【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第五部・ブルーメンブラットヴィル 編

佑さんは大丈夫?

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「気にしないでくれ。何より、香澄に怪我を負わせてしまった責任があるし、ご家族も絶対に心配している」
「ん……」

 それでも、命に関わる怪我ではないので、些かオーバーにも感じられてしまう。
 だが目の前で婚約者が車に撥ねられたのを見せられた彼としては、堪ったものではなかったのだろう。

「これからすぐ、日本に向かう。室内には久住と佐野がいる。男だから嫌かもしれないが、香澄に何かする事は絶対ない」
「うん」

 二人の名前が出たからか、病室の奥から彼らが歩み寄り、香澄が見える所まで近づくと無言で頭を下げた。
 二人とも沈痛な表情をしている。

 護衛としてドイツまで同行したのに、香澄を守り切れなかった事に大きな責任を感じているのだろう。

「……心配掛けてごめんなさい。色々、ありがとう」
「ん。香澄が生きていてくれているから、それだけでいい」

 微笑んだ彼の言葉は本音だろうが、その表情も雰囲気も、すべてが疲弊しきっていた。

「……佑さんは大丈夫?」

 本当は彼が一番心配しただろう。
 たった数時間の出来事なのに、彼の印象がガラッと変わってしまっている。

 心配して尋ねると、佑の目が揺らぐ。
 そして彼は切なげに笑い、香澄の頭をそっと撫でてきた。

「……大丈夫」
「……佑さん」

 香澄はもう一度、気合いを入れて腕をもたげ、彼の髪を撫でた。

「〝世界の御劔〟が、こんなに髪を乱していたら駄目だよ」
「……ちゃんと櫛を通すよ」

 もう妻のようなことを言う香澄に、佑が泣き笑いのような表情を浮かべる。
 返事をする佑に微笑みかけ、香澄は愛しげに佑の顔の輪郭をたどった。

(この手から、『大丈夫だよ』っていう気持ちが伝わりますように)

 誰にともなく願い、微笑んでみせた。

「入院はどれぐらい?」
「落ち着いたら数日で退院できるらしいが、念のために一週間は考えて」

 自分たちは今、季節外れのGWを取っている。
 それが終わったらまた普通に勤務するが、社長に同行する秘書の仕事を考えると、それは難しいだろう。

(オフィス勤務メインになっちゃうな)

 また松井に迷惑を掛けてしまうと思い、重たい溜め息が漏れる。

「退院できたら、帰国するよね?」
「あぁ。でも、日本の受け入れ先病院に連絡しなきゃいけないし、松井さんに連絡をしておかないとな」
「……つくづく、私って駄目だね」

 自嘲すると、佑が困った顔をして息をつく。

「どうしてそうなるんだ。事故に遭ったのは香澄のせいじゃない」
「そのうち、松葉杖マスターになったら、有能な第二秘書がシャキーンと復活しますって、松井さんに伝えてね?」
「ん、俺も楽しみにしてるよ」

 負担にならないよう香澄の頭を優しく撫でたあと、佑は立ち上がった。

「じゃあ、行くな。すぐ戻って来るから、待っていてくれるか?」
「分かった。ドイツ語の日常会話は大丈夫だし、英語もある程度できるし、心配しないで」

 まだ麻酔の余韻が残っている中で、思考を巡らせて会話をしたので、香澄は疲れを感じていた。
 それを察した佑は、身をかがめて額にそっと唇を押しつけた。

「疲れさせてごめん。寝ている間に戻って来るから、ゆっくりしていて。何かあったら、祖母が対応する」
「うん……」
「側にいたいけど、早く戻って来たいから、……行くな」

(気にしないで)

 返事をしたかったけれど、香澄は目を閉じて眠りについてしまっていた。



**



 香澄の小さな寝息が聞こえたあと、佑は溜め息をつく。
 愛しい婚約者の顔を穴が空くほど見つめたあと、未練たらたらの自分に活を入れ足を動かした。

「じゃあ、あとは頼むぞ」

 小さな声で久住と佐野に声を掛けると、彼らは黙礼した。
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