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実家に挨拶 編
継姉のどこが好きなんですか?
「ありがとう……っ」
両手で口元を覆って「うぐー」と泣く私の背中を、尊さんがポンポンと叩いてくれる。
その時、亮平が口を開いた。
「速水さん、寿司で苦手なネタありますか?」
「いえ、なんでも食べます」
亮平よ、まだ気にしてたのか……。
「昼に寿司屋の出前とったんですが、一緒に食べましょう。結構美味い店なので」
「楽しみにしています」
そのあとは明るい雰囲気での雑談となった。
私が近いうちに尊さんの家に引っ越し、同棲する予定だと伝えると、母はめちゃくちゃ乗り気になっていた。
「あらー! いいじゃない! お母さんも荷造り手伝うわね。その時に速水さんのお住まいをちょっと拝見したいなー、なんて」
「お母さん」
調子に乗ったら駄目だ、若菜。
「いえ、全然構いませんからどうぞ。引っ越しを終えたあかつきには、うちでホームパーティーでもしましょうか」
「あらやだ素敵」
「も~、尊さんは甘いんだから……」
そこまで言った時、黙っていた美奈歩が質問した。
「速水さんはどこにお住まいなんですか?」
「三田にあるマンションです。今まで特に不自由なく暮らしていて、朱里さんと二人暮らしなら問題ないかと思っていますが、いずれ子供ができる事を考えて一戸建てや、もっと広いマンションなど、新しい物件もボチボチ探しつつあります」
「尊さん、初耳なんだけど!?」
美奈歩が質問したっていうのに、私はぐりんっと彼のほうを見て訴える。
「いや、今初めて言ったけど、悪い。……でもそう思わないか? 子供が小さいうちはいいけど、成長してきたらプライベートな空間があったほうがいいし」
「それはそうだけど……」
子供……。
それを考えただけで、ジワジワと頬が赤くなって俯いてしまう。
「速水さんって、社長さんの息子さんですし、お金持ちですか?」
……美奈歩。それ聞いちゃうの?
ものすごーく微妙な気持ちになった私は、困った顔で継妹を見る。
でも彼女は私の視線など気にしておらず、尊さんに興味津々だ。
「一応、家族が増えても困らない生活はできると思っています」
尊さんがとてもソフトな表現をすると、家族はそれぞれ想像して納得したのか、「ほー……」という顔をしている。
気になるのは分かるけど、……うん、ソフトに頼む。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、寿司きたかも」
亮平が立ちあがり、玄関に向かう。
その途中で電話台の所に置いてあったお財布を手に取ったから、今日のお寿司は亮平持ちか。ごちそうさまです。
そのあと、六人分のお寿司と茶碗蒸し、唐揚げを広げてのランチとなった。
美味しく楽しく過ごしていたんだけど、食べ終わったあとに尊さんがお手洗いに立った時、さり気なく美奈歩がスマホを手に取って席を立ち、なんだか気になってしまった。
手洗いを借りて手を洗い、ドアを開けると美奈歩さんが立っていて一瞬ビビった。
リビングダイニングに行くにはスライド式のドアを開ける必要があるので、朱里からこちらは見えない。
……朱里、気にしてるだろうな。
「すみません、待たせてしまいましたね」
トイレ待ちされるのはちょっと気まずいものの、俺は美奈歩さんに声を掛け、スッと戻ろうとする。
「速水さん」
「はい?」
話しかけられ、俺は立ち止まる。
「継姉のどこが好きなんですか?」
……なるほど。きたな。
朱里から関係がギスギスしているとは聞いていたが、こういう感じでくるとは。
「先ほど朱里さんが言ったように、彼女とは十二年前からご縁がありました。会社で偶然再会するとは思っていなくて、その運命も含めてすべて好きです」
十二年間のストーキングは、朱里と相談して言わない方向にしている。
「……私が先に会いたかったな」
……なるほど。そうきたか。
両手で口元を覆って「うぐー」と泣く私の背中を、尊さんがポンポンと叩いてくれる。
その時、亮平が口を開いた。
「速水さん、寿司で苦手なネタありますか?」
「いえ、なんでも食べます」
亮平よ、まだ気にしてたのか……。
「昼に寿司屋の出前とったんですが、一緒に食べましょう。結構美味い店なので」
「楽しみにしています」
そのあとは明るい雰囲気での雑談となった。
私が近いうちに尊さんの家に引っ越し、同棲する予定だと伝えると、母はめちゃくちゃ乗り気になっていた。
「あらー! いいじゃない! お母さんも荷造り手伝うわね。その時に速水さんのお住まいをちょっと拝見したいなー、なんて」
「お母さん」
調子に乗ったら駄目だ、若菜。
「いえ、全然構いませんからどうぞ。引っ越しを終えたあかつきには、うちでホームパーティーでもしましょうか」
「あらやだ素敵」
「も~、尊さんは甘いんだから……」
そこまで言った時、黙っていた美奈歩が質問した。
「速水さんはどこにお住まいなんですか?」
「三田にあるマンションです。今まで特に不自由なく暮らしていて、朱里さんと二人暮らしなら問題ないかと思っていますが、いずれ子供ができる事を考えて一戸建てや、もっと広いマンションなど、新しい物件もボチボチ探しつつあります」
「尊さん、初耳なんだけど!?」
美奈歩が質問したっていうのに、私はぐりんっと彼のほうを見て訴える。
「いや、今初めて言ったけど、悪い。……でもそう思わないか? 子供が小さいうちはいいけど、成長してきたらプライベートな空間があったほうがいいし」
「それはそうだけど……」
子供……。
それを考えただけで、ジワジワと頬が赤くなって俯いてしまう。
「速水さんって、社長さんの息子さんですし、お金持ちですか?」
……美奈歩。それ聞いちゃうの?
ものすごーく微妙な気持ちになった私は、困った顔で継妹を見る。
でも彼女は私の視線など気にしておらず、尊さんに興味津々だ。
「一応、家族が増えても困らない生活はできると思っています」
尊さんがとてもソフトな表現をすると、家族はそれぞれ想像して納得したのか、「ほー……」という顔をしている。
気になるのは分かるけど、……うん、ソフトに頼む。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、寿司きたかも」
亮平が立ちあがり、玄関に向かう。
その途中で電話台の所に置いてあったお財布を手に取ったから、今日のお寿司は亮平持ちか。ごちそうさまです。
そのあと、六人分のお寿司と茶碗蒸し、唐揚げを広げてのランチとなった。
美味しく楽しく過ごしていたんだけど、食べ終わったあとに尊さんがお手洗いに立った時、さり気なく美奈歩がスマホを手に取って席を立ち、なんだか気になってしまった。
手洗いを借りて手を洗い、ドアを開けると美奈歩さんが立っていて一瞬ビビった。
リビングダイニングに行くにはスライド式のドアを開ける必要があるので、朱里からこちらは見えない。
……朱里、気にしてるだろうな。
「すみません、待たせてしまいましたね」
トイレ待ちされるのはちょっと気まずいものの、俺は美奈歩さんに声を掛け、スッと戻ろうとする。
「速水さん」
「はい?」
話しかけられ、俺は立ち止まる。
「継姉のどこが好きなんですか?」
……なるほど。きたな。
朱里から関係がギスギスしているとは聞いていたが、こういう感じでくるとは。
「先ほど朱里さんが言ったように、彼女とは十二年前からご縁がありました。会社で偶然再会するとは思っていなくて、その運命も含めてすべて好きです」
十二年間のストーキングは、朱里と相談して言わない方向にしている。
「……私が先に会いたかったな」
……なるほど。そうきたか。
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