【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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四人でのお泊まり会 編

母への連絡

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「そんないいのに……。カップ麺でもあったら食べるのに。ねー」

「うん」

 私は恵と顔を見合わせて頷く。

 ……と、尊さんがギュッと抱き締めてきた。

「ん?」

 目を瞬かせると、彼はよしよしと私の頭を撫で、背中をポンポンする。

「お熱う事で……、わっ」

 恵が茶々を入れようとした時、涼さんが彼女を抱き締め、同様によしよし撫でた。

「……何はともあれ、二人とも回復して良かったよ。表面上の元気かもしれないし、今回みたいな事をされたらトラウマになると思う。でも、これからは俺たちがしっかり守っていくから、安心してくれ」

 尊さんは私を抱き締めたまま、私と恵に言う。

 私たちはそれぞれ抱き締められたまま、ちょっと照れて赤面しつつもコクンと頷いた。

「よし、じゃあ、そろそろ寝ようか。引っ越しのほうは明日の午前中から動いてもらうつもりだけど、鍵を預かってもいいかな? 俺の秘書が現場監督をするから、防犯的な意味での心配はしなくていい」

 涼さんの言葉を聞き、恵は微妙な表情になる。

「……でも、衣類とか、男性に触られるとちょっと……な物もありますし」

「家の内部の細々とした物は女性スタッフにやってもらって、大きな物や力仕事は男性に任せる事になってる。……どう?」

「ん……、うん……、それなら……」

 恵は渋々という表情で頷くけれど、彼女の気持ちは分かる。

 私はインフルで倒れていた時に恵から『どうせ引っ越しするんだし、荷物を纏めておこうか?』と提案を受けて、母にも含めてお願いし、元気になったら自分も参加して引っ越した感じだ。

 その時は信頼している恵と母だから荷物を任せられたけれど、他人だったらちょっと抵抗があったかもしれない。

「恵、佳苗かなえさんにも現場監督してもらったら?」

 佳苗さんとは、恵のお母さんの名前だ。

 彼女はスラッとした美人で、学生時代はバスケットボールをやっていたらしい。

 大学生時代にスカウトされてモデルになり、今もミセスモデルとしてあちこちで活躍している格好いい人だ。

 お母さんがそういう人だから、恵もファッションに興味を持つかと思えばそうではなく、佳苗さんはよく『恵がお洋服着てくれない』とごねている。

 そんな佳苗さんと涼さん、果たしてどんな化学反応を起こすのか……。

 私が考えている間、恵はようやく母親の存在を思いだしたのか、「あ、そうだね」と頷く。

 けれどハッとしたあと、軽く目を見開いたまま、ギギ……と涼さんを振り向いた。

「お母さんがいらっしゃるなら、仕事の合間を見て抜け出して、ご挨拶しないとね。大事な娘さんと同棲させてもらうんだし」

「んああああああ……!」

 ニッコニコの涼さんの言葉を聞き、恵は絞り出すような声を上げた。

「ま……、待ってください!? 本人不在の時に親に挨拶は卑怯じゃないですか?」

「侍の闘いじゃないんだから、卑怯もなんもないよ」

 私は涼さんの腕の中でプンスコしている恵を見て、ニチャア……と笑う。

(そうかそうか、涼さんと二人の時はこういう感じなんだね……。恵……)

 恵はそんな私に気づかず、スマホに手を延ばして、トトト……とメッセージを打っていく。

(佳苗さん! お宅のお嬢さんが大物彼氏をGETしましたよ~! ピラルクーレベルですよ~! いや、ジンベエザメ! 食べられちゃう!)

 私は尊さんの腕の中でニコニコしながら、心の中で佳苗さんに向かって叫ぶ。

「恵、なんてメッセージしたの?」

 尋ねると、彼女は非常に渋い顔で言う。

「『一身上の都合で引っ越す事にしました』。……わっ、早っ」

 言うやいなや恵のスマホが震え、彼女は嫌そうな顔で画面を見る。

「いきなりだし、佳苗さん、心配してるでしょ」

「……まぁ、ね……」

 恵が溜め息をついた時、今度は電話がかかってきた。

「諦めて全部白状しなよ」

「うん……、そうなんだけど……」

 恵は非常に気乗りしない顔で、また重たい溜め息をつく。

「もしもし、お母さん?」

 電話に出た彼女は、かったるそうに話し始め、涼さんの腕の中からすり抜けると、話ながらコソコソとリビングの隅へ向かう。

「~~~~だから、一身上の都合で……。引っ越し代とか次の物件とかは、……あー、大丈夫だから……」

 説明下手な恵が困っていたところ、涼さんはスタスタ歩いて彼女に近づき、ヒョイッとその手からスマホをとり「もしもし」と電話に出てしまった。
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