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ゴールデンウィーク 編
未知との遭遇
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今夜はランド入り口の真向かいにある、ラビティーランドホテルに泊まる予定になっている。
白亜のお城! という外装のホテルに泊まれるなんて今からテンションぶち上がりだけれど、先にランドを楽しんでからゆっくりさせてもらう事にする。
駐車場は当日の深夜零時から利用可能らしく、私たちは朝一で車で移動し、途中で恵を拾って現地に来ている。
いま別行動なのは、恵が『ホテルの外観を写真に撮りたい』と言ったからだ。
先にエントランス前にいる私たちは、とりあえず全員集合してから並ぼうと思い、先に並んでいる人たちの邪魔にならない所で、コソコソとおにぎりを食べている。
なお、涼さんは尊さんの車に乗らず、自分の車で来るらしい。
ホテルの荷物預かりは朝六時から可能なので、大きい荷物を預けた上でここにいる。
「早くきなしゃんせ、……と」
私は恵にメッセージを送り、「てやっ」と送信する。
それから、二個目のおにぎりを剥いて食べ始めた。
「ツナマヨ二個か」
「ツナマヨは鉄板ですね。いつも二個目を明太子、いくら、シャケ辺りでローテーションしているんですが、今日はツナマヨ欲が強かったです。そうだ、昔、手巻きおにぎりで海老マヨネーズってありませんでした?」
「あー、確かにあったかも」
「今はツナマヨか納豆か、ネギトロか……、みたいな感じですね」
「コンビニって気に入った商品ができても、相当な鉄板ネタじゃないと、いつの間にかなくなってるよな」
「それ~!」
私は激しく同意を示したあと、最後の一口を口の中に放り込む。
「お待たせ~」
その時、ホクホクした恵がやってきた。
彼女はベージュのカーヴィパンツに紺色のTシャツ、ジージャンに黒スニーカーだ。
パンツのゆるっとしたシルエットや、大ぶりなリングのピアスが恵の雰囲気にとても似合っている。
「お待たせ」
同時に片手を上げて到着したのは涼さんだ。
彼はクラッシュデニムにブランド物らしいロゴの入った黒T、その上にスウェット地のジャケットを着て赤いスニーカーを履いている。
同時の登場となった恵と涼さんは、「ん?」という顔でお互いを見ていた。
「えっと、恵。こちらが三日月涼さん。涼さん、こちらが私の親友の中村恵さん」
私は両手を胸の前でクロスさせ、二人を紹介する。
恵は目をパチクリとさせて高身長の涼さんを見ていたけれど、「ども」と頭を下げる。
涼さんもまた恵を見ていたけれど、いきなり質問しだした。
「ちなみにポテチ、焼き鳥はどっち派? チョコレートはビター? ミルク?」
「のり塩、塩、ミルクです」
「仲良くなれそうだ」
頷いた涼さんは、握手の手を差しだし、恵はよく分かっていない顔をして彼の手を握り返した。
「好きな酒は?」
「えぇ……? ビールと焼酎、日本酒、ワインとカクテルです」
「好きな季節は?」
「近年は暑すぎるけど夏」
「よし、仲良くなれそうだ」
涼さんはもう一度同じ言葉を繰り返し、ギュッギュッと恵と握手をする。
恵は思った通り困惑した顔をしていて、尊さんは顔の前で手を立ててチョンチョンとし、「すまん」と謝っている。
「とりあえず、並ぼうか」
尊さんが言い、私たちはゾロゾロと列の最後尾に向かった。
その途中、恵がヒソヒソと囁いてきた。
「涼さん、変わった人だね」
「……まぁね。でも悪い人じゃないと思うから、二泊三日、宜しく」
「まぁ、いいけど。……その代わり、今度パンケーキかヌン活か、デートしてよ?」
「了解」
私はグッとサムズアップし、恵と手を繋いでブラブラさせる。
そんな私たちを見て、涼さんが言う。
「『乙女の港』か?」
「三角関係じゃないだろ」
川端康成の作品を出されて突っ込んだ尊さんに、涼さんはまじめな顔で言う。
「みと子?」
「ぶふっ」
まさかの私と尊さんしか知らない〝みと子〟の登場に、私は思わず噴き出した。
白亜のお城! という外装のホテルに泊まれるなんて今からテンションぶち上がりだけれど、先にランドを楽しんでからゆっくりさせてもらう事にする。
駐車場は当日の深夜零時から利用可能らしく、私たちは朝一で車で移動し、途中で恵を拾って現地に来ている。
いま別行動なのは、恵が『ホテルの外観を写真に撮りたい』と言ったからだ。
先にエントランス前にいる私たちは、とりあえず全員集合してから並ぼうと思い、先に並んでいる人たちの邪魔にならない所で、コソコソとおにぎりを食べている。
なお、涼さんは尊さんの車に乗らず、自分の車で来るらしい。
ホテルの荷物預かりは朝六時から可能なので、大きい荷物を預けた上でここにいる。
「早くきなしゃんせ、……と」
私は恵にメッセージを送り、「てやっ」と送信する。
それから、二個目のおにぎりを剥いて食べ始めた。
「ツナマヨ二個か」
「ツナマヨは鉄板ですね。いつも二個目を明太子、いくら、シャケ辺りでローテーションしているんですが、今日はツナマヨ欲が強かったです。そうだ、昔、手巻きおにぎりで海老マヨネーズってありませんでした?」
「あー、確かにあったかも」
「今はツナマヨか納豆か、ネギトロか……、みたいな感じですね」
「コンビニって気に入った商品ができても、相当な鉄板ネタじゃないと、いつの間にかなくなってるよな」
「それ~!」
私は激しく同意を示したあと、最後の一口を口の中に放り込む。
「お待たせ~」
その時、ホクホクした恵がやってきた。
彼女はベージュのカーヴィパンツに紺色のTシャツ、ジージャンに黒スニーカーだ。
パンツのゆるっとしたシルエットや、大ぶりなリングのピアスが恵の雰囲気にとても似合っている。
「お待たせ」
同時に片手を上げて到着したのは涼さんだ。
彼はクラッシュデニムにブランド物らしいロゴの入った黒T、その上にスウェット地のジャケットを着て赤いスニーカーを履いている。
同時の登場となった恵と涼さんは、「ん?」という顔でお互いを見ていた。
「えっと、恵。こちらが三日月涼さん。涼さん、こちらが私の親友の中村恵さん」
私は両手を胸の前でクロスさせ、二人を紹介する。
恵は目をパチクリとさせて高身長の涼さんを見ていたけれど、「ども」と頭を下げる。
涼さんもまた恵を見ていたけれど、いきなり質問しだした。
「ちなみにポテチ、焼き鳥はどっち派? チョコレートはビター? ミルク?」
「のり塩、塩、ミルクです」
「仲良くなれそうだ」
頷いた涼さんは、握手の手を差しだし、恵はよく分かっていない顔をして彼の手を握り返した。
「好きな酒は?」
「えぇ……? ビールと焼酎、日本酒、ワインとカクテルです」
「好きな季節は?」
「近年は暑すぎるけど夏」
「よし、仲良くなれそうだ」
涼さんはもう一度同じ言葉を繰り返し、ギュッギュッと恵と握手をする。
恵は思った通り困惑した顔をしていて、尊さんは顔の前で手を立ててチョンチョンとし、「すまん」と謝っている。
「とりあえず、並ぼうか」
尊さんが言い、私たちはゾロゾロと列の最後尾に向かった。
その途中、恵がヒソヒソと囁いてきた。
「涼さん、変わった人だね」
「……まぁね。でも悪い人じゃないと思うから、二泊三日、宜しく」
「まぁ、いいけど。……その代わり、今度パンケーキかヌン活か、デートしてよ?」
「了解」
私はグッとサムズアップし、恵と手を繋いでブラブラさせる。
そんな私たちを見て、涼さんが言う。
「『乙女の港』か?」
「三角関係じゃないだろ」
川端康成の作品を出されて突っ込んだ尊さんに、涼さんはまじめな顔で言う。
「みと子?」
「ぶふっ」
まさかの私と尊さんしか知らない〝みと子〟の登場に、私は思わず噴き出した。
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