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ラビティーシー 編
朝食ビュッフェ
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「準備できました! 行きましょうか! ビュッフェが俺を待っている!」
パンパン! とお腹を叩いてやる気を見せると、尊さんが「食べ物をさらいに行くバイキングだな」と笑った。
部屋を出て隣室をノックすると、真っ赤になった恵が出てきた。
「おっ、おはっ、よう!」
「何があった。吐け」
私は笑顔で恵の腕を組み、エレベーターホールに向かいながら言う。
「……な、何もないよ」
「嘘だ。恵は意味もなく乙女な顔をしない」
廊下を歩いている間、恵は言うか言わないか迷うように黙っていたけれど、チラッと後ろを歩いている涼さんを見てから、溜め息混じりに言った。
「……ちょっと、今回の最中は勘弁。この二泊三日が終わった後日、改めて落ち着いてから言う」
「ん、分かった」
見てるだけで一杯一杯だと分かるので、私はポンポンと恵の背中を叩いた。
ホテル一階にあるレストランは、ヨーロッパのお城風の外観そのままの店構えをしていた。
外側から見ると、丁度コの字型にせり出している建物の右側に当たる。
ドンとした白いアーチに青銅色の錬鉄の門があり、蔦とお花が絡まりウッド調の看板がついている。
店名にガーデンとついているだけあり、お城の庭で優雅に食事をするお姫様のような気分だ。
店内に入るとすぐ、精緻な模様が描かれた円形の床飾り――メダリオンがあり、真上には同様に天井が丸く窪んでいて、側面から間接照明の光が漏れていた。
その横がお会計のカウンターになり、アーチをさらにくぐった奥にホールがある。
女性スタッフは白いパフスリーブシャツにアイボリー地の柄物のベスト、エメラルドグリーンのロングスカート。
男性スタッフは白シャツにダークオリーブのベストにえんじ色のネクタイ、ベージュのズボンというスタイルだ。
広々とした店内は白壁に白い天井、白いテーブルクロスが掛かった角テーブルに、くすんだ赤とマットゴールドを基調にしたストライプの椅子があり、その配色が昔からの正統派ラビティーランドっぽくて、一目見て好きになった。
勿論、椅子はそのタイプだけでなく、アイボリー、クリーム色とブラウンのストライプなどバリエーションがある。
白い格子枠の窓の上部には、椅子と同じ色の半円を描いた上飾りがあり、その下のレースのカーテンもエレガントだ。
窓の向こうには綺麗に整えられた庭園があり、朝から贅沢な眺めにうっとりしてしまう。
席に案内されたあと、食べ物をとりに行く。
シリアルにサラダ、フルーツポンチに、小さなグラスに入ったパンナコッタや、フルーツ盛り合わせ。
しょっぱい系から甘い系、ノーマルと色々あるパン。特に甘い系はデニッシュにラビティーの形があったりで、見た目が可愛い。
ポテトサラダやエッグサラダなどは、ホールケーキのような円形になっていて、その上にプリンセスのシルエットがついているものだから、崩すのが勿体ない!
他にも雑炊やスープ、筑前煮やおいなりさん、魚のソテー、チキンのトマト煮に玉子料理各種、パンケーキにワッフル、フレンチトースト、お味噌汁にご飯、グラタン、蒸し野菜……等々。意外と純和食なメニューもあり、色んな物が選べて嬉しい。
「可愛い~。美味しい~」
「どっちかにしなよ」
恵に突っ込まれつつも、私は幸せいっぱいにパクパク食べていく。
尊さんと涼さんは和食メインだ。
いわく、「俺たちおっさんだから……」らしい。ブレない。
ゆっくり味わっていたいところだけど、今日は二日目だ。モリモリ食べたらすぐに部屋に戻って歯を磨いて、シーに向かわなければならない。
「……まだ入る……」
「腹八分目にしときなよ。朝からよく食べるなぁ」
また恵が突っ込み、ポンポンと私のお腹を叩く。
かわゆいレストランに別れを告げたあと、身支度を調えて大きい荷物を持ち、フロントに行く。
同じラビティーホテルに行く場合、チェックアウト日のお昼まで荷物を預ければ、その日のチェックイン時間ぐらいには、次のホテルに荷物を無料で届けてくれるらしい。
どうやらホテル代金は事前にカードで支払ったらしく、レストランの飲み物など別料金も、尊さんがスマホを弄って清算していた。
「じゃあ、恵ちゃんは俺の車でね」
駐車場に入ると涼さんが恵の手を握り、彼女は「わっ、わっ」と動揺している。ソー、プリティ。
パンパン! とお腹を叩いてやる気を見せると、尊さんが「食べ物をさらいに行くバイキングだな」と笑った。
部屋を出て隣室をノックすると、真っ赤になった恵が出てきた。
「おっ、おはっ、よう!」
「何があった。吐け」
私は笑顔で恵の腕を組み、エレベーターホールに向かいながら言う。
「……な、何もないよ」
「嘘だ。恵は意味もなく乙女な顔をしない」
廊下を歩いている間、恵は言うか言わないか迷うように黙っていたけれど、チラッと後ろを歩いている涼さんを見てから、溜め息混じりに言った。
「……ちょっと、今回の最中は勘弁。この二泊三日が終わった後日、改めて落ち着いてから言う」
「ん、分かった」
見てるだけで一杯一杯だと分かるので、私はポンポンと恵の背中を叩いた。
ホテル一階にあるレストランは、ヨーロッパのお城風の外観そのままの店構えをしていた。
外側から見ると、丁度コの字型にせり出している建物の右側に当たる。
ドンとした白いアーチに青銅色の錬鉄の門があり、蔦とお花が絡まりウッド調の看板がついている。
店名にガーデンとついているだけあり、お城の庭で優雅に食事をするお姫様のような気分だ。
店内に入るとすぐ、精緻な模様が描かれた円形の床飾り――メダリオンがあり、真上には同様に天井が丸く窪んでいて、側面から間接照明の光が漏れていた。
その横がお会計のカウンターになり、アーチをさらにくぐった奥にホールがある。
女性スタッフは白いパフスリーブシャツにアイボリー地の柄物のベスト、エメラルドグリーンのロングスカート。
男性スタッフは白シャツにダークオリーブのベストにえんじ色のネクタイ、ベージュのズボンというスタイルだ。
広々とした店内は白壁に白い天井、白いテーブルクロスが掛かった角テーブルに、くすんだ赤とマットゴールドを基調にしたストライプの椅子があり、その配色が昔からの正統派ラビティーランドっぽくて、一目見て好きになった。
勿論、椅子はそのタイプだけでなく、アイボリー、クリーム色とブラウンのストライプなどバリエーションがある。
白い格子枠の窓の上部には、椅子と同じ色の半円を描いた上飾りがあり、その下のレースのカーテンもエレガントだ。
窓の向こうには綺麗に整えられた庭園があり、朝から贅沢な眺めにうっとりしてしまう。
席に案内されたあと、食べ物をとりに行く。
シリアルにサラダ、フルーツポンチに、小さなグラスに入ったパンナコッタや、フルーツ盛り合わせ。
しょっぱい系から甘い系、ノーマルと色々あるパン。特に甘い系はデニッシュにラビティーの形があったりで、見た目が可愛い。
ポテトサラダやエッグサラダなどは、ホールケーキのような円形になっていて、その上にプリンセスのシルエットがついているものだから、崩すのが勿体ない!
他にも雑炊やスープ、筑前煮やおいなりさん、魚のソテー、チキンのトマト煮に玉子料理各種、パンケーキにワッフル、フレンチトースト、お味噌汁にご飯、グラタン、蒸し野菜……等々。意外と純和食なメニューもあり、色んな物が選べて嬉しい。
「可愛い~。美味しい~」
「どっちかにしなよ」
恵に突っ込まれつつも、私は幸せいっぱいにパクパク食べていく。
尊さんと涼さんは和食メインだ。
いわく、「俺たちおっさんだから……」らしい。ブレない。
ゆっくり味わっていたいところだけど、今日は二日目だ。モリモリ食べたらすぐに部屋に戻って歯を磨いて、シーに向かわなければならない。
「……まだ入る……」
「腹八分目にしときなよ。朝からよく食べるなぁ」
また恵が突っ込み、ポンポンと私のお腹を叩く。
かわゆいレストランに別れを告げたあと、身支度を調えて大きい荷物を持ち、フロントに行く。
同じラビティーホテルに行く場合、チェックアウト日のお昼まで荷物を預ければ、その日のチェックイン時間ぐらいには、次のホテルに荷物を無料で届けてくれるらしい。
どうやらホテル代金は事前にカードで支払ったらしく、レストランの飲み物など別料金も、尊さんがスマホを弄って清算していた。
「じゃあ、恵ちゃんは俺の車でね」
駐車場に入ると涼さんが恵の手を握り、彼女は「わっ、わっ」と動揺している。ソー、プリティ。
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