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二日目の夜の葛藤 編
恋愛、難しい
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涼さんは私を抱き締めてそのまま眠るのかと思っていたけれど、身じろぎしてから溜め息をつき、言った。
「……今まできれい事を口にしてたけど、本音を言う」
「えっ」
何か嘘でも言っていたんだろうかと思って顔を上げると、涼さんは私の髪をサラリと撫でて白状した。
「……俺、恵ちゃんが〝初めて〟で良かった」
彼の言葉を聞き、私は目を見開く。
「『処女厨かよ』って言われるのが怖いから言えなかったけど、……本当は恵ちゃんが処女で良かった」
私は涼さんの言いたい事を察しながらも、ちゃんと最後まで聞かないといけないと思って続きを待つ。
「他の男を知った女性が嫌なんじゃなくて、恵ちゃんの初めてが俺だっていうのが、堪らなく嬉しいんだ」
思っていた通りの答えがあり、私は安堵の息を吐く。
「……いいんですか? 面倒臭いですよ。嫉妬するかもしれないし、エッチする時は痛がるかもしれないし」
「嫉妬させないぐらい溺愛する自信はあるし、なるべく痛くならないようたっぷり愛してあげる」
「……覚悟してくださいね」
彼の手をキュッと握って言うと、涼さんは私の額にチュッとキスをした。
「絶対に幸せにするよ。俺を選んで良かったって言わせてみせる」
「…………はい」
これ以上なく赤面した私は、内心で「暗くて良かった」と安心していた。
こんな真っ赤になって、嬉しくてにやけてる顔、絶対に見せられない。
「明日、チェックアウトしたらちょっとデートしようか」
「えっ……、あ、はい……」
思わず返事をしてしまったあと、朱里がいなくても大丈夫か心配になってしまう。
同時に、そんな情けない事を考えた自分をビンタしたくなる。
(朱里が田村の事で悩んでいた時は、あんなに偉そうにアドバイスしてたのに)
自分に突っ込みを入れたあと、私は涼さんに気づかれないように溜め息をついた。
(恋愛、難しい~~~~……)
でも、彼の事で悩むのは嫌じゃない自分がいる。
「行きたい所ある? それとも、二日ぶっ通しで遊んだからゆっくりする?」
「……そうですね。ゆっくり話してお互いの事をもっと知ったほうがいいのかも。涼さんも疲れてるでしょ?」
気遣うと、彼は小さく笑った。
「確かに、三十路のおっさんだからちょっと疲れてる」
「もぉ……」
涼さんの言葉を聞いて私は脱力して笑い、トンッと彼の胸板を叩く。
「……もっと涼さんの事、色々知りたいです。……明日、沢山お話しましょう」
「うん、おやすみ」
返事をした彼はまた私の額にキスをし、寝やすい体勢になると静かに息を吐いた。
(……本当に男の人と寝るの、初めてだな)
私もベストポジションをとると、努めて冷静になれるよう深呼吸する。
でも涼さんは私の体に腕をかけ、脚も絡めたままで、どう考えても眠れる気がしない。
(朱里っていつも篠宮さんとこういう感じで寝てるのかな。……ハードル高すぎでしょ!)
いつも朱里を「守らないと」と思ったし、子供みたいに勢いよくパクパク食事をして、口元を汚す事もあったので、姉のように面倒を見る時もあった。
なのに恋愛面では私のほうがずっと遅れていると、やっと自覚した。
(……色々聞かないと)
緊張しているのに、涼さんの温もりが気持ち良くて、トロトロと目蓋が落ちてくる。
(……どうしよう。胸が一杯だ)
静かな部屋の中、私はドクドクと鳴る胸を押さえ、涼さんを起こさないようにそっと息を吐いた。
**
翌朝は、ルームサービスの朝食をいただいた。
メインになる玉子料理は、スクランブルエッグ、プレーンオムレツのどちらかで選べ、二人ともオムレツを頼んだ。
「わぁ~……、映える……。可愛い。綺麗。幸せ……」
窓辺のテーブルに尊さんと向かい合って座った私は、朝から幸せ一杯でニマニマする。
窓の外はシーの絶景、そして目の前の白い長方形のプレートにはオムレツとチーズソースの器、ベーコンにソーセージ、焼きトマトやポテト、ブロッコリーがある。
他にもサラダにフルーツ、ヨーグルトにジュース、ポットに淹れられたコーヒー、お水が所狭しと並んでいた。
「……今まできれい事を口にしてたけど、本音を言う」
「えっ」
何か嘘でも言っていたんだろうかと思って顔を上げると、涼さんは私の髪をサラリと撫でて白状した。
「……俺、恵ちゃんが〝初めて〟で良かった」
彼の言葉を聞き、私は目を見開く。
「『処女厨かよ』って言われるのが怖いから言えなかったけど、……本当は恵ちゃんが処女で良かった」
私は涼さんの言いたい事を察しながらも、ちゃんと最後まで聞かないといけないと思って続きを待つ。
「他の男を知った女性が嫌なんじゃなくて、恵ちゃんの初めてが俺だっていうのが、堪らなく嬉しいんだ」
思っていた通りの答えがあり、私は安堵の息を吐く。
「……いいんですか? 面倒臭いですよ。嫉妬するかもしれないし、エッチする時は痛がるかもしれないし」
「嫉妬させないぐらい溺愛する自信はあるし、なるべく痛くならないようたっぷり愛してあげる」
「……覚悟してくださいね」
彼の手をキュッと握って言うと、涼さんは私の額にチュッとキスをした。
「絶対に幸せにするよ。俺を選んで良かったって言わせてみせる」
「…………はい」
これ以上なく赤面した私は、内心で「暗くて良かった」と安心していた。
こんな真っ赤になって、嬉しくてにやけてる顔、絶対に見せられない。
「明日、チェックアウトしたらちょっとデートしようか」
「えっ……、あ、はい……」
思わず返事をしてしまったあと、朱里がいなくても大丈夫か心配になってしまう。
同時に、そんな情けない事を考えた自分をビンタしたくなる。
(朱里が田村の事で悩んでいた時は、あんなに偉そうにアドバイスしてたのに)
自分に突っ込みを入れたあと、私は涼さんに気づかれないように溜め息をついた。
(恋愛、難しい~~~~……)
でも、彼の事で悩むのは嫌じゃない自分がいる。
「行きたい所ある? それとも、二日ぶっ通しで遊んだからゆっくりする?」
「……そうですね。ゆっくり話してお互いの事をもっと知ったほうがいいのかも。涼さんも疲れてるでしょ?」
気遣うと、彼は小さく笑った。
「確かに、三十路のおっさんだからちょっと疲れてる」
「もぉ……」
涼さんの言葉を聞いて私は脱力して笑い、トンッと彼の胸板を叩く。
「……もっと涼さんの事、色々知りたいです。……明日、沢山お話しましょう」
「うん、おやすみ」
返事をした彼はまた私の額にキスをし、寝やすい体勢になると静かに息を吐いた。
(……本当に男の人と寝るの、初めてだな)
私もベストポジションをとると、努めて冷静になれるよう深呼吸する。
でも涼さんは私の体に腕をかけ、脚も絡めたままで、どう考えても眠れる気がしない。
(朱里っていつも篠宮さんとこういう感じで寝てるのかな。……ハードル高すぎでしょ!)
いつも朱里を「守らないと」と思ったし、子供みたいに勢いよくパクパク食事をして、口元を汚す事もあったので、姉のように面倒を見る時もあった。
なのに恋愛面では私のほうがずっと遅れていると、やっと自覚した。
(……色々聞かないと)
緊張しているのに、涼さんの温もりが気持ち良くて、トロトロと目蓋が落ちてくる。
(……どうしよう。胸が一杯だ)
静かな部屋の中、私はドクドクと鳴る胸を押さえ、涼さんを起こさないようにそっと息を吐いた。
**
翌朝は、ルームサービスの朝食をいただいた。
メインになる玉子料理は、スクランブルエッグ、プレーンオムレツのどちらかで選べ、二人ともオムレツを頼んだ。
「わぁ~……、映える……。可愛い。綺麗。幸せ……」
窓辺のテーブルに尊さんと向かい合って座った私は、朝から幸せ一杯でニマニマする。
窓の外はシーの絶景、そして目の前の白い長方形のプレートにはオムレツとチーズソースの器、ベーコンにソーセージ、焼きトマトやポテト、ブロッコリーがある。
他にもサラダにフルーツ、ヨーグルトにジュース、ポットに淹れられたコーヒー、お水が所狭しと並んでいた。
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