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彼と彼女のその後 編
朝チュン
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「はぁ……」
私はモソリと布団の中で体育座りになり、フワフワの羽根布団に頬を押しつける。
(これが朝チュンかぁ……)
雀はいないものの、涼さんと朝を迎えてしまった。
(大人の仲間入りをしてしまった)
溜め息をついた私は、「朱里も篠宮さんとこういう事をしてるのか……」と考え始め、すぐにやめた。
彼女から篠宮さんとの事を聞いているとはいえ、性事情を勝手に想像するなんて親友であっても失礼だ。
秘め事とも言われるし、本人が話したくなったら話題に乗るぐらいで丁度いい。
(……というか、私のほうが相談に乗ってもらいたいぐらいだけど)
これでもし朱里に男女のあれこれを相談したら、話を聞いてくれるだろうか。
そう思うと、今までの朱里との関係が変化したように思えて、不思議な気持ちになった。
(今まで私は一方的に朱里が彼氏と付き合っている話を聞いていた。なのに今の私は、朱里と同じように〝彼氏持ち〟なんだ)
この気持ちをどう言い表したらいいか分からないけれど、女としてワンランク昇格してやっと〝一人前〟になった気持ちだ。
今までの自分が劣っていたわけじゃないし、それも一つの生き方だと分かっている。
(……けど、こういう感じなのか。朱里以外にも大切な人がいて、それぞれ恋人がいながらも友達を大切に想う気持ち……)
世間でも、恋人と友達の大切さは同列に扱えないと言われているし、私もそれには同意見だ。
けれど恋人を想う気持ちが理解できなかったので、『私は友達をとるな』と思っていた。
(……今は、涼さんと朱里のどっちも選べない)
若干、なりたての恋人である涼さんに「別れよう」と言われたら、傷が浅いうちに離れられる気がする。
そういう意味では、付き合いの長い朱里のほうに今はまだ軍配が上がるかもしれない。
でもこれから付き合いが始まって本当の意味での恋人になったなら、私は涼さんも朱里も同じぐらい大切にするだろう。
その時、足音がして涼さんが戻ってきた。
「お待たせ。休日だしラフな感じで、これはどう?」
そう言って涼さんは布団の上にデニムとシンプルなグレーのTシャツを置く。
けれど私は知っている……。両方ともYSLの物だという事を……。
(普段着のハードルが高いな!)
「コーヒーを淹れてるから、ゆっくり準備しておいで。基礎化粧品は洗面所に置いてあるから、そっちも使って」
「はい」
涼さんは爽やかに言って、寝室を出て行った。
「はぁ……」
私はとりあえず大人が四人は寝られそうな、幅広のキングサイズベッドから下りる。
服に手を延ばしたところ、Tシャツとデニムの間からポロッとノンワイヤーのブラジャーが落ちた。
「わっ、わっ!」
慌てて下着を隠して廊下の向こうを見たけれど、涼さんが来る気配はない。
(……っていうか、私、本体がパンイチなんだよ……。下着のほうを恥ずかしがってどうする)
私は自分に突っ込みを入れ、溜め息をつく。
下着はいま穿いている物とお揃いで、繊細な花びらのレースが幾重にも重なった美しいデザインだ。
ひとまず昨日の下着スタッフさんの手つきを思い出してブラジャーを着けると、また私の胸元に山と谷が現れた。
私はしばらく自分の谷間を見て、下着越しに胸に触り、その存在感を確かめる。
(昨日までBカップだったのに、いきなりEカップになるとは。人生何が起こるか分からない)
そのあと恐る恐るTシャツを被ってデニムを穿き、手洗いに行ってから洗面所で顔を洗った。
高そうな基礎化粧品が沢山あって、何をどう使ったらいいか分からないので、とりあえず同じブランドの化粧水と乳液を塗って終わりにしておく。
(こうなるなら、朱里の講座をまじめに聞いておけば良かった……)
少し反省してからリビングに向かうと、適度なボリュームでカフェミュージックが流れていた。お洒落……。
「何か手伝う事ありますか?」
キッチンを覗き込むと、涼さんは冷蔵庫からソーセージやベーコン、卵に野菜を出して朝食を作ろうとしている。
「丁度良かった。じゃあ、手伝ってくれる?」
「はい!」
役目を与えられて安心した私は、彼に渡された赤いカフェエプロンをつけて手を洗った。
私はモソリと布団の中で体育座りになり、フワフワの羽根布団に頬を押しつける。
(これが朝チュンかぁ……)
雀はいないものの、涼さんと朝を迎えてしまった。
(大人の仲間入りをしてしまった)
溜め息をついた私は、「朱里も篠宮さんとこういう事をしてるのか……」と考え始め、すぐにやめた。
彼女から篠宮さんとの事を聞いているとはいえ、性事情を勝手に想像するなんて親友であっても失礼だ。
秘め事とも言われるし、本人が話したくなったら話題に乗るぐらいで丁度いい。
(……というか、私のほうが相談に乗ってもらいたいぐらいだけど)
これでもし朱里に男女のあれこれを相談したら、話を聞いてくれるだろうか。
そう思うと、今までの朱里との関係が変化したように思えて、不思議な気持ちになった。
(今まで私は一方的に朱里が彼氏と付き合っている話を聞いていた。なのに今の私は、朱里と同じように〝彼氏持ち〟なんだ)
この気持ちをどう言い表したらいいか分からないけれど、女としてワンランク昇格してやっと〝一人前〟になった気持ちだ。
今までの自分が劣っていたわけじゃないし、それも一つの生き方だと分かっている。
(……けど、こういう感じなのか。朱里以外にも大切な人がいて、それぞれ恋人がいながらも友達を大切に想う気持ち……)
世間でも、恋人と友達の大切さは同列に扱えないと言われているし、私もそれには同意見だ。
けれど恋人を想う気持ちが理解できなかったので、『私は友達をとるな』と思っていた。
(……今は、涼さんと朱里のどっちも選べない)
若干、なりたての恋人である涼さんに「別れよう」と言われたら、傷が浅いうちに離れられる気がする。
そういう意味では、付き合いの長い朱里のほうに今はまだ軍配が上がるかもしれない。
でもこれから付き合いが始まって本当の意味での恋人になったなら、私は涼さんも朱里も同じぐらい大切にするだろう。
その時、足音がして涼さんが戻ってきた。
「お待たせ。休日だしラフな感じで、これはどう?」
そう言って涼さんは布団の上にデニムとシンプルなグレーのTシャツを置く。
けれど私は知っている……。両方ともYSLの物だという事を……。
(普段着のハードルが高いな!)
「コーヒーを淹れてるから、ゆっくり準備しておいで。基礎化粧品は洗面所に置いてあるから、そっちも使って」
「はい」
涼さんは爽やかに言って、寝室を出て行った。
「はぁ……」
私はとりあえず大人が四人は寝られそうな、幅広のキングサイズベッドから下りる。
服に手を延ばしたところ、Tシャツとデニムの間からポロッとノンワイヤーのブラジャーが落ちた。
「わっ、わっ!」
慌てて下着を隠して廊下の向こうを見たけれど、涼さんが来る気配はない。
(……っていうか、私、本体がパンイチなんだよ……。下着のほうを恥ずかしがってどうする)
私は自分に突っ込みを入れ、溜め息をつく。
下着はいま穿いている物とお揃いで、繊細な花びらのレースが幾重にも重なった美しいデザインだ。
ひとまず昨日の下着スタッフさんの手つきを思い出してブラジャーを着けると、また私の胸元に山と谷が現れた。
私はしばらく自分の谷間を見て、下着越しに胸に触り、その存在感を確かめる。
(昨日までBカップだったのに、いきなりEカップになるとは。人生何が起こるか分からない)
そのあと恐る恐るTシャツを被ってデニムを穿き、手洗いに行ってから洗面所で顔を洗った。
高そうな基礎化粧品が沢山あって、何をどう使ったらいいか分からないので、とりあえず同じブランドの化粧水と乳液を塗って終わりにしておく。
(こうなるなら、朱里の講座をまじめに聞いておけば良かった……)
少し反省してからリビングに向かうと、適度なボリュームでカフェミュージックが流れていた。お洒落……。
「何か手伝う事ありますか?」
キッチンを覗き込むと、涼さんは冷蔵庫からソーセージやベーコン、卵に野菜を出して朝食を作ろうとしている。
「丁度良かった。じゃあ、手伝ってくれる?」
「はい!」
役目を与えられて安心した私は、彼に渡された赤いカフェエプロンをつけて手を洗った。
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