食材の買出しのため町へ赴くが、そこで1人の老婦人に出会う。この婦人との出会いが、彼女の運命を大きく変える事となり――――



「へぇ……面白そう。ありがとう、リズ。今日から早速読んでみるね」

「クレハ様、どうして私が本を差し上げたのだと思いますか?」

「えっ、どういうこと?」

「その箱の中……ジェフェリーさんからの贈り物を見てみて下さいませ」

 リズは本と一緒に入っていた箱を開けるように促す。この中にジェフェリーさんからのプレゼントが……何が入っているのだろう。箱の形状からして万年筆とか……? もしかしてお菓子かな! 本を読みながら食べて下さいみたいな感じで……って違うよね。
 考えても埒があかないので、さっさと自分の目で確認してしまおう。私は箱を手に取り、その蓋を開けた。

「わぁ……すごい、綺麗」

 中から出てきたのは金属製のブックマーカーだった。そっと持ち上げると、しゃらんと微かに音が鳴る。本に挟む金属部分は銀色で、2センチくらいのガラス玉と、同じくガラス製のドロップビーズが華奢なチェーンで先端部に繋がれていた。ビーズは青色系で統一されており、透明なガラス玉の中にはドライフラワーが入っている。

「町の雑貨屋さんで偶然見つけたんだそうですよ。他にもピンクとか黄色とかあったけど、クレハ様の瞳に合わせて青色にしたんですって。ブックマーカーがあるなら……それを挟む本もないとって事で、私のお勧めの本を添えさせて頂きました」

 揺れるたびにキラキラして、まるでアクセサリーのようだ。こんなに綺麗なブックマーカーがあるなんて知らなかった。本自体あまり読む方じゃなかったからなぁ……でも、この機会に読書に目覚めてみるのも良いかもしれない。リズから貰った本も面白そうだし、このブックマーカーも使ってみたいしね。

「リズもジェフェリーさんも、素敵なプレゼントを本当にありがとう。大切にするね」

 改めてプレゼントのお礼を言った。ジェフェリーさんにも直接伝えたいな……

「クレハ様に喜んで頂けて良かったです。その笑顔が見れただけで……リズは胸が一杯でございます」

 リズは頬を赤らめ、恍惚とした目でぼんやりとしている。こんな時のリズは自分の世界に入ってしまっていて、何を言っても反応が薄い。しばらくそっとしておいた方が良いだろう。

「王宮にも図書館はありますが……小難しい本ばっかりですからねぇ。お嬢様方向けに娯楽になるような物も入れるよう、司書に相談してみます」

 ジャンルなどリクエストがあれば教えて下さいと、セドリックさんが妙に張り切っている。セドリックさんは本が好きなのかな……
 せっかくなので『ローズ物語』シリーズの続刊を入れて頂けるよう、お願いすることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

皇帝陛下の愛娘は今日も無邪気に笑う

下菊みこと
恋愛
愛娘にしか興味ない冷血の皇帝のお話。 小説家になろう様でも掲載しております。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

お飾り王妃のはずなのに、黒い魔法を使ったら溺愛されてます

りんりん
恋愛
特産物のないポプリ国で、唯一有名なのは魔法だ。  初代女王は、歴史に名を残すほどの魔法使い。 それから数千年、高い魔力を引き継いだ女王の子孫達がこの国をおさめてきた。 時はアンバー女王の時代。 アンバー女王の夫シュリ王婿は、他国の第八王子であった。 どこか影の薄い王婿は、三女ローズウッドを不義の子ではと疑っている。 なぜなら、ローズウッドだけが 自分と同じ金髪碧眼でなかったからだ。 ローズウッドの薄いピンク色の髪と瞳は宰相ククスにそっくりなのも、気にいらない。 アンバー女王の子供は四人で、すべて女の子だった。 なかでもローズウッドは、女王の悩みの種だ。 ローズウッドは、現在14才。 誰に似たのか、呑気で魔力も乏しい。 ある日ストーン国のレオ王から、ローズウッド王女を妻にしたいとうい申し出が届いた。 ポプリ国は、ストーン国から魔法石の原料になる石を輸入している。 その石はストーン国からしか採れない。 そんな関係にある国の申し出を、断ることはできなかった。 しかし、レオ王に愛人がいるという噂を気にしたアンバー女王は悩む。 しかし、ローズウッド王女は嫁ぐことにする。 そして。 異国で使い魔のブーニャンや、チューちゃんと暮らしているうちに、ローズウッドはレオ王にひかれていってしまう。 ある日、偶然ローズウッドは、レオ王に呪いがかけられていることを知る。 ローズウッドは、王にかけられた呪いをとこうと行動をおこすのだった。  

《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!

皇子(みこ)
恋愛
辺境の地でのんびり?過ごして居たのに、王都の舞踏会に参加なんて!あんな奴等のいる所なんて、ぜーたいに行きません!でブスなんて言われた幼少時の記憶は忘れないー!

男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来
恋愛
ルーシュ・サウザント・ドラゴニアは公爵家の第8子だった。 武で名をはせたドラゴニア家には上に7人の姉。 待望の男児が生まれなかったドラゴニア公爵はルーシュを男児として育てる。 男として育てられたルーシュは剣と魔法の才能を発揮し12歳にして国家聖騎士団の一員となり功績を積むが、父より届いた手紙で全てを失う。 『待望の男児が生まれたから明日から女として生きろ』 こうしてルーシュは神殿仕えの身となって聖女の侍女となった。 ウザい聖女に絡まれながらもルーシュは今日も侍女としても務めを果たす。 侍女として働く一方で魔獣の王都侵入を防いだり、曲者の親友が家出してきたせいで何故か大帝国の王子に見初められたりと第2の人生は波乱万丈だった。 ※聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~とリンクしています。 ※ちょっぴり題名変えました。  カテゴリ【恋愛】に変えました。  ファンタジーだけど恋愛が中心になってきてしまったので(;^ω^)

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

処理中です...