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155話 準備中
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「うん、俺ってイケメンだから何着ても似合っちゃうね」
「はい!! すっごく素敵です。ルーイ先生」
姿見鏡の前でルーイ様はくるりと回る。外套の裾がその動きに合わせて舞い上がった。コートはブラウン、ベストは黒。ボトムスもダークブラウンで、装飾も派手過ぎず落ち着いた印象を与える装いだ。スタイルが良いからシルエットもとても綺麗。本人も言ってるけど、本当によく似合っている。最近のルーイ様は軽装ばかりだったから、このようなきっちりとした服装は初めて会った時以来だ。ミシェルさんが興奮しながらはしゃいでいる。
「私の服、サイズぴったりで良かったです」
「服貸してくれてありがとね、レナード君」
今朝方、レオンがお父様へ送った手紙の返事が来た。そこにはいつ訪問しても構わないと記されていたそうだ。そうしてルーイ様達は、明日一番で私の家へ向かうことに決まった。今はその準備をしている最中である。
「レナード君いてくれて良かったわ。俺に合う服ってなかなかなくてさ。上着は少しくらい小さくても我慢するけど下がね……」
ルーイ様の着替えは、まだそれほど数が揃ってはおらず、足りない時はセドリックさんの物を借りていたらしい。しかし、体に合わない服を無理やり着ていたので、どうしても見栄えが悪くなってしまう。私の家に先生として訪問するのに、そのような姿では格好がつかないとのことで、今回はレナードさんの服を拝借する流れになった。このふたりは背格好が似ているからね。
「足が短くてすみませんね」
「もうー、そんな事言ってないでしょ。セディったら卑屈にならないの」
昨日一日お休みをしていたセドリックさんは、そのおかげかすっきりしたような顔をしていた。ルーイ様と砕けたやり取りを交わす様子は微笑ましい。でも……何というか、普通である。
ルーイ様がセドリックさんへ向ける感情に、親愛以上の物が含まれているのではと邪推してしまったのだけれど……。以前、このふたりはお付き合いをしているのだと噂があった。セドリックさんは否定していたけれど、ルーイ様の方は本当に彼の事が――
「ふたりがデカいだけだよね。セドリックさんだって別に小さくないじゃん。俺より高いし」
ルイスさんの言葉から、今この場にいる人達の身長を見比べてしまう。1番小さいのはもちろん自分だ。
「そうそう、同じ目線で話せる人少ないから新鮮だよ。レナード君は身長いくつあるの?」
「私は192ですね」
「俺は194だよ。俺の方がちょっとだけ高いね」
身長が1番高いのはルーイ様、次いでレナードさん。それにセドリックさん、ルイスさんミシェルさんと続くのか。ここにはいないけど、クライヴさんはセドリックさんより大きくてレナードさんより小さかったから順番でいうと3番目か。
「クレハ様、あなたもご実家にお帰りになりたいだろうに、私共だけすみません」
「いいえ、皆さんはお仕事で行かれるのですから。王宮での生活も慣れてきましたので、気になさらないでください」
セドリックさんが申し訳なさそうに頭を下げる。家が恋しくないといえば嘘……家族にだって会いたい。しかし、釣り堀での事件も完全に解決したとは言い難い状態であるし、レオンが許可を出してはくれない。それについては私自身も仕方のないことだと納得している。
「レナード、ルイス。クレハ様を頼んだぞ。レオン様の体もまだ万全ではないし、おふたりの側から決して離れるな」
「分かってるって。つか、そっちこそ気をつけてね。魔法使いの仲間がいるかもしれないんでしょ?」
魔法使いの仲間……ジェフェリーさんがまだ心から安心できるような状況になってはいないのだと突き付けられる。周囲から見て、ジェフェリーさんがその仲間である可能性は残っているのだ。
「その魔法使いがいたというのは半年も前のことだからな。調査に行くこと自体が取り越し苦労に終わる可能性も高い。ニュアージュの名前が出ているから念のためだ」
「ニュアージュの魔法使いにも色々いるからね。シエルレクトは契約対象の人間性になんてこれっぽっちも興味がない。得られる見返りが良質であればいいんだ。その人物が聖人だろうが極悪人だろうが関係無いってことさ」
ルーイ様が私に向かって微笑みかけた。そうだ、どんな理由で私の家にいたのかは分からないけれど、ニュアージュの魔法使いだからといって悪い人とは限らない。
「決めつけちゃダメ……それも分かってるけどさぁ」
「ルイスも私も妙な胸騒ぎがするんですよ。セドリックさんがいらっしゃるので大丈夫だとは思いますが……ルーイ先生も油断なされないように」
「れーくん、縁起悪いこと言わないでよね。それに、私もいるってこと、ふたり共忘れてない?」
拗ねたような口調でご兄弟の会話にミシェルさんが乱入した。元はと言えば、この調査は彼女だけで行う予定だった。ミシェルさんもレオン直属の精鋭部隊のひとり……セドリックさんと同じであまりイメージが湧かないけれど強いのだ。
「先生、安心して下さい。もし仮に何か起きようとも、このミシェルが先生とリズちゃんをばっちりお守り致しますからね!!」
「頼もしいなぁ、ミシェルちゃん。よろしくね」
ルーイ様の言葉にミシェルさんは機嫌を直したようだ。やる気十分といった様子で胸を張っている。
用心して頂くのは良いのだけど、何事も無い説を推している私としては、ご兄弟の胸騒ぎも気のせいであって欲しい。とにかく、皆が無事に調査を終えて戻って来ますようにと願った。
「はい!! すっごく素敵です。ルーイ先生」
姿見鏡の前でルーイ様はくるりと回る。外套の裾がその動きに合わせて舞い上がった。コートはブラウン、ベストは黒。ボトムスもダークブラウンで、装飾も派手過ぎず落ち着いた印象を与える装いだ。スタイルが良いからシルエットもとても綺麗。本人も言ってるけど、本当によく似合っている。最近のルーイ様は軽装ばかりだったから、このようなきっちりとした服装は初めて会った時以来だ。ミシェルさんが興奮しながらはしゃいでいる。
「私の服、サイズぴったりで良かったです」
「服貸してくれてありがとね、レナード君」
今朝方、レオンがお父様へ送った手紙の返事が来た。そこにはいつ訪問しても構わないと記されていたそうだ。そうしてルーイ様達は、明日一番で私の家へ向かうことに決まった。今はその準備をしている最中である。
「レナード君いてくれて良かったわ。俺に合う服ってなかなかなくてさ。上着は少しくらい小さくても我慢するけど下がね……」
ルーイ様の着替えは、まだそれほど数が揃ってはおらず、足りない時はセドリックさんの物を借りていたらしい。しかし、体に合わない服を無理やり着ていたので、どうしても見栄えが悪くなってしまう。私の家に先生として訪問するのに、そのような姿では格好がつかないとのことで、今回はレナードさんの服を拝借する流れになった。このふたりは背格好が似ているからね。
「足が短くてすみませんね」
「もうー、そんな事言ってないでしょ。セディったら卑屈にならないの」
昨日一日お休みをしていたセドリックさんは、そのおかげかすっきりしたような顔をしていた。ルーイ様と砕けたやり取りを交わす様子は微笑ましい。でも……何というか、普通である。
ルーイ様がセドリックさんへ向ける感情に、親愛以上の物が含まれているのではと邪推してしまったのだけれど……。以前、このふたりはお付き合いをしているのだと噂があった。セドリックさんは否定していたけれど、ルーイ様の方は本当に彼の事が――
「ふたりがデカいだけだよね。セドリックさんだって別に小さくないじゃん。俺より高いし」
ルイスさんの言葉から、今この場にいる人達の身長を見比べてしまう。1番小さいのはもちろん自分だ。
「そうそう、同じ目線で話せる人少ないから新鮮だよ。レナード君は身長いくつあるの?」
「私は192ですね」
「俺は194だよ。俺の方がちょっとだけ高いね」
身長が1番高いのはルーイ様、次いでレナードさん。それにセドリックさん、ルイスさんミシェルさんと続くのか。ここにはいないけど、クライヴさんはセドリックさんより大きくてレナードさんより小さかったから順番でいうと3番目か。
「クレハ様、あなたもご実家にお帰りになりたいだろうに、私共だけすみません」
「いいえ、皆さんはお仕事で行かれるのですから。王宮での生活も慣れてきましたので、気になさらないでください」
セドリックさんが申し訳なさそうに頭を下げる。家が恋しくないといえば嘘……家族にだって会いたい。しかし、釣り堀での事件も完全に解決したとは言い難い状態であるし、レオンが許可を出してはくれない。それについては私自身も仕方のないことだと納得している。
「レナード、ルイス。クレハ様を頼んだぞ。レオン様の体もまだ万全ではないし、おふたりの側から決して離れるな」
「分かってるって。つか、そっちこそ気をつけてね。魔法使いの仲間がいるかもしれないんでしょ?」
魔法使いの仲間……ジェフェリーさんがまだ心から安心できるような状況になってはいないのだと突き付けられる。周囲から見て、ジェフェリーさんがその仲間である可能性は残っているのだ。
「その魔法使いがいたというのは半年も前のことだからな。調査に行くこと自体が取り越し苦労に終わる可能性も高い。ニュアージュの名前が出ているから念のためだ」
「ニュアージュの魔法使いにも色々いるからね。シエルレクトは契約対象の人間性になんてこれっぽっちも興味がない。得られる見返りが良質であればいいんだ。その人物が聖人だろうが極悪人だろうが関係無いってことさ」
ルーイ様が私に向かって微笑みかけた。そうだ、どんな理由で私の家にいたのかは分からないけれど、ニュアージュの魔法使いだからといって悪い人とは限らない。
「決めつけちゃダメ……それも分かってるけどさぁ」
「ルイスも私も妙な胸騒ぎがするんですよ。セドリックさんがいらっしゃるので大丈夫だとは思いますが……ルーイ先生も油断なされないように」
「れーくん、縁起悪いこと言わないでよね。それに、私もいるってこと、ふたり共忘れてない?」
拗ねたような口調でご兄弟の会話にミシェルさんが乱入した。元はと言えば、この調査は彼女だけで行う予定だった。ミシェルさんもレオン直属の精鋭部隊のひとり……セドリックさんと同じであまりイメージが湧かないけれど強いのだ。
「先生、安心して下さい。もし仮に何か起きようとも、このミシェルが先生とリズちゃんをばっちりお守り致しますからね!!」
「頼もしいなぁ、ミシェルちゃん。よろしくね」
ルーイ様の言葉にミシェルさんは機嫌を直したようだ。やる気十分といった様子で胸を張っている。
用心して頂くのは良いのだけど、何事も無い説を推している私としては、ご兄弟の胸騒ぎも気のせいであって欲しい。とにかく、皆が無事に調査を終えて戻って来ますようにと願った。
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