大和さんはなんでも

高山奥地

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 「おうちデート」から一週間ほど経っていた。その間も大和さんの部屋にお邪魔したりおれの部屋に大和さんが来たりしていた。おれ達は同じ学生向け賃貸に住んでいるので行き来がお手軽にできる。
 それは夜だった。大和さんのバイトが終わったあたりの時間に彼から連絡があった。
「そっちに行ってもいいかな」
「どうぞ」
 と返信した。
 そして大和さんが今、目の前にいる。ベッドに横になった風呂上がりのおれの上に大和さんが乗っかっておれを眺めている。大和さんが言う。
「静くん、俺を抱けるか?」
 久しぶりに頭の中で警報が鳴るような直感が働いた。本当はそういうことをしてはいけないけれど、今、それをしないといけない。しないとこの関係は負ける。勝ち負けじゃないけど、でも、この関係を負けさせたくない。
「抱きたい、です」
 大和さんは、ははと笑っておれの上から退いた。そして言う。
「風呂入ってくる」
 大和さんがおれの部屋の風呂に入る。
 おれには大和さんが自棄になっているように見えた。自棄になって抱かれたがっているようだった。本当なら抱かない方がいい。でも、今抱かないと大和さんを繋ぎ止められない。そんな気がした。
 風呂から上がった大和さんはおれのベッドに横たわる。おれは大和さんの唇にキスした。何度も口を触れ合わせる。大和さんが口を開けたのでそこに舌を入れる。
 大和さんとキスしながら大和さんの身体を触る。手で上から下へ撫でていく。首筋を撫でて胸を触る。乳首に触れるが特に気持ちよくもなさそうなのでそのまま手を下に撫で下ろしていく。お腹を触って、大和さんのちんちんを撫でる。
 大和さんは別に乗り気じゃないんだろう。触れてみたそこはピクリとも反応しない。
 唇を離して大和さんに言う。
「大和さん、潤滑剤ない……。大和さんの髭剃りジェル使っていい?」
「うん。うん、かまわないよ」
 うちにいることも多いので大和さんは自分の髭剃りジェルをうちにも置いている。
 髭剃りジェルを手につける。もう片方の手で大和さんの片方の膝裏を持ち上げた。おれの肩に大和さんの膝をかけさせる。
 大和さんの尻穴のしわを撫でてジェルを馴染ませるように指を動かす。大和さんのお尻の穴に指を入れる。一本目はあっさり入った。二本目を入れる。あっさりとまではいかないが奥まで入れられた。中を撫でる。大和さんの眉間にしわが寄る。
 気持ちよくはなさそう。おれは聞く。
「気持ちいいとこある?」
「わからな……い。すま、ない……」
 いつか大和さんがお尻で気持ちよくなってくれるといいけれど、今は抱くという工程をこなすことが大切だ。指の抜き差しをゆっくり繰り返して、徐々にもう一本、指を足そうと試みる。大和さんのちんちんは萎えているけれどおれはその姿を見られるだけで喜びもひとしおだった。ずっと、大和さんの性器も中の様子も知りたかったのだ。
 指をもう一本足す。ゆっくりとそこに入れていく。抵抗感はさほどない。
「はい、ったか?」
 大和さんが聞く。おれは答える。
「指、三本入った……」
「ははは……、ん」
 大和さんが笑って、それから苦しそうな顔をした。指を中で動かしたからだ。
「痛い?」
「う、平気、だ」
 痛いか、もしくは苦しいんだろう。余計なことをしてしまった。おれは早く終わらせてやりたかった。
「大和さん、いれたい」
「ん……うん、きてくれ」
 大和さんのもう片膝も肩に乗せて、おれは自分のちんちんにゴムをつけると大和さんのお尻を拓いた。
 大和さんはお尻の穴に入れられている間、苦しそうにしていた。おれは少しは大和さんも気持ちよくならないかと頑張ったが大和さんの身体はいい反応を示さなかった。結局セックスしたという実績を重視すべく一人で達した。
 それから交互にシャワーを浴びて、来客用の布団を床に敷く。ベッドの方を大和さんに貸すと大和さんは大人しくそこに横たわった。
「何かあった?」
 言葉足らずな聞き方をしてしまう。大和さんが自棄になってセックスに誘った理由が知りたかったのだけれど伝わるか。
「ないしょ」
 大和さんがいつになくかわいい言い方をする。ベッドの側に座って大和さんを見つめると大和さんがおれの頭を撫でた。
「取るに足らないことだよ。どうかしてた」
 大和さんが言う。口調は軽快で、気持ちは落ち着いたように思えた。おれの頭を撫でて大和さんが言う。
「静くん、髪の毛ちょっと濡れてるな」
 さっきシャワーを浴びた時にお湯が飛んだのだろう。大和さんが起き上がってドライヤーを持ってくる。
「ちょっと乾かそう」
 そう言うとドライヤーのスイッチを入れておれの頭を乾かし始めた。さっきまでケツにちんちん入れられてたのにサッと起きられるのは腰、というか体幹が強いからなのかなぁ。
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