【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第四部・婚約 編

一歩進みたいと思う

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「あの、佑さんと話し合ってから、またご連絡させて頂いてもいいでしょうか?」

『そうね。二人の事だからよく話し合うといいわ。ただ、のんびりしすぎないようにね。何でも年齢で言うつもりはないし、孫の顔を見せろとうるさく言うつもりもないわ。ただ、体の事を考えると、早い方がいい場合もある』

「はい」

 確かにアンネの言う通りだ。

 結婚の次は出産。
 それだけがすべてではないけれど、佑との未来を思い描くと彼との子供は勿論ほしいと思っている。

 いざ子供がほしいという時に、もしかしたらすんなりいかないかもしれない。
 ありとあらゆる事を想定して、早めに手を打っておくのは大事だ。
 生まれた時に卵子の数は決まっていて、それ以上は増えず、加齢と共に減っていくという話も聞いた。
 そして他の細胞がそうであるように、歳を重ねると卵子も衰えていくだろう。
 香澄がいつ婦人科の病気にかかるかも分からない。

 いつでも自然妊娠で母子ともに健康な出産ができるのなら、アンネだってこんな事を言わない。
 そこは女性の先輩として、彼女のアドバイスに素直に従いたい。

『私だってせっついたりしたくないのよ。……ただ、色々……。想像してしまう事もあるし、そうしたら落ち着かなくて』

 彼女の言葉を聞き、香澄はにっこり笑う。

(つまるところ、私たちの結婚を楽しみにしてくださっているのかな。そうだったら嬉しい)

「お気遣いありがとうございます」

『じゃあ、またね。食事にでも誘うわ』

「はい!」

 そのようにして電話が切れた時、室内に置いてあるフェリシアが『タスクさんが帰宅しました』と告げた。

「おっ、帰ってきた」

 足の痺れは少し回復したので、香澄は慎重にベッドから下りたあと、佑を出迎えに行った。

「おかえりなさい」

 階段を下りると、ホールにいる佑がこちらを見る。

「ただいま。体は大丈夫?」
「うん。お休みをありがとう」
「そうか、良かった。じゃあ、充電」

 佑は香澄を抱き締め、スゥーッと匂いを嗅ぐ。

「今日はオレンジか」
「そう」

 香水の残り香から言い当てられ、香澄はクスクス笑う。

「あのね、今アンネさんから電話があったの」
「え?」

 イチャイチャ中だったが、アンネの話をすると、佑は顔を上げてしげしげ見てくる。
 それから何か思い当たる事があったのか、長めの溜め息をついた。

「……今日、昼にオーマから電話があったんだ。今後の事について色々話されて、『そんなに急かさないでくれ』とは言ったけど……。香澄の方にもあったか……」

 髪を手で撫でつけ、佑は溜め息をつく。

「とりあえず着替えてくる」
「うん」

 佑は自室へ向かい、香澄は斎藤の手伝いがないかリビングダイニングに向かった。
 そのあと夕食に銀ダラの西京漬け、アサリの酒蒸しに菜の花とえのきのお浸し、カボチャサラダが出された。
 食べ終わったあと、斎藤お手製のプリンを食べ、先ほどの続きを話す。

「……結局、結婚を促す内容、っていう事か」
「……みたいだね」
「まぁ、反対されるよりはありがたい。……でももう少し、放っておいてほしい気持ちはあるけど」

 それに香澄は何も答えず、しばらく黙ってプリンを食べる。
 そのあと、勇気を出して口を開いた。

「でも、アンネさんの仰る通りだとも思うの」
「ん?」

「佑さんは私の気持ちに寄り添ってくれて、待つって言ってくれてる。勿論、待たせすぎもいけないけど。……でも、ご家族に挨拶をして、楽しい時間を過ごせて、私の心配事が一つ減った」
「うん」

 香澄の心境の変化を知り、佑はこちらを見て微笑みながら頷いた。

「だから私も、一歩進みたいと思う」
「……うん」

 佑が嬉しそうに笑ったのを見て、香澄は自分の選択が間違えていないのだと確認する。
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