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夜のお出かけ 編
今後の美味しい予定
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「……風磨は割と気の毒な奴なんだよ。怜香っていう爆弾みたいな母親が側にいたから、無意識に他人の顔色を窺う癖がついて、それが今も取れてない。地頭はいいし、何をやらせても器用にこなす。経営者として冷徹な判断を下す事ができるし、色んなデータを読み取って判断していく能力も高い。……でも、心まで強いわけじゃないから、かなりストレスを溜めてると思う。……それでいて、エミリみたいに外向的なストレス発散をするわけじゃないから、インドアでプラモデルを作ってストレス発散をしてる」
言われて、物凄く納得した。
どんなに優秀な人でも、家庭に怜香さんみたいな母親がいたら抑圧されてしまうだろう。
けど、怒鳴ったりするタイプなら怜香さんと激しく衝突してしまうし、きっと家にいた尊さんを気遣って、感情を露わにするのを控えていたんだろう。
それで風磨さんは、あらゆるストレスを内に溜め込んでしまうようになった。
以前のホテル女子会の時に、エミリさんがチラッと『彼を理解できるのは私だけと思っているし、それでいいの』と言っていたけれど、風磨さんも彼女にだけなら甘えられるんだろう。
「内向的な性格をしていても、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、『ハリー・ポッター』の作者のJ・K・ローリング、ミュージシャンのエド・シーラン、スピルバーグ監督やアインシュタインとか、多くの偉人がいる。あいつも大成すると思ってるよ」
「……何だかんだ言って、風磨さんの事が好きですよね」
にひ、と笑って言うと、尊さんは少し複雑な表情になる。
「……まだ好きと断言できる感情じゃねぇけどな。……でも、敵ではないと思ってる」
「それでいいんですよ。きっと……、…………気がついた頃には兄弟でパパになってますから。そうなったら細かい事も言ってられなくなりますし、協力し合って子育てするんじゃないですか?」
後半は恥ずかしくて少し早口になったけれど、そう気にする事はないと伝えたかった。
わだかまりがあるのは理解するけど、それはきっと風磨さんも同じだ。
でも、今は社長と副社長として対立せずうまくやれているし、共通の敵というか、一緒に取り組むものがあると、関係はうまくいくのだと思っている。
仕事でもそうだし、いずれ私とエミリさんに子供が生まれたら、兄弟で子育てについて相談し合う事もあるんじゃないだろうか?
子育てを前にしたら、今までの微妙な関係だって些末な事に思えると思う。
私はまだ未経験だけど、聞こえてくる話だけでも、意思疎通ができない赤ちゃんを育てていくってとても大変な事だから。
成長して意思疎通できるようになったあとだって、自我を持つ一人の存在だから、思うように過ごしてくれるとは限らない。
私たちはきっと、赤子さまの前では無力なのだ……。
「……子育て、ね」
尊さんはそう言って、ニヤッと笑う。
「にんにくパパはママと仲良くしたいけど、拒否られてるなぁ……」
「う……。にんにくママはちょっと……まだ、口がバイオテロなので……」
そう言ったあと、私たちはフフッと笑った。
「もう五月も終わりですし、来月は就任パーティーですね」
「だな。それが終わったら、七月に広島か」
「ですね」
頷いた私は宮本さんの事を想う。
彼女がまだ尊さんを恨んでいるとか、想っている心配はなくなったけど、やっぱり実際会って話してみないと掴めないものはあるだろう。
「……お好み焼きとか楽しみです。……牡蠣は……、Rのつく月じゃないから駄目か……」
Rのつく月……九月から四月時期の牡蠣はシーズンだから美味しいけど、それ以外は身が痩せているから美味しくないと言われている。
「確か、夏でも食べられる品種があるとかで、提供している店があるはずだけどな」
「マジですか?」
私はグリンッと首を巡らせ、運転席にいる尊さんを見る。
「農作物だとどうしても時期はあるだろうけど、海産物は割と融通が利くんじゃないか? 知らんけど」
「あー、確かに」
二月から五月くらいにかけて、尊さんの家では贔屓にしている茨城県の農家さんから、めちゃ甘くて美味しいトマトを届けてもらっている。
けれどそれも時期が終わったら食べられなくなるので、つくづく農作物は限定ものだ。
今は北海道のアスパラを美味しく食べているし、もう少ししたら山形県からさくらんぼ、長崎県からスイカが届く。
夏になれば山形県や岡山県の桃にむしゃぶりつき、九月に入ったら山形県の大粒のぶどう、長野県から大好きな和梨、南水梨が届き、和歌山県の柿、山形県のラ・フランス、ル・レクチェ、そして長野県の林檎シナノスイート……。
「山形県って偉大ですね!?」
「いきなりだな。何をトリップしてた?」
尊さんに突っ込まれたけれど、私の脳は果物に支配されている。
「……果物食べたいです……」
「よし、帰ったら宮崎県のマンゴー食うか」
「最高!」
私は甘くて美味しいマンゴーを思い出し、俄然やる気を出した。
言われて、物凄く納得した。
どんなに優秀な人でも、家庭に怜香さんみたいな母親がいたら抑圧されてしまうだろう。
けど、怒鳴ったりするタイプなら怜香さんと激しく衝突してしまうし、きっと家にいた尊さんを気遣って、感情を露わにするのを控えていたんだろう。
それで風磨さんは、あらゆるストレスを内に溜め込んでしまうようになった。
以前のホテル女子会の時に、エミリさんがチラッと『彼を理解できるのは私だけと思っているし、それでいいの』と言っていたけれど、風磨さんも彼女にだけなら甘えられるんだろう。
「内向的な性格をしていても、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、『ハリー・ポッター』の作者のJ・K・ローリング、ミュージシャンのエド・シーラン、スピルバーグ監督やアインシュタインとか、多くの偉人がいる。あいつも大成すると思ってるよ」
「……何だかんだ言って、風磨さんの事が好きですよね」
にひ、と笑って言うと、尊さんは少し複雑な表情になる。
「……まだ好きと断言できる感情じゃねぇけどな。……でも、敵ではないと思ってる」
「それでいいんですよ。きっと……、…………気がついた頃には兄弟でパパになってますから。そうなったら細かい事も言ってられなくなりますし、協力し合って子育てするんじゃないですか?」
後半は恥ずかしくて少し早口になったけれど、そう気にする事はないと伝えたかった。
わだかまりがあるのは理解するけど、それはきっと風磨さんも同じだ。
でも、今は社長と副社長として対立せずうまくやれているし、共通の敵というか、一緒に取り組むものがあると、関係はうまくいくのだと思っている。
仕事でもそうだし、いずれ私とエミリさんに子供が生まれたら、兄弟で子育てについて相談し合う事もあるんじゃないだろうか?
子育てを前にしたら、今までの微妙な関係だって些末な事に思えると思う。
私はまだ未経験だけど、聞こえてくる話だけでも、意思疎通ができない赤ちゃんを育てていくってとても大変な事だから。
成長して意思疎通できるようになったあとだって、自我を持つ一人の存在だから、思うように過ごしてくれるとは限らない。
私たちはきっと、赤子さまの前では無力なのだ……。
「……子育て、ね」
尊さんはそう言って、ニヤッと笑う。
「にんにくパパはママと仲良くしたいけど、拒否られてるなぁ……」
「う……。にんにくママはちょっと……まだ、口がバイオテロなので……」
そう言ったあと、私たちはフフッと笑った。
「もう五月も終わりですし、来月は就任パーティーですね」
「だな。それが終わったら、七月に広島か」
「ですね」
頷いた私は宮本さんの事を想う。
彼女がまだ尊さんを恨んでいるとか、想っている心配はなくなったけど、やっぱり実際会って話してみないと掴めないものはあるだろう。
「……お好み焼きとか楽しみです。……牡蠣は……、Rのつく月じゃないから駄目か……」
Rのつく月……九月から四月時期の牡蠣はシーズンだから美味しいけど、それ以外は身が痩せているから美味しくないと言われている。
「確か、夏でも食べられる品種があるとかで、提供している店があるはずだけどな」
「マジですか?」
私はグリンッと首を巡らせ、運転席にいる尊さんを見る。
「農作物だとどうしても時期はあるだろうけど、海産物は割と融通が利くんじゃないか? 知らんけど」
「あー、確かに」
二月から五月くらいにかけて、尊さんの家では贔屓にしている茨城県の農家さんから、めちゃ甘くて美味しいトマトを届けてもらっている。
けれどそれも時期が終わったら食べられなくなるので、つくづく農作物は限定ものだ。
今は北海道のアスパラを美味しく食べているし、もう少ししたら山形県からさくらんぼ、長崎県からスイカが届く。
夏になれば山形県や岡山県の桃にむしゃぶりつき、九月に入ったら山形県の大粒のぶどう、長野県から大好きな和梨、南水梨が届き、和歌山県の柿、山形県のラ・フランス、ル・レクチェ、そして長野県の林檎シナノスイート……。
「山形県って偉大ですね!?」
「いきなりだな。何をトリップしてた?」
尊さんに突っ込まれたけれど、私の脳は果物に支配されている。
「……果物食べたいです……」
「よし、帰ったら宮崎県のマンゴー食うか」
「最高!」
私は甘くて美味しいマンゴーを思い出し、俄然やる気を出した。
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