【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

文字の大きさ
646 / 810
四人で焼き肉 編

男の見栄と夏休みの予定

しおりを挟む
「じゃあ、恵ちゃん。俺たちもどこか行く? ホットな夏休みを……」

「私、家族とキャンプする予定があるんですけど」

 恵はこんな時もブレずに塩対応だ。

「ならお邪魔しちゃおうかな? 先日、佳苗さんにお誘いも受けたし」

 ニッコリ笑った涼さんは、スマホを出すとメッセージを打ち始めた。行動が速すぎる。

「ちょ……っ、ちょっ……!?」

 恵が動揺している間、涼さんはメッセージを打ち終えて送信している。

「……中村さん、涼はこうと決めたら本当に行動が速いから、諦めたほうがいいよ。しかも人当たりがいいから、大体の人は受け入れちまうし」

 尊さんが気の毒そうに言う。

「……おのれ太陽属性……」

 恵は溜め息をつき、腕組みをしている。

 すると涼さんのスマホに着信が入り、彼は「ちょっと電話してくるね」と個室を出て行った。

 尊さんも立ちあがり「ちょっと行ってくる」と、フラリと個室をあとにする。

 恵と二人きりになり、私はなんとなく気が抜けて微笑む。

「美味しいお肉だったね」

「マジ美味しかった。涼さんや篠宮さんと一緒にいると、カロリー心配だわ~」

「それはあるかも。運動しないと」

 お腹をさすりながら言うと、恵がポンポンと腕を叩いてきた。

「何だかんだあったみたいだけど、大切にされてんじゃん。さっきは『これだから金持ち男は』って言ったけど、涼さんが言った通りあんなに立派な物、本気じゃないと贈らないと思うしね。私は知らないブランドだけど、涼さんがああいう反応をしたって事は結構な物なんじゃないの?」

 そう言われ、私はコソコソッと言う。

「プレゼントの値段を調べるのって無粋でマナー違反だけど……、ちょっと確認してもいいかな?」

「私が許す」

 恵の許しを得てネット検索をしたあと――、私たちは金額を見てムンクの『叫び』のような顔になっていた。

「ど……っ、どうしよう……っ。落とせない。つけられない……っ」

「落ち着け。まず鍵付き金庫だ」

「そうだね。しまっておけば落とさなくなる」

 私たちは動揺のあまり、ジュエリーを身につける事を失念している。

「何やってんの。せっかくプレゼントしたんだから、つけてあげないと尊が可哀想でしょ」

 そのタイミングで涼さんが戻ってきて、呆れたように笑う。

「……母はなんて言ってましたか?」

 恵が尋ねると、涼さんはいい笑顔でサムズアップした。

「大興奮で受け入れてくれたよ。行き先はこっちも海で、茨城県大洗おおあらいのビーチキャンプ場だって。水着だね!」

「……すっごい嬉しそうっすね」

「恵ちゃんにどんな水着を着てもらおうか、楽しみで楽しみで……」

「ドスケベ」

「恵ちゃんの大好きな、ドスケベ大魔王だよ」

 恵が塩対応を通り越して、塩の塊をぶつけるような対応をしても、涼さんは飄々としている。

「まぁ、何を着せられてもラッシュガード着ますから、問題ないですけどね」

「それを脱がせるのが俺の仕事だよね」

 まるで語尾に音符マークでもついていそうなルンルン具合で言われ、恵はしかめっつらだ。

 その時に尊さんが戻り「帰るか」とバッグを手に取った。

 彼は先に私の荷物を手にして渡してくれ、そういうこまやかな気遣いにキュンとくる。

「尊、さっき朱里ちゃんが恵ちゃんと、ショパールを鍵付き金庫にしまっておく相談してたよ」

「マジか。……朱里。つけてくれないと意味がないんだが」

「こっ、……怖くてつけられませんよ。落としたり壊したら、絶望して身投げするしか……」

「身投げはもうやめてくれ」

 彼は溜め息混じりに言い、個室を出てから出入り口に向かっていく。

「確かに安くない買い物だけど、朱里にあげたんだから、しまっておくよりは着けてくれたほうが嬉しい。沢山つけた上でうっかりなくしてしまったなら、それは仕方ない。また別の物を贈るよ」

「……うう……。気持ちはありがたいんですが、せめて三万円以内に……」

「そこはホラ、男の見栄だから」

「また見栄だ~……」

 ブスーッとしていたけれど、スタッフさんに送りだされる時は、三人で彼に「ごちそうさまでした」を言った。
しおりを挟む
感想 2,607

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

「君はいらない」と捨てられた夜、天敵の冷徹社長に「なら、俺が貰う」と拾われました。――手を出さない約束でしたが、彼の理性が限界のようです

白山 乃愛
恋愛
【婚約破棄から始まる、不器用なライオン(冷徹社長)の猛烈な求愛!】 「俺の妻になるなら覚悟しろ。……もう、指一本逃がすつもりはない」 ★あらすじ★ 「美月は完璧すぎて、可愛げがないんだよ」 28歳の誕生日。 一流ホテルのウエディングプランナーである相沢美月(あいざわ みつき)は、婚約者の裏切りにより、結婚目前ですべてを失った。 雨の降る路地裏。 ヒールも折れ、心も折れてうずくまっていた美月の前に現れたのは、かつての高校時代の天敵であり、現在は勤務先の冷徹な社長 一条蓮(いちじょう れん)だった。 「捨て猫以下だな」 そう憎まれ口を叩きながらも、彼は泥だらけの美月を躊躇なく抱き上げ、最高級ペントハウスへと連れ帰る。 そして、彼が突きつけたのは、あまりにも強引な提案だった。 「住む場所がないなら、俺の家に来い。その代わり――俺の『婚約者』役を演じろ」 利害の一致した契約関係。 条件は「お互いに干渉しないこと」、そして「決して手を出さないこと」。 ……のはずだったのに。 「髪、濡れたままだと風邪を引く」 「あんな男のために泣くな。顔が台無しだ」 同居生活で見えてきたのは、冷徹な仮面の下に隠された、不器用すぎるほどの優しさと独占欲。 美月が作った手料理を誰よりも美味しそうに食べ、元婚約者が復縁を迫ってくれば「俺の女に触れるな」と徹底的に排除する。 天敵だったはずの彼に守られ、凍っていた美月の心は次第に溶かされていく。 しかし、ある雷雨の夜。 美月が不用意に彼に触れた瞬間、一条の理性のタガが外れてしまい――。 「……手を出さない約束? 撤回だ」 「そんな無防備な顔で見つめて、何もしないでいられるほど、俺は聖人君子じゃない」 10年越しの片思いをこじらせたハイスペック社長 × 仕事熱心で恋愛に臆病なプランナー。 契約から始まった二人の関係が、本物の愛(溺愛)に変わるまで。 元婚約者への痛快な「ざまぁ」も収録した、極上の大人のシンデレラストーリー! 【登場人物】 ◆相沢 美月(28) ホテルの敏腕ウエディングプランナー。真面目でお人好しな性格が災いし、「つまらない女」と婚約破棄される。実は家事万能で、酔うと少しだけ甘えん坊になる(本人は無自覚)。 ◆一条 蓮(28) ホテルグループの社長。美貌と才覚を併せ持つが、他人に興味を示さないため「氷の貴公子」と呼ばれる。実は高校時代から美月を一途に想い続けており、彼女のこととなると冷静さを失う。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...