聖女ですが運命の相手は魔王のようです

臣桜

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聖女として魔族を倒しました!

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「さすがです、ガーネット様! 敵が何か言いかけても容赦なく攻撃をしかける、その非道っぷり! 痺れる!」

 私はガーネット様に向けて、ビシッと親指を立ててみせる。。

「任せな! まずは先制攻撃が大切だよ!」

 ガーネット様も私に向かって親指を立て、お気に入りの曲を口ずさみながら二発目の光球を作り出し、ギュンギュンと大きくしていく。

「ちょ……っ、ちょっ、まっ! お前達聖女だろ?! 初対面の人の話ぐらいちゃんと聞いたらどうだ!」

 黒い人は全身から煙を上げながら、焦って怒鳴る。

「うるさい! 大切な儀式を邪魔……すんなっ!」

 ガーネット様は「すんな」のタイミングで二発目の光球を飛ばした。

「だーっ! 待てっつってんだろ!」

 黒い人が一際大きな声で言ったかと思うと、彼の背中にある六枚の羽が体を守り、ガーネット様の攻撃を霧散させる。

「チッ」

 ガーネット様は舌打ちをし、今度は広範囲の術を使うため両手でロッドを構えた。

 大聖堂の中では貴族たちが悲鳴を上げて避難し始め、お父様たちは騎士に守られながらこちらを見守っている。

「魔術部隊、用意!」

 魔術師官がよく通る声で言い、部下達が手元で得意な術を溜め、一気に放つ準備をした。

 ……というか、いつもなら結界に阻まれて魔物は出現できないはずだけれど……。

「それだけ力の強い魔物ということかしら」

 私は顎に手をやり、呟く。

 有翼の魔族は多いけれど、通常なら一対のはずなのに三対もの翼を持っているとなると、かなり上位の魔族だろう。

 高位魔族は人間に近い姿を持ち、知性も高い。

 加えて角や翼、尻尾などには高い魔力を溜めると言われている。

 ――と、ガーネット様の声がした。

「あいつの狙いはあんただよ。危ないから下がってな」

 そう言うけれど、今日から正式な聖女となるのに、はいそうですかと引き下がって守ってもらう訳にいかない。

「私も戦います!」

 襲撃に驚いてボーッとしていたけれど、私も黒い人を迎撃すべく、両手を祈りの形に組む。

 見たところ聖属性の魔術に弱いみたいだから、私にとって有利な戦いになる。

「話を聞けって言っただろうが!」

 戦る気まんまんの聖女たちに業を煮やしたのか、魔族は私目がけて急降下してきた。

 ――このままだと、周りの人にも被害が及ぶかもしれない!

「消えなさい!」

 カッと両目を見開いた私は、祈りの力を一気に高めて思いきり放出した。

「ぐえっ」

 世界が光に包まれると思うほどの凄まじい光量の中、魔族は潰れたカエルのような声を残して灰と化した。

「勝った……」

 額に浮かんだ汗を拭った私はうっすらと笑う。

 そして儀式前の緊張と、襲撃を受けての初陣とで頭の中が真っ白になってしまい、その場に倒れてしまった。



**



「ん……」

 目覚めると、自分の寝室の天井が見えた。

「私……」

 呟いてから起き上がると、部屋の中は暗い。いつの間にか夜になっていたようだ。

 頭が重たくてズキズキと痛み、私は眉間に皺を寄せる。

「一体何が……」

 ガーネット様のように二日酔いになった訳じゃあるまいし……と思っていた時、次第に何があったのかを思いだしてきた。

「そうよ。儀式の途中で魔族の襲撃を受けて……。でも倒せたわ。良かった。聖女として皆を守れたわ」

「良かったな」

「ええ!」

 ねぎらう男性の声が聞こえ、私は元気よく頷き――、目を見開いた。

(ん?)
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