【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

文字の大きさ
338 / 790
猫洗い 編

私、知ってますよ

しおりを挟む
「すげぇな……」

 尊さんは溜め息をつき、私の胸元をしげしげと見る。

「私もローション使ったの初めてなので、こんなになるとは思いませんでした。……なんかエイリアンが生まれたあとみたいですね」

「ぶふっ」

 SF映画の特殊効果の粘液を思いだしたのだけれど、尊さんは横を向いてクックックッ……と笑っている。

「あ、すみません。静かに賢者タイムを過ごしたいですよね」

「……そういうのいいから。賢者タイムを気遣われるとか……」

「私、知ってますよ」

 胸を張ってドヤ顔をすると、尊さんは困惑顔で「何を?」と尋ねてくる。

「今、尊さんの脳内ではプロラクチンが大量に分泌されてドーパミンやテストステロンが抑えられているんです」

 ネットで調べて学んだ知識を披露すると、尊さんはガクッと項垂れる。

「エッチ後のプロラクチン分泌は、自慰行為の四倍多いんです。だからセックス終わったあとに彼氏が冷たくなるんですって」

「どこで調べるんだよそんなの……」

「えーと、見たのは確かEDのお医者さんのサイトでした」

 答えると、尊さんはまた項垂れる。

「……一応まだまだ元気だよ。なんなら朝まで啼かせてやってもいいけど」

「や、それは遠慮します」

 尊さんは絶倫の部類に入るっぽくて、今まで最高三、四回はした記憶がある。

『やろうと思えばもうちょっといけるかも』なんて言ってたけど、そんな事をされたらこっちの体力がもたない。

 尊さんは億劫そうに立ちあがると、一度洗面所に出てからティッシュを手に戻り、私の胸元を拭く。

 それから「これ使って体洗ってくれ」と、着物姿の女性のイラストがあるボディソープを出してきた。

「あっ、これ知ってる。死ねどすスプレーで有名な……」

「そうなのか? 塩系のボディソープっていうから、これが良さそうかと思って買ったんだが。……しかし穏やかじゃねぇ商品名だな」

 私はボディソープを手に取り、泡立ててから胸元を洗う。

 尊さんも同様に手や陰部についたローションを洗っていた。

「塩なんですか?」

「そう。ローションって塩で分解されるらしくて。あとは熱めのシャワーを当てて叩くように洗うとか、湯船に浸かっちまうとかあるらしいが、できるだけサラサラにして排水溝に流したいから」

「なるほど」

 言われたとおり、塩系のボディソープで体を洗っていると、ローションのネバネバがサラサラに変わっていく。

「で? 死ねどすスプレーって何?」

 尋ねられ、私は半笑いで答える。

「いや、商品名はこのボディソープと同じくお清め系なんですけど、そのスプレーを使ったら嫌な客が来なくなったとか、上司が左遷されたとか、口コミが出てるから一部界隈で有名なんです」

「へぇ……。色んな商品があるもんだな」

 尊さんは感心して頷き、「俺も使われてたりして」と薄笑いを浮かべる。

「大丈夫ですよ。うちの部署はみんな尊さんの事大好きですもん」

「……そうだといいけど」

 体を洗い終わった私たちは、湯冷め防止のためにまたバスタブに浸かってゆっくり温まる。

「……っていうかさっきの賢者タイムの話、勝手に想像して悪いけど、田村クン関係で調べた?」

「あ、うーん……。……そうです」

 私は苦笑いし、大きなバスタブの中で体育座りをする。

「……昭人の話、してもいいです?」

「いいよ。もう過去の男だから」

 そう言い切れる尊さんは大人だな、と感じた。

「……昭人とエッチして、手でされて痛いけど我慢して、挿入してもガンガン突かれて痛くて、終わったあとはあそこがヒリヒリしてました。凄く雑に扱われた気持ちになって、体も心も消耗して癒しがほしいなと思って、イチャイチャしたかったんです。……でも『そういう気分じゃない。お前は動かないからいいけど、俺は疲れてるの』って言われました。……その通りなんでしょうけど、なんだか寂しかったな……」

 尊さんは溜め息をつき、「まぁ予想の範疇かな」と呟く。

「だから『男性も大変なんだ』って思って賢者タイムについて調べて、男性の体のメカニズムを頭に叩き込みました。私だってPMSでイライラしちゃう時があるし、性差で理解しきれないところがあるのは仕方ないよな……って」

「けどさ、田村クンは朱里のPMSに理解を示してくれた訳?」

 尋ねられ、私は苦笑いして首を横に振った。
しおりを挟む
感想 2,510

あなたにおすすめの小説

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

処理中です...