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亮平 編
じゃあ、三人でどうです?
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「探したんだぞ。どこへ……」
歩み寄ってくる亮平はすぐ尊さんに気づき、彼が〝誰〟なのか、ピンときたらしい。
亮平が複雑な表情で固まっていると、尊さんは微笑んで挨拶をした。
「初めまして。朱里さんのお兄さんの亮平さんですね。私は彼女とお付き合いしております、速水尊と申します」
「あ……、ああ、初めまして。上村亮平と申します」
喧嘩を売られると思っていたのに、意外にも尊さんが明るく挨拶してきたから、亮平は調子を崩している。
私も一瞬心配してしまったけれど、やっぱり尊さんは大人だ。
一時の感情で突発的に行動しないし、怜香さんによって鍛えられた鋼のメンタルがあるから、亮平ごときでは動じない。……のだと思う。
内心ムカついてはいるだろうけど、彼はそれを表に出さない大人だ。
「今日、朱里さんからは『実家に向かう』と伺っていました」
それを聞き、亮平の顔がまた強張る。
「私と結婚する事をご家族に伝えるためと聞いていましたが、緊張していたと思います。お義兄さんに横浜まで連れてきてもらって、息抜きになったんじゃないでしょうか」
うおおう……。尊さん、すっごいギリギリのところを攻めてる。
亮平が独断で私を横浜に連れてきたのを「知ってるぞ」と言っておきながら、それを責めずフォローしている。
この一言で、尊さんは精神的に亮平より優位に立った。
もしも尊さんが気の短い人なら、義兄になる人であっても「心配させんなゴラァ!」ってなっていたかもしれない。
そこまでいかなくても、普通なら険悪な雰囲気になってもおかしくない。
(だって心配して電話を掛けてくれたのに、出た瞬間、亮平が取り上げて切ったもんなぁ……)
心の中で呟いた時、スマホをとられたままなのを思いだした。
「あっ! スマホ返して!」
慌てて手を突き出すと、亮平はスマホを返してくれた。
危ない……。忘れていた訳じゃなかったけど、忘れるとこだった。
尊さんは私がスマホをポケットに入れるのを確認してから、亮平にニコッと笑いかけた。
「飯、食いましたか?」
「いや……」
「じゃあ、三人でどうです? もう昼過ぎですし、中華街に来ておいて何も食べずに帰るのは勿体ないので」
攻めるなぁ!
私はびっくりして目を丸くし、尊さんを見るけれど、彼は悠然と微笑んだままだ。
まるで「俺に任せておけ」と言われているみたいで、そんな態度をとられたら逆らう気持ちもなくなる。
(尊さんが一緒なら怖くない。……むしろ尊さんがなんとかしてくれるなら、頼りたい)
彼が何も考えずこんな事を提案したと思えない。
それにこれは『攻撃こそ最大の防御』……なのかな。
「……分かりました」
少しの間呆けていた亮平は、しぶしぶ了承する。
「じゃあ行きましょうか。好きな料理ありますか? 俺は点心が食いたいですね」
「私は小龍包食べたい」
「亮平さんは?」
尊さんは私の手を握り、私と亮平の仲を裂くように真ん中を歩いている。
もうその態度からバッチバチなんだけど、あくまで物腰柔らかだ。
これが大人の戦い方なのかな。……思ってたよりこっちのほうがずっと怖いかも。
「あー……、麺類、かな。麻婆豆腐も……」
「あっ、麺! 私、あれがいいな。あれ」
とっさに名前が出てこず、私はシュッシュッシュ、と何かを削るジェスチャーをする。
「刀削麺か?」
尊さんに言われ、私はうんうんと頷く。
「そう! それ! 食べてみたかったけど、機会がなかったので」
「じゃあ、刀削麺のある店を探しましょうか。他の中華は大体あると思うので」
「いいですよ」
尊さんの提案に、亮平は大人しく従った。
スマホでお店を検索したあと、三人でお店のあるほうへ歩き始める。
「こうやって二人で中華街に来るって事は、兄妹仲はいいんですか?」
尊さんが笑顔でぶっ込み、私は思わず横を向いて「うわぁ……」と顔を強張らせる。
亮平は少し黙っていたけど、苦しい言い訳をする。
「悪くはないと思います」
すっごい微妙だな……。良くはないのは確かだけど。
「そうですか。さっき朱里さんに電話を掛けた時、お兄さんが電話を切ったんですよね? お取り込み中だったんでしょうけど、邪魔してしまってすみません」
尊さんの切り込みが凄くて、私は変な汗を掻いていた。
歩み寄ってくる亮平はすぐ尊さんに気づき、彼が〝誰〟なのか、ピンときたらしい。
亮平が複雑な表情で固まっていると、尊さんは微笑んで挨拶をした。
「初めまして。朱里さんのお兄さんの亮平さんですね。私は彼女とお付き合いしております、速水尊と申します」
「あ……、ああ、初めまして。上村亮平と申します」
喧嘩を売られると思っていたのに、意外にも尊さんが明るく挨拶してきたから、亮平は調子を崩している。
私も一瞬心配してしまったけれど、やっぱり尊さんは大人だ。
一時の感情で突発的に行動しないし、怜香さんによって鍛えられた鋼のメンタルがあるから、亮平ごときでは動じない。……のだと思う。
内心ムカついてはいるだろうけど、彼はそれを表に出さない大人だ。
「今日、朱里さんからは『実家に向かう』と伺っていました」
それを聞き、亮平の顔がまた強張る。
「私と結婚する事をご家族に伝えるためと聞いていましたが、緊張していたと思います。お義兄さんに横浜まで連れてきてもらって、息抜きになったんじゃないでしょうか」
うおおう……。尊さん、すっごいギリギリのところを攻めてる。
亮平が独断で私を横浜に連れてきたのを「知ってるぞ」と言っておきながら、それを責めずフォローしている。
この一言で、尊さんは精神的に亮平より優位に立った。
もしも尊さんが気の短い人なら、義兄になる人であっても「心配させんなゴラァ!」ってなっていたかもしれない。
そこまでいかなくても、普通なら険悪な雰囲気になってもおかしくない。
(だって心配して電話を掛けてくれたのに、出た瞬間、亮平が取り上げて切ったもんなぁ……)
心の中で呟いた時、スマホをとられたままなのを思いだした。
「あっ! スマホ返して!」
慌てて手を突き出すと、亮平はスマホを返してくれた。
危ない……。忘れていた訳じゃなかったけど、忘れるとこだった。
尊さんは私がスマホをポケットに入れるのを確認してから、亮平にニコッと笑いかけた。
「飯、食いましたか?」
「いや……」
「じゃあ、三人でどうです? もう昼過ぎですし、中華街に来ておいて何も食べずに帰るのは勿体ないので」
攻めるなぁ!
私はびっくりして目を丸くし、尊さんを見るけれど、彼は悠然と微笑んだままだ。
まるで「俺に任せておけ」と言われているみたいで、そんな態度をとられたら逆らう気持ちもなくなる。
(尊さんが一緒なら怖くない。……むしろ尊さんがなんとかしてくれるなら、頼りたい)
彼が何も考えずこんな事を提案したと思えない。
それにこれは『攻撃こそ最大の防御』……なのかな。
「……分かりました」
少しの間呆けていた亮平は、しぶしぶ了承する。
「じゃあ行きましょうか。好きな料理ありますか? 俺は点心が食いたいですね」
「私は小龍包食べたい」
「亮平さんは?」
尊さんは私の手を握り、私と亮平の仲を裂くように真ん中を歩いている。
もうその態度からバッチバチなんだけど、あくまで物腰柔らかだ。
これが大人の戦い方なのかな。……思ってたよりこっちのほうがずっと怖いかも。
「あー……、麺類、かな。麻婆豆腐も……」
「あっ、麺! 私、あれがいいな。あれ」
とっさに名前が出てこず、私はシュッシュッシュ、と何かを削るジェスチャーをする。
「刀削麺か?」
尊さんに言われ、私はうんうんと頷く。
「そう! それ! 食べてみたかったけど、機会がなかったので」
「じゃあ、刀削麺のある店を探しましょうか。他の中華は大体あると思うので」
「いいですよ」
尊さんの提案に、亮平は大人しく従った。
スマホでお店を検索したあと、三人でお店のあるほうへ歩き始める。
「こうやって二人で中華街に来るって事は、兄妹仲はいいんですか?」
尊さんが笑顔でぶっ込み、私は思わず横を向いて「うわぁ……」と顔を強張らせる。
亮平は少し黙っていたけど、苦しい言い訳をする。
「悪くはないと思います」
すっごい微妙だな……。良くはないのは確かだけど。
「そうですか。さっき朱里さんに電話を掛けた時、お兄さんが電話を切ったんですよね? お取り込み中だったんでしょうけど、邪魔してしまってすみません」
尊さんの切り込みが凄くて、私は変な汗を掻いていた。
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