【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
871 / 1,589
第十四部・東京日常 編

イタリアとドイツからのプレゼント

しおりを挟む
 香澄は自ら佑の情報を話すタイプではない。

 彼がどれだけ有名な人かを分かっているし、側にいる自分にも注目されているからこそ、言動には気をつけている。

 香澄にはそんなつもりはなくても、付き合っている相手、プレゼントされた物、行った場所などで「マウントをとっている」と一方的に思う人はいる。

 だが香澄が長年仲良くしている友達は別だ。

 佑が許可してくれる範囲でなら、気心知れた友達に少し話すぐらいならいいのでは……と思っている。

 二十八歳になるまで付き合いが続いているのは、友達との価値観や距離感、一緒にいる時の空気感が心地いいからだ。

 失礼な事は言わないし、香澄と佑のプライベートを周囲に言いふらす人たちでもない。

 佑の事を知りたがっているのは、仲のいい香澄の恋人だからというのもあるだろうし、誰にも言わない前提での単なる好奇心が強い。

「また皆に会いたいな」

 呟いて香澄は微笑む。

「……思い上がりかもしれないけど、仲良くしている人以外からは、佑さんの事で変に思われてるのかな」

 麻衣や仲良くしている友達は、変わらず接してくれる。

「だがそれほど仲良くない子たちはどうだろう?」という不安はある。

 佑に婚約者がいるとマスコミが知った時、〝美人秘書Aさんの友達〟としてインタビューに答えた人を思うと気が滅入る。

 麻衣からはこう言われていた。

『御劔さんと付き合ったのをきっかけに、そんなに関わりがなかったくせに急に近付く人が出てくるから、気をつけるんだよ』

 幸いな事に、香澄の連絡先は友達が守ってくれている。
 なので「○○さんから連絡先を聞いたんだけど……」と話しかけてくる人は、今のところいない。

「でもクラス会をしたら、そういう人がいるのかな……」

 何も起こっていないのに、心配して不安になるのは精神的に不健康だ。
 分かっていても、「どう思われるか」と考えると気持ちがグルグルしてしまう。

 学生時代は香澄の事など歯牙にも掛けなかった人が、佑と付き合っていると知っただけで態度を変えるのかと思うと、微妙な気持ちになる。

「……まぁ、今考えても何も変わらないか!」

 気持ちを切り替え、ドイツ組とイタリア組のどちらを先に開けようかと悩む。

「んー、アロイスさんとクラウスさんは……、何を送ってくるかちょっと心臓に悪いから……最後にしておこうか」

 そう思い、常識人のイタリア組の荷物を開けた。

「んん」

 やけに大きな段ボールの中には、フィオーレ家の家族それぞれからプレゼントが入っているらしい。中にはさらに小さな荷物が入っていた。

 開けていくと、女性陣からはイタリアデザインらしい華やかなワンピースやアクセサリー、ランジェリーなど。
 ルカからは温かそうなマフラーと手袋、帽子の三点セットだ。

 さらに、マリアからのプレゼントも入っていた。

 ローマに滞在していた時、彼女に足のサイズを測られた。

『世界で一つだけの靴を贈るわね』と言われていたが、〝いつか〟の事だと思っていた。

 まさかそれが誕生日プレゼントになるとは思っていなかった。

 箱の中に入っていたのは、シンプルだがとても履きやすそうなショートブーツだ。

「わああ……! 佑さんに自慢したい!」

 世界でたった一つ、香澄のためだけという贅沢に、思わず小躍りする。

 彼女からのメッセージには『スィニョール・ミツルギの靴は、別の機会に送るわね』と書かれてあった。

 そしてマルコからのプレゼントには、小さな革袋の中に、銀色のメダイ――お守りが入っている。

『香澄さんを神様が守ってくれますように』

 カードには聖母マリアの絵が描かれ、マルコの字で一言それだけ書かれてある。

「……ありがとうございます」

 胸の内が温かくなり、香澄はそのメダイをスマホケースにつける事にした。

 その他にもビスコッティをはじめ、イタリアのお菓子やエスプレッソの粉など食品が沢山入っていた。

「さて……」

 香澄はドイツ組からのプレゼントに向き直る。

 こちらも大きな段ボールで送られていて、きっとクラウザー家ぐるみなのだろう。

 いざ開けてみてまず目に入ったのは大量のチーズだ。
 様々な種類のチーズが所狭しと入っていて、緩衝材のようだ。

「なるほど……。ありがたく頂きます」

 不意に双子がドイツ人とイモの関係を丁寧に話してくれた事を思いだしたが、さすがにイモは送ってこなかったようだ。

「うわふ」

 手近にあった紙袋を開くと、中から布に包まれた革製のバッグが出てきた。

「知らないけど、高いブランドのなんだろうなぁ……」

 何せドイツ組からのプレゼントは大きな段ボール三箱にわたり、恐らく一族をかけて祝ってきたのでは……と思う。
しおりを挟む
感想 575

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

元カノと復縁する方法

なとみ
恋愛
「別れよっか」 同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。 会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。 自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。 表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

処理中です...