【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
808 / 1,591
第十三部・イタリア 編

御劔邸での出迎え

しおりを挟む
「お帰りなさいませ」

 大きな門をくぐって御劔邸の敷地に入り、車から降りると、円山が頭を下げた。
 加えて松井と斎藤、島谷もいる。

 ヨーロッパに行っていた間、非番だった護衛たちも来ていて勢揃いだ。

「斎藤さん! 島谷さん! お久しぶりです!」

 疲れも忘れて駆け寄ると、斎藤は涙ぐんで抱きついてきた。

「赤松さん……! お元気そうで! 社長もきちんと食べてくださっているようで、安心しました!」

 いつもにこやかな斎藤が、珍しく涙を見せている。

 思えば斎藤とは一か月ぶり以上の対面だ。

 香澄が北海道に戻っていた間、彼女は佑が何も食べず、生きる死体のようになっていたのを目にしていた。

 だから幸せそうに笑っている二人を見て、こみ上げるものがあったのだろう。

「その節はすみませんでした。今はすっかり心身共に健康になりました。また美味しい食事をお願いします」

 佑が頭を下げると、涙ぐんだ斎藤が笑う。

「ええ! 腕によりを掛けて! まずは『帰国して良かった』としみじみ思うような、日本食ラインナップでいきますね」

「はい」

 香澄は喜んでもらえると思い、お土産の事を話す。

「斎藤さん、島谷さん、あとでお土産を渡しますね」

「ええ、ありがとうございます」

 女性陣と話したあと、香澄は松井に向かって深々と頭を下げた。

「松井さん。長らく職務放棄をして申し訳ございませんでした。復帰できる体調となりましたので、また宜しくお願い致します」

 いつもながら隙のないピシッとした松井の姿を見ると、香澄も背筋が伸びる。

「おかえりなさい、赤松さん。復帰できるとの事で安心しました。出社するのは、時差ボケなどが治ってからで構いませんので、宜しくお願いします」

 変わらない温厚な声を聞いてそろりと頭を上げ、社員の様子を尋ねる。

「あの、社員の皆さんはどうですか? ……その、私の噂とか……」

「心配しているような、ネガティブな噂は立っていませんよ。赤松さんが思っている以上に、皆さん良識ある社員です。『御劔社長の婚約者である事が、どれほど大変か』を分かっています」

「はい」

 やはり第三者の松井から、客観的な言葉を聞かされると安心する。
 松井は佑に向き直った。

「社長、今日と明日はゆっくりお休みください。メールは変わらず回しますので、目を通してくださると助かります。時差ボケは明日のうちに治して頂いて、明後日から出社して頂きます」

「分かりました。不在の間、ありがとうございます」

 佑が頷くと、香澄も焦ってコクコクと頷く。

「私も明日のうちに時差ボケを直します!」

 張り切って言ったのだが、松井はゆるりと首を横に振った。

「社長は世界中を移動されるのに慣れていますが、赤松さんは三週間もヨーロッパに行ったのは初めてでしょう。三、四日は朝に起きられないと思ってください。それを見越して、一週間後の週明けからの復帰をお願いします」

「い……いいんですか?」

「復帰するなら、体調がきちんと戻った上でお願いします。無理をして早退したり、医務室に向かう事があっては、スケジュールが崩れますから」

 変わらない松井の言葉に、香澄は「はいっ」としっかり頷いた。

「河野さんもお疲れ様でした。河野さんは秘書業が長いでしょうから、ご自身で体調が戻ったと思ったタイミングで復帰をお願いします」

「承知しました」

 河野は松井の言葉に頷く。
 そのあと、護衛たちが佑に「荷物をすべて運び終わりました」と告げた。

「ありがとう、ご苦労様。休養中、特に外出する予定はないし、出掛けるとしても他の者に頼むから、ゆっくり休んでほしい」

「はい」

 運転手、護衛たちが頷き、呉代は「立ち食いそば喰って帰ろ」と目をしばしばさせている。
しおりを挟む
感想 576

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

処理中です...