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第十四部・東京日常 編
三人と乾杯
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「肉食べたいねーって言って予約してもらったんだ」
「そうそう。今日社長に『肉食べていいですか?』って聞いたら『いいよ』って言ってくれたんだ。で、社長がレストランに予約入れてくれたみたい」
「はぁぁ……」
佑が三人によく話しかけられているのは知っていたが、ここまで繋がっていると「流石だなぁ」としか思えない。
「勿論、他の人には内緒だけどね~! ふふふ、赤松さんと仲がいいっていうだけで、得した感じがする。気分いー!」
話しながらエレベーターに乗り、グリルダイニングがある最上階に向かう。
「先にご飯だけど、ホテルのスイートルームも楽しみて! SNSにのせたら、他の人にバレるからやらないけど、写真を撮るだけならいいって言ってくれたし」
「私、親に自慢するんだー」
三人はエレベーターの中でかしましく話し、香澄はそれを聞いてニコニコしている。
香澄は大人数になると、聞き役に徹してしまう。
つまらない訳ではなく、皆が楽しいなら自分も楽しいというスタンスだ。
何かあったらすぐ怒れない性格に通じているのか、臨機応変に会話のラリーをするのが少し苦手だ。
気心しれた人と一対一なら自分のペースで話せるが、三人以上になると会話を見守ってしまう。
成瀬たちが話している間、エレベーターが最上階につく。
「あーあ、社長のお金で食べる肉、美味しいだろうなぁ」
「あとで社長にお礼言うけど、赤松さんも〝後で〟社長にお礼言っておいてね。ベッドの中でとか」
「ごふっ」
礼を言っておいてほしいという言葉に「はい」と言いかけたのに、「ベッド」という単語が出て激しく噎せた。
「やだぁ、いつまで経っても初心だなぁ」
「ちょっと成瀬、『初心』とか」
そんな事を言っている横で、荒野が「すみません。御劔の名前で予約した四名です」と支配人に声を掛けた。
クロークでコートを預かってもらい、香澄たちは個室に案内される。
「うわぁ、すっごい夜景。赤松さん、いっつもこんなの見てるんでしょ? いいなぁ」
「いつもじゃないですよ」
「いつもは豪邸にいるんでしょー? プールついてる?」
「んー……、ま、まぁ、ある……と思います」
それとなくぼかしたが、三人は「おおお……」とどよめく。
そのあと、スタッフにドリンクメニューを渡されたので、お喋りの内容はそちらに移る。
「なに飲もっか。やっぱり肉だったら赤ワイン? 赤松さん、社長にワインの知識とか教えてもらってる?」
水木に聞かれ、香澄は曖昧に微笑んだ。
「一緒にいる時は色々聞かせてもらっているんですが、任せているのであまり身についていないです。お肉には赤ワインって言われても、どこの国のどこ産の何が……とか、全然です」
「なんだー、良かったぁ。すっかり洗練されて別人になってるかと思った」
安堵した荒野に、香澄は「別人ってなんですか」と笑って突っ込みを入れる。
そのあと、ソムリエにお勧めのワインを教えてもらい、四人ともグラスワインを飲む事にした。
支払いは佑なので、食事は一番高いコースだ。
内心「いいのかな?」と心配になるが、三人が佑に確認したのなら間違いないのだろう。
「じゃあ、赤松さんの健康と、社長とのラブラブに乾杯!」
成瀬の明るい掛け声に、荒野と水木が「かんぱーい!」と明るく続く。
しかし香澄はどう突っ込んでいいか分からず、グラスを彷徨わせていた。
だが三方向からグラスを合わせられ、乾杯してしまう。
「んーっ、高いワインは美味い!」
「成瀬、せっかくお高い店なんだから、もっと品良くしなよ。居酒屋みたいなノリでカパカパ空けたら駄目だよ?」
荒野に言われた成瀬は「任せろ」と親指を立て、香澄に話題を振ってくる。
「赤松さん、来週から復帰だって? 社長からこっそり聞いた」
香澄は小さく頷いた。
「そうなんです。ほんっとうにご迷惑をお掛けしました。怒られそうなんですが、少し前までヨーロッパにいたので、謝罪の意味を込めてお土産をしこたま買って来まして……」
「え? なんで謝罪? いいじゃん。休みだったんだから」
成瀬にケロリと言われ、香澄はモゴモゴと言う。
「そうそう。今日社長に『肉食べていいですか?』って聞いたら『いいよ』って言ってくれたんだ。で、社長がレストランに予約入れてくれたみたい」
「はぁぁ……」
佑が三人によく話しかけられているのは知っていたが、ここまで繋がっていると「流石だなぁ」としか思えない。
「勿論、他の人には内緒だけどね~! ふふふ、赤松さんと仲がいいっていうだけで、得した感じがする。気分いー!」
話しながらエレベーターに乗り、グリルダイニングがある最上階に向かう。
「先にご飯だけど、ホテルのスイートルームも楽しみて! SNSにのせたら、他の人にバレるからやらないけど、写真を撮るだけならいいって言ってくれたし」
「私、親に自慢するんだー」
三人はエレベーターの中でかしましく話し、香澄はそれを聞いてニコニコしている。
香澄は大人数になると、聞き役に徹してしまう。
つまらない訳ではなく、皆が楽しいなら自分も楽しいというスタンスだ。
何かあったらすぐ怒れない性格に通じているのか、臨機応変に会話のラリーをするのが少し苦手だ。
気心しれた人と一対一なら自分のペースで話せるが、三人以上になると会話を見守ってしまう。
成瀬たちが話している間、エレベーターが最上階につく。
「あーあ、社長のお金で食べる肉、美味しいだろうなぁ」
「あとで社長にお礼言うけど、赤松さんも〝後で〟社長にお礼言っておいてね。ベッドの中でとか」
「ごふっ」
礼を言っておいてほしいという言葉に「はい」と言いかけたのに、「ベッド」という単語が出て激しく噎せた。
「やだぁ、いつまで経っても初心だなぁ」
「ちょっと成瀬、『初心』とか」
そんな事を言っている横で、荒野が「すみません。御劔の名前で予約した四名です」と支配人に声を掛けた。
クロークでコートを預かってもらい、香澄たちは個室に案内される。
「うわぁ、すっごい夜景。赤松さん、いっつもこんなの見てるんでしょ? いいなぁ」
「いつもじゃないですよ」
「いつもは豪邸にいるんでしょー? プールついてる?」
「んー……、ま、まぁ、ある……と思います」
それとなくぼかしたが、三人は「おおお……」とどよめく。
そのあと、スタッフにドリンクメニューを渡されたので、お喋りの内容はそちらに移る。
「なに飲もっか。やっぱり肉だったら赤ワイン? 赤松さん、社長にワインの知識とか教えてもらってる?」
水木に聞かれ、香澄は曖昧に微笑んだ。
「一緒にいる時は色々聞かせてもらっているんですが、任せているのであまり身についていないです。お肉には赤ワインって言われても、どこの国のどこ産の何が……とか、全然です」
「なんだー、良かったぁ。すっかり洗練されて別人になってるかと思った」
安堵した荒野に、香澄は「別人ってなんですか」と笑って突っ込みを入れる。
そのあと、ソムリエにお勧めのワインを教えてもらい、四人ともグラスワインを飲む事にした。
支払いは佑なので、食事は一番高いコースだ。
内心「いいのかな?」と心配になるが、三人が佑に確認したのなら間違いないのだろう。
「じゃあ、赤松さんの健康と、社長とのラブラブに乾杯!」
成瀬の明るい掛け声に、荒野と水木が「かんぱーい!」と明るく続く。
しかし香澄はどう突っ込んでいいか分からず、グラスを彷徨わせていた。
だが三方向からグラスを合わせられ、乾杯してしまう。
「んーっ、高いワインは美味い!」
「成瀬、せっかくお高い店なんだから、もっと品良くしなよ。居酒屋みたいなノリでカパカパ空けたら駄目だよ?」
荒野に言われた成瀬は「任せろ」と親指を立て、香澄に話題を振ってくる。
「赤松さん、来週から復帰だって? 社長からこっそり聞いた」
香澄は小さく頷いた。
「そうなんです。ほんっとうにご迷惑をお掛けしました。怒られそうなんですが、少し前までヨーロッパにいたので、謝罪の意味を込めてお土産をしこたま買って来まして……」
「え? なんで謝罪? いいじゃん。休みだったんだから」
成瀬にケロリと言われ、香澄はモゴモゴと言う。
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