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四人で焼き肉 編
骨格なんちゃら
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笑ってさらにアイスを食べ進めていると、尊さんがまたボソッと尋ねてくる。
「水着、どんな感じ?」
私は口からスプーンを抜き、んむんむと口内のアイスを溶かしてから答えた。
「普通のビキニです」
「ヴィキニ」
「なんで前歯で軽く下唇を噛むんですか」
「露出は結構あるのか?」
「お父さんみたいに心配しないでくださいよ。今どきの女子はみんなビキニ着てます」
「しかしな……。ほら、今って日焼けしないように長袖のとか短いワンピースみたいな奴もあるんだろ?」
「やけに詳しいですね」
そう言うと、尊さんは視線を逸らす。
多分、行き先がビーチだと分かって、サッと調べたんだろう。
「言っときますけど、私骨ストだから、あんまりヒラヒラしたの着たらモッサリするんですよ。だからシンプルにいきます。そのほうが格好良く見えるので」
「骨……、骨格なんちゃらってやつか?」
「お、さすミコ。よく知ってますね。骨ストは胴に厚みがあって、全体的に肉がつきやすいんですよ。だから引き締めないとゴツくなるので、暇があったら運動を頑張っているんです」
「……朱里は胸が大きくて腰がくびれてるし、そういうものに惑わされないのかと思ってた」
「イエベとかブルベとかもですが、自分に似合うものを理解してると、服やコスメ選びで失敗しなくなります。無駄を省くための勉強ですね。それに、可愛いと思っている服と、自分に似合う服との乖離ってあるじゃないですか。理想と現実の違いっていうか。……私は立体的な体つきで痩せにくいし、胸もお尻も肉がついてるので、なんかこう……迫力があるんですよ」
「……あ、それはちょっと分かる気がする。朱里はゴージャスだ」
「ゴージャス朱里」
「姉妹でセットにしたくなるな」
「恵は骨格ナチュラルですからね。ほら、モデル体型じゃないですか。手もちょっと大きくて骨張ってるというか」
「あぁ……」
「だから恵がメンズライクな格好を好んでるの、あれは大正解なんです。ワイドパンツとか、オーバーサイズのシャツとかも正解。彼女がヒラヒラした服を好まないの、骨格ナチュラル的には合ってるんですよね。……着るならふわっとした、体のラインを隠すワンピースとか、ロングのタイトスカートかな。ボリュームのあるフレアスカートもいけるけど、ちょっと抵抗見せるかも」
「ちなみに、男にもそういうのあるか?」
「ありますよ。基本的に女性と同じだと思います。尊さんは……、ストレート系かな。鍛えて筋肉ついて、結構胸板に厚みありますし、綾子さんたちに『お尻がセクシー』って言われてましたし」
「マジか」
尊さんは自分のお尻を見られていたと思わず、ガックリ項垂れる。
「だから、あんまりダボッとしたの着ないほうがいいと思います。私みたいに迫力出てしまうので。いつもシンプルな服を着てますけど、本能的に好きだと感じたり、自分に似合うと思って買ってるなら、大正解ですね。ちなみに涼さんも同じタイプ。……あと、神くんは多分ナチュラルですね。身長と肩幅の割にスラッとしてますし、手がごつかった」
ついでに他の人も予想をつけると、尊さんがじっとりとした目で私を見てきた。
「……涼や神の手とかケツを見てたのか?」
「別に意識してジロジロ見てた訳じゃないですけど、仕事してる時に目に入ったり、前を歩いたらちょっと見ちゃうじゃないですか」
「よし。涼には『朱里の三歩後ろを歩け』と言っておく」
「昭和の妻ですか」
突っ込んだあと、尊さんは少し何かを考えてから頷いた。
「ちょっと次、服を買いに行く時にそれを視野に入れてみる。骨格診断について詳しそうな人がいるから」
「……女性ですか? お綺麗なタイプの」
ツンツンと尊さんの脚をつつくと、彼は「違うよ」と私の頭を撫でる。
「女子力の高い男性がいるんだよ。化粧してるって分からない程度だけど、ちゃんと朱里みたいにベースメイクからやって、眉毛もリップも塗ってるみたいで、ネイルもしててすげぇ美容意識が高い。おすすめの香水とかもその人に教えてもらってる。涼に紹介してもらった、トータルビューティーアドバイザーなんだけど、すげぇ人気で予約をとらないと会えないんだ」
「へぇ……、凄いですね」
確かに東京は美意識の高い人が多く集まっている印象があるので、そういう人がいてもおかしくない。
「水着、どんな感じ?」
私は口からスプーンを抜き、んむんむと口内のアイスを溶かしてから答えた。
「普通のビキニです」
「ヴィキニ」
「なんで前歯で軽く下唇を噛むんですか」
「露出は結構あるのか?」
「お父さんみたいに心配しないでくださいよ。今どきの女子はみんなビキニ着てます」
「しかしな……。ほら、今って日焼けしないように長袖のとか短いワンピースみたいな奴もあるんだろ?」
「やけに詳しいですね」
そう言うと、尊さんは視線を逸らす。
多分、行き先がビーチだと分かって、サッと調べたんだろう。
「言っときますけど、私骨ストだから、あんまりヒラヒラしたの着たらモッサリするんですよ。だからシンプルにいきます。そのほうが格好良く見えるので」
「骨……、骨格なんちゃらってやつか?」
「お、さすミコ。よく知ってますね。骨ストは胴に厚みがあって、全体的に肉がつきやすいんですよ。だから引き締めないとゴツくなるので、暇があったら運動を頑張っているんです」
「……朱里は胸が大きくて腰がくびれてるし、そういうものに惑わされないのかと思ってた」
「イエベとかブルベとかもですが、自分に似合うものを理解してると、服やコスメ選びで失敗しなくなります。無駄を省くための勉強ですね。それに、可愛いと思っている服と、自分に似合う服との乖離ってあるじゃないですか。理想と現実の違いっていうか。……私は立体的な体つきで痩せにくいし、胸もお尻も肉がついてるので、なんかこう……迫力があるんですよ」
「……あ、それはちょっと分かる気がする。朱里はゴージャスだ」
「ゴージャス朱里」
「姉妹でセットにしたくなるな」
「恵は骨格ナチュラルですからね。ほら、モデル体型じゃないですか。手もちょっと大きくて骨張ってるというか」
「あぁ……」
「だから恵がメンズライクな格好を好んでるの、あれは大正解なんです。ワイドパンツとか、オーバーサイズのシャツとかも正解。彼女がヒラヒラした服を好まないの、骨格ナチュラル的には合ってるんですよね。……着るならふわっとした、体のラインを隠すワンピースとか、ロングのタイトスカートかな。ボリュームのあるフレアスカートもいけるけど、ちょっと抵抗見せるかも」
「ちなみに、男にもそういうのあるか?」
「ありますよ。基本的に女性と同じだと思います。尊さんは……、ストレート系かな。鍛えて筋肉ついて、結構胸板に厚みありますし、綾子さんたちに『お尻がセクシー』って言われてましたし」
「マジか」
尊さんは自分のお尻を見られていたと思わず、ガックリ項垂れる。
「だから、あんまりダボッとしたの着ないほうがいいと思います。私みたいに迫力出てしまうので。いつもシンプルな服を着てますけど、本能的に好きだと感じたり、自分に似合うと思って買ってるなら、大正解ですね。ちなみに涼さんも同じタイプ。……あと、神くんは多分ナチュラルですね。身長と肩幅の割にスラッとしてますし、手がごつかった」
ついでに他の人も予想をつけると、尊さんがじっとりとした目で私を見てきた。
「……涼や神の手とかケツを見てたのか?」
「別に意識してジロジロ見てた訳じゃないですけど、仕事してる時に目に入ったり、前を歩いたらちょっと見ちゃうじゃないですか」
「よし。涼には『朱里の三歩後ろを歩け』と言っておく」
「昭和の妻ですか」
突っ込んだあと、尊さんは少し何かを考えてから頷いた。
「ちょっと次、服を買いに行く時にそれを視野に入れてみる。骨格診断について詳しそうな人がいるから」
「……女性ですか? お綺麗なタイプの」
ツンツンと尊さんの脚をつつくと、彼は「違うよ」と私の頭を撫でる。
「女子力の高い男性がいるんだよ。化粧してるって分からない程度だけど、ちゃんと朱里みたいにベースメイクからやって、眉毛もリップも塗ってるみたいで、ネイルもしててすげぇ美容意識が高い。おすすめの香水とかもその人に教えてもらってる。涼に紹介してもらった、トータルビューティーアドバイザーなんだけど、すげぇ人気で予約をとらないと会えないんだ」
「へぇ……、凄いですね」
確かに東京は美意識の高い人が多く集まっている印象があるので、そういう人がいてもおかしくない。
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