【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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二日目の夜の葛藤 編

恋愛、難しい

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 涼さんは私を抱き締めてそのまま眠るのかと思っていたけれど、身じろぎしてから溜め息をつき、言った。

「……今まできれい事を口にしてたけど、本音を言う」

「えっ」

 何か嘘でも言っていたんだろうかと思って顔を上げると、涼さんは私の髪をサラリと撫でて白状した。

「……俺、恵ちゃんが〝初めて〟で良かった」

 彼の言葉を聞き、私は目を見開く。

「『処女厨かよ』って言われるのが怖いから言えなかったけど、……本当は恵ちゃんが処女で良かった」

 私は涼さんの言いたい事を察しながらも、ちゃんと最後まで聞かないといけないと思って続きを待つ。

「他の男を知った女性が嫌なんじゃなくて、恵ちゃんの初めてが俺だっていうのが、堪らなく嬉しいんだ」

 思っていた通りの答えがあり、私は安堵の息を吐く。

「……いいんですか? 面倒臭いですよ。嫉妬するかもしれないし、エッチする時は痛がるかもしれないし」

「嫉妬させないぐらい溺愛する自信はあるし、なるべく痛くならないようたっぷり愛してあげる」

「……覚悟してくださいね」

 彼の手をキュッと握って言うと、涼さんは私の額にチュッとキスをした。

「絶対に幸せにするよ。俺を選んで良かったって言わせてみせる」

「…………はい」

 これ以上なく赤面した私は、内心で「暗くて良かった」と安心していた。

 こんな真っ赤になって、嬉しくてにやけてる顔、絶対に見せられない。

「明日、チェックアウトしたらちょっとデートしようか」

「えっ……、あ、はい……」

 思わず返事をしてしまったあと、朱里がいなくても大丈夫か心配になってしまう。

 同時に、そんな情けない事を考えた自分をビンタしたくなる。

(朱里が田村の事で悩んでいた時は、あんなに偉そうにアドバイスしてたのに)

 自分に突っ込みを入れたあと、私は涼さんに気づかれないように溜め息をついた。

(恋愛、難しい~~~~……)

 でも、彼の事で悩むのは嫌じゃない自分がいる。

「行きたい所ある? それとも、二日ぶっ通しで遊んだからゆっくりする?」

「……そうですね。ゆっくり話してお互いの事をもっと知ったほうがいいのかも。涼さんも疲れてるでしょ?」

 気遣うと、彼は小さく笑った。

「確かに、三十路のおっさんだからちょっと疲れてる」

「もぉ……」

 涼さんの言葉を聞いて私は脱力して笑い、トンッと彼の胸板を叩く。

「……もっと涼さんの事、色々知りたいです。……明日、沢山お話しましょう」

「うん、おやすみ」

 返事をした彼はまた私の額にキスをし、寝やすい体勢になると静かに息を吐いた。

(……本当に男の人と寝るの、初めてだな)

 私もベストポジションをとると、努めて冷静になれるよう深呼吸する。

 でも涼さんは私の体に腕をかけ、脚も絡めたままで、どう考えても眠れる気がしない。

(朱里っていつも篠宮さんとこういう感じで寝てるのかな。……ハードル高すぎでしょ!)

 いつも朱里を「守らないと」と思ったし、子供みたいに勢いよくパクパク食事をして、口元を汚す事もあったので、姉のように面倒を見る時もあった。

 なのに恋愛面では私のほうがずっと遅れていると、やっと自覚した。

(……色々聞かないと)

 緊張しているのに、涼さんの温もりが気持ち良くて、トロトロと目蓋が落ちてくる。

(……どうしよう。胸が一杯だ)

 静かな部屋の中、私はドクドクと鳴る胸を押さえ、涼さんを起こさないようにそっと息を吐いた。



**



 翌朝は、ルームサービスの朝食をいただいた。

 メインになる玉子料理は、スクランブルエッグ、プレーンオムレツのどちらかで選べ、二人ともオムレツを頼んだ。

「わぁ~……、映える……。可愛い。綺麗。幸せ……」

 窓辺のテーブルに尊さんと向かい合って座った私は、朝から幸せ一杯でニマニマする。

 窓の外はシーの絶景、そして目の前の白い長方形のプレートにはオムレツとチーズソースの器、ベーコンにソーセージ、焼きトマトやポテト、ブロッコリーがある。

 他にもサラダにフルーツ、ヨーグルトにジュース、ポットに淹れられたコーヒー、お水が所狭しと並んでいた。
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