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四人でのお泊まり会 編
長い一日の終わり
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やがて恵は電話を終え、こちらに戻りつつもブスッとした顔で涼さんを睨む。
「母がものすっごい期待してるんですけど……」
「期待されたら応えたくなるな」
「もおおお……」
恵はソファにボスッと倒れ込み、ジタバタする。
でも、ここで「やめてください」と言わないのは、成長した証だ。
「……ん、……ふぁあ……」
私は眠気を覚え、後ろを向いて欠伸をする。
それを見た尊さんは、ポンと背中を叩いてきた。
「そろそろ寝ようか。中村さんのご家族に引っ越しの話をしたし、明日は業者さんに動いてもらって、荷物がこっちに運ばれてきたら、自分の部屋に片づける……でOK?」
最後に涼さんに向かって指さし確認すると、彼は「OK」と頷く。
それから彼は私を見て微笑んだ。
「近いうちに吉祥寺のお宅にお邪魔して、事情を説明しよう。これだけの事があったのに、報告せず『何もなかったです』はまかり通らないから」
家族に報告すると聞き、私はハッと息を呑む。
目の前で涼さんが佳苗さんに報告していたのに、自分には関係ないと思い込んでいた。
「……そうですね」
「俺も、守り切れなかった事をきちんと詫びたいし」
「そんな! 尊さんは……」
否定しようとしたけれど、彼の痛みを含んだ笑みを見て言葉を失う。
(これから結婚しようとしているのに、『大丈夫』で済ませたら駄目だよね。何も言わなかったら尊さんへの信頼問題に関わる)
「……分かりました」
頷くと、尊さんは「ん」と頭をポンポンしてくる。
「気まずいだろうけど、側にいるから」
「……はい」
その言葉一つで、フワッと気持ちが軽くなった。
今まで両親には大切な事をあまり言えずにいた。
学生時代は父を喪って不安な気持ち、母子家庭で母が不在で寂しい気持ちを押し込み、母が再婚したあとも亮平や美奈歩への気持ちを打ち明けられなかった。
すべて、自分の我が儘で母を困らせたくないという気持ちからだ。
けれどこれからは尊さんが隣にいてくれるから、なかなか言い出せない事があっても、勇気をもらえる。
それを察してか、恵がポンと私の背中を叩いてニッと笑った。
「寝よ! 今日は疲れすぎた!」
「うん」
お城みたいな豪邸で、大好きな尊さんと、恵と、涼さんと一緒にいる。
こんなに守られた場所はないし、安心できる所はない。
私のお城は三田のあのマンションだけれど、今日はここでゆっくり休もう。
「おやすみなさい」
ペコリと涼さんに頭を下げると、彼は「おやすみ」と微笑み書斎に向かう。
私と恵、尊さんは廊下を進み、途中で尊さんに「おやすみなさい」を言って、恵の部屋に向かった。
「この家の中でも歩数を稼げそうだね」
「あはは! 確かに」
部屋に入ると、恵のベッドの横には敷き布団がセットされてあった。
しかも旅館みたいにピシッとしている。さすが涼さんクオリティ。
歯磨きはお風呂上がりにしたので、私たちはそれぞれ布団に潜り込み、恵がおずおずと言う。
「……フェ、フェリシア。……で、電気を……けし……」
《すみません。何と言っているのか分かりません》
不慣れな恵が不明瞭に言うものだから、フェリシアが言葉を理解しなかったらしい。
私は布団の中で声もなく笑い、恵は「もぉ……。手動のほうがいいじゃん」と真っ赤になってうなっている。
「恵、ワンモア!」
「んンっ! フェリシア、電気を消して」
《分かりました》
今度はパッと部屋のライトが消え、私は恵に「良かったね」と笑い混じりに言う。
「……これ、結構心が折れそうだわ」
「分かる。私も最初そうだった」
そのあと、どちらからともなく溜め息をついた。
「疲れたね」
「うん。なんか、一週間分の疲れがドドッときた感じ」
「事情聴取とか、めんどくせー」
恵が溜め息をつく。
「私たちは被害者なわけだし、きっと事情聴取が終わったらもうそんなに関わらずに済むんじゃないかな」
今頃、昭人の家族にも連絡がいって、田村家は大騒ぎになっているだろう。
彼のご両親には会った事があるから、なんとも気持ちが暗くなる。
(でも、もう一年前に縁が切れた人なんだし、これで終わらせないと)
私は自分に言い聞かせ、目を閉じる。
「母がものすっごい期待してるんですけど……」
「期待されたら応えたくなるな」
「もおおお……」
恵はソファにボスッと倒れ込み、ジタバタする。
でも、ここで「やめてください」と言わないのは、成長した証だ。
「……ん、……ふぁあ……」
私は眠気を覚え、後ろを向いて欠伸をする。
それを見た尊さんは、ポンと背中を叩いてきた。
「そろそろ寝ようか。中村さんのご家族に引っ越しの話をしたし、明日は業者さんに動いてもらって、荷物がこっちに運ばれてきたら、自分の部屋に片づける……でOK?」
最後に涼さんに向かって指さし確認すると、彼は「OK」と頷く。
それから彼は私を見て微笑んだ。
「近いうちに吉祥寺のお宅にお邪魔して、事情を説明しよう。これだけの事があったのに、報告せず『何もなかったです』はまかり通らないから」
家族に報告すると聞き、私はハッと息を呑む。
目の前で涼さんが佳苗さんに報告していたのに、自分には関係ないと思い込んでいた。
「……そうですね」
「俺も、守り切れなかった事をきちんと詫びたいし」
「そんな! 尊さんは……」
否定しようとしたけれど、彼の痛みを含んだ笑みを見て言葉を失う。
(これから結婚しようとしているのに、『大丈夫』で済ませたら駄目だよね。何も言わなかったら尊さんへの信頼問題に関わる)
「……分かりました」
頷くと、尊さんは「ん」と頭をポンポンしてくる。
「気まずいだろうけど、側にいるから」
「……はい」
その言葉一つで、フワッと気持ちが軽くなった。
今まで両親には大切な事をあまり言えずにいた。
学生時代は父を喪って不安な気持ち、母子家庭で母が不在で寂しい気持ちを押し込み、母が再婚したあとも亮平や美奈歩への気持ちを打ち明けられなかった。
すべて、自分の我が儘で母を困らせたくないという気持ちからだ。
けれどこれからは尊さんが隣にいてくれるから、なかなか言い出せない事があっても、勇気をもらえる。
それを察してか、恵がポンと私の背中を叩いてニッと笑った。
「寝よ! 今日は疲れすぎた!」
「うん」
お城みたいな豪邸で、大好きな尊さんと、恵と、涼さんと一緒にいる。
こんなに守られた場所はないし、安心できる所はない。
私のお城は三田のあのマンションだけれど、今日はここでゆっくり休もう。
「おやすみなさい」
ペコリと涼さんに頭を下げると、彼は「おやすみ」と微笑み書斎に向かう。
私と恵、尊さんは廊下を進み、途中で尊さんに「おやすみなさい」を言って、恵の部屋に向かった。
「この家の中でも歩数を稼げそうだね」
「あはは! 確かに」
部屋に入ると、恵のベッドの横には敷き布団がセットされてあった。
しかも旅館みたいにピシッとしている。さすが涼さんクオリティ。
歯磨きはお風呂上がりにしたので、私たちはそれぞれ布団に潜り込み、恵がおずおずと言う。
「……フェ、フェリシア。……で、電気を……けし……」
《すみません。何と言っているのか分かりません》
不慣れな恵が不明瞭に言うものだから、フェリシアが言葉を理解しなかったらしい。
私は布団の中で声もなく笑い、恵は「もぉ……。手動のほうがいいじゃん」と真っ赤になってうなっている。
「恵、ワンモア!」
「んンっ! フェリシア、電気を消して」
《分かりました》
今度はパッと部屋のライトが消え、私は恵に「良かったね」と笑い混じりに言う。
「……これ、結構心が折れそうだわ」
「分かる。私も最初そうだった」
そのあと、どちらからともなく溜め息をついた。
「疲れたね」
「うん。なんか、一週間分の疲れがドドッときた感じ」
「事情聴取とか、めんどくせー」
恵が溜め息をつく。
「私たちは被害者なわけだし、きっと事情聴取が終わったらもうそんなに関わらずに済むんじゃないかな」
今頃、昭人の家族にも連絡がいって、田村家は大騒ぎになっているだろう。
彼のご両親には会った事があるから、なんとも気持ちが暗くなる。
(でも、もう一年前に縁が切れた人なんだし、これで終わらせないと)
私は自分に言い聞かせ、目を閉じる。
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