【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

文字の大きさ
52 / 810
クリスマスデート 編

首輪

しおりを挟む
 ドキドキしながらベッドの上で待っていると、それほど待たずに尊さんが来た。

「待たせて悪いな」

「いいえ」

 彼は何も言わないけれど、私が恥ずかしくないように気を遣ってくれたのは分かっている。

 でもひねくれた人だから、指摘してお礼を言えば「無粋だな」と言われてしまいそうだ。

 だから彼のさり気ない優しさは、そのまま受け取っておく事にした。

 尊さんはバスローブのベルトを解き、ベッドの上に乗る。

「ん」

 そして、私の手にポンとブラウンの箱を置いた。

「へっ?」

 エッチが始まると思っていた私は、いきなりプレゼントを渡されて声を漏らす。

 そして手にある箱を見て、思わず恐れおののいてしまった。

「ブルッ……」

 ブラウンとグレーが混じったような箱には、シャンパンゴールドの字で、世界に名だたるハイジュエリーブランドのロゴが刻まれていた。

「もっ、もらえません! 何で!?」

「クリスマスだろうが」

「あっ、やっ、そうだけど……!」

 私もプレゼントを用意していて、明日の朝にブランド物のネクタイを渡そうと思っていた。

 フライングされた……。いや、そうじゃなく。

「ていうか、もらえないって言われても困るよ。俺がつける訳にいかねぇし」

「そりゃそうですけど……」

 私は溜め息をつき、オレンジのリボンが掛かった正方形の箱を見つめる。

「じゃ、じゃあ……見るだけ……」

 私は緊張しながら、今までまったくご縁のなかったブランド物の箱を開く。

 中にはシンプルなシルバーのペンダントがあった。

 シンプルと言ってもリング状のチャームにはブランドの名前が刻まれていて、一目見れば超高級品だと分かる代物だ。

 デザインはシンプルでも、チャームの側面にはメレダイヤがびっしりついている。

 うう……、幾らするんだろう。

「そういうの似合いそうだと思って。普段着ている服もクール系が多いし、ピンクゴールドとか可愛い系よりは、シルバーのほうが身につけやすいかな、って」

「……あ、ありがとうございます……」

 そういうところを見て、プレゼントを選んでもらえたのは嬉しい。

「つけてやるよ」

 尊さんはそう言って、ペンダントを手に取る。

「髪、前によけて」

「はい」

 ペンダントをつけてもらうだけなのに、物凄くドキドキする。

 私はロングヘアをうなじから左右に分け、胸の前に垂らした。

「……ほっせぇ首」

 それを見て彼がボソッと呟いたのを聞き、私は俯いたままカーッと赤面する。

 首元で彼の手が動き、尊さんがあの大きな手で小さな留め具を弄っているのだと思うと、ニヤニヤしてしまう。

 おまけにくすぐったくて、つい首をすくめてしまった。

「ん」

 ペンダントをつけてくれた尊さんが、シャラッとチェーンを撫で、私の髪を背中に撫でつけた。

 顔を上げると、優しい顔で微笑んだ彼がいる。

「似合うじゃねぇか」

 そう言って、尊さんは私の鎖骨の下にあるチャームを、ポンと弾ませた。

「あ……、ありがとうございます……。わっ! ……と」

 次の瞬間、いきなり尊さんがチャームを摘まみ、軽くチェーンを引っ張ったので、私は慌てて前屈みになる。

 こんな高級アクセサリー、もらって早々壊せない!

 私は必死に前のめりになり、最後には四つん這いになった。

 そんな私を見下ろし、尊さんは悪い顔で笑う。

「首輪」

「…………は?」

 いきなりそう言われ、私は目を見開いて顔を上げる。

「これをつけてる限り……、いや、持ってる限り、お前は俺のもんな」

「事後報告!」

 思わず言った私を見て、彼はクツクツと笑って額にキスをしてきた。

「あー……、でもこういう条件出すなら、もっと高いやつにすれば良かったな」

「十分です! お願いだから高い物買わないで!」

 私は尊さんの手を両手で握り締め、ヒンッ! と泣きついた。
しおりを挟む
感想 2,607

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」

まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。 【本日付けで神を辞めることにした】 フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。 国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。 人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 アルファポリスに先行投稿しています。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

「君はいらない」と捨てられた夜、天敵の冷徹社長に「なら、俺が貰う」と拾われました。――手を出さない約束でしたが、彼の理性が限界のようです

白山 乃愛
恋愛
【婚約破棄から始まる、不器用なライオン(冷徹社長)の猛烈な求愛!】 「俺の妻になるなら覚悟しろ。……もう、指一本逃がすつもりはない」 ★あらすじ★ 「美月は完璧すぎて、可愛げがないんだよ」 28歳の誕生日。 一流ホテルのウエディングプランナーである相沢美月(あいざわ みつき)は、婚約者の裏切りにより、結婚目前ですべてを失った。 雨の降る路地裏。 ヒールも折れ、心も折れてうずくまっていた美月の前に現れたのは、かつての高校時代の天敵であり、現在は勤務先の冷徹な社長 一条蓮(いちじょう れん)だった。 「捨て猫以下だな」 そう憎まれ口を叩きながらも、彼は泥だらけの美月を躊躇なく抱き上げ、最高級ペントハウスへと連れ帰る。 そして、彼が突きつけたのは、あまりにも強引な提案だった。 「住む場所がないなら、俺の家に来い。その代わり――俺の『婚約者』役を演じろ」 利害の一致した契約関係。 条件は「お互いに干渉しないこと」、そして「決して手を出さないこと」。 ……のはずだったのに。 「髪、濡れたままだと風邪を引く」 「あんな男のために泣くな。顔が台無しだ」 同居生活で見えてきたのは、冷徹な仮面の下に隠された、不器用すぎるほどの優しさと独占欲。 美月が作った手料理を誰よりも美味しそうに食べ、元婚約者が復縁を迫ってくれば「俺の女に触れるな」と徹底的に排除する。 天敵だったはずの彼に守られ、凍っていた美月の心は次第に溶かされていく。 しかし、ある雷雨の夜。 美月が不用意に彼に触れた瞬間、一条の理性のタガが外れてしまい――。 「……手を出さない約束? 撤回だ」 「そんな無防備な顔で見つめて、何もしないでいられるほど、俺は聖人君子じゃない」 10年越しの片思いをこじらせたハイスペック社長 × 仕事熱心で恋愛に臆病なプランナー。 契約から始まった二人の関係が、本物の愛(溺愛)に変わるまで。 元婚約者への痛快な「ざまぁ」も収録した、極上の大人のシンデレラストーリー! 【登場人物】 ◆相沢 美月(28) ホテルの敏腕ウエディングプランナー。真面目でお人好しな性格が災いし、「つまらない女」と婚約破棄される。実は家事万能で、酔うと少しだけ甘えん坊になる(本人は無自覚)。 ◆一条 蓮(28) ホテルグループの社長。美貌と才覚を併せ持つが、他人に興味を示さないため「氷の貴公子」と呼ばれる。実は高校時代から美月を一途に想い続けており、彼女のこととなると冷静さを失う。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

処理中です...