【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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見守るようになった理由 編

あのバカ

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 年明けになってから、俺は速水家の周囲をグルリと歩き『なるほど、豪邸だな』と思って東京に戻った。

 本当ならもっと、速水家に複雑な感情を持っていたはずだった。

 だが朱里とパンチの効いた出会いをしたため、速水家への興味が薄れたようだ。

 東京に戻ったあとまた大学に通い、様々な感情を日常の中に織り込めていくなか、時々朱里を思いだしていた。

(あいつ、元気かな)

 朱里のその後を気にしてしまうのは、ある種の責任を感じているからだろう。

 俺は自分に言い訳しながら、『見つかる訳ねぇよな』と呟いて、彼女のフルネームをネットで検索する。

 ――と、予想外にヒットして、ガックリと項垂れた。

『…………あった……。……………………アホか』

〝今野朱里〟というフルネームとマスクをした自撮りが乗っているのは、実名系のSNSだ。

 ご丁寧にも通っている学校名までプロフィール欄に書いていて、思わずスマホをクッションに投げつけたくなる。

『あのバカ……!』

 俺は大きな溜め息をつき、倒れ込むようにソファに寝転がった。

『バカたれが』

 俺は大きな溜め息をつき、倒れ込むようにソファに仰向けになった。

 更新頻度は高くないが、ファストフードや道ばたの花、野良猫の写真などがポツポツと投稿されてある。

 積極的に交流するタイプではないのか、第三者とやり取りはしていない。

 安堵したものの、女子中学生が顔を晒したアカウントなんて、いつ変態に見つかるか分からない。

 もうあの子には関わらないつもりでいたが、どうしても気になって仕方がない。

 投稿では律儀にも立ち寄った飲食店の店名まで記してあり、頭が痛くなる。

 だがそのお陰で、彼女の行動範囲が分かった。

 通っているのは中野区にある、偏差値が高めの一貫校。……なのにこんなにアホな事をやってるって、どういう事だ。

(……偏差値的には、頭は悪くないんだろう。……考えられるとして、肝心なところですげぇ抜けてるとか)

 そう見当をつけ、あながち間違いではないような気がしてきた。

 会話している時、『相手は中学生だから』と下に見ず対等に話せた感覚があった。

 社会的にはまだ子供でも、理解力はあり地頭がいい。

(それに……)

 覚えていてはいけないのに、罪悪感と共に、柔らかい胸の感触を思いだす。

(……中学生にしてはでかかったよな)

 朱里は発育がかなり良く、俺が中学生の時にあんな胸をした同級生はいなかった。

 成人女性でも朱里ほど大きい人は滅多にいない。基本的に、体型と胸のサイズが比例しているのが普通なのだと思う。

 痩せているのに目を引くほど胸が大きい女性は、少ないほうだと思う。

(遺伝かな……)

 俺はそんな事を思いながら、顔の知らない変態が朱里のSNSを見ている想像をし、ブルッと身を震わせた。

『やべぇだろ!』

 うがーっ! となった俺は、朱里が通っている学校の場所を調べ始めた。

 そしてマップアプリでブックマークをつけ、近くの駐車場を探し――――、改めて考え始めた。

『ちょっと待て? いきなり学校の前で待ち伏せる? やべぇだろ』

 勢いのまま突っ走ろうとした自分にストップを掛け、ガシガシと頭を掻く。

『冷静になれ。考えろ……』

 呟いた俺は、少しでもマシに朱里に近づけないか、一人会議を始めた。



**



 一月半ばの金曜日、俺は朱里が通っている学校近くの駐車場に車を止めた。

 周囲は住宅街で、学校の近くには地下鉄丸ノ内線の駅がある。

 下校時刻になると道に迷っている通行人を装って、校門の近くに向かった。

(やべぇ……。今すぐ立ち去りたい)

 当たり前だが校門から出てくるのは中高校生ばかりで、あまりの場違い感に消え去りたくなる。

 調べた結果、朱里は高円寺付近に住んでいて、自転車通学なのではと見当をつけている。

 なぜかというと、SNSに頻繁に上がっていたファストフードの店舗を調べると、高円寺駅付近のものばかりだったからだ。

 加えて学校から高円寺駅まで、チャリで十五分程度だ。

 遠距離の通学でなければ、交通機関を使わず自転車通学になるだろう。

 いっぽうで、SNSで友人と一緒に出かけたとおぼしき写真は、高円寺以外の場所が多かった。

 高円寺付近の店には一人で訪れているらしく、友人は朱里と違う通学路を使っていると予測した。

 そこまで見当をつけた俺は、とりあえず朱里の友人に話を聞いてみる事にした。
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