【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十六部・クリスマス 編

日本式のクリスマス

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「んー? 香澄ちょっとしょげてる? クラ、虐めた?」

 そう言われ、香澄とクラウスは同時に目を丸くし、反応する。

「まさか!」

「違いますよ! 私がちょっと……、イギリスでの事を聞きたがっただけで」

 香澄はプルプルと首を横に振る。

「あー、アレね。クラは『思い出さない方がいい』って言ったんでしょ?」

「はい」

「俺も賛成。カスミのためにならないよ。あんな事を思い出さなくていいぐらい、俺たちが楽しくさせてあげるから。ね?」

 ポンポンと頭を撫でられ微笑まれるうちに、「まぁいいか」という気持ちになった。

「……そうですね。年末年始、思いっきり楽しまないと」

「うん、それが一番」

 微笑んだアロイスが「んー」と唇を突き出して顔を寄せた時、「アロ」と佑の声がした。

「何やってるんだ」

 こちらも風呂上がりの佑が、キッチンに来てアロイスを冷淡な目で見る。
 そしてズラリと並んだラ・フランスを見て香澄に「ご苦労様」と微笑んだ。

「マティアスはまだか。几帳面に荷物整えてるのかな。先にあっちで食ってようよ」

「あ、紅茶の用意しますね」

 香澄が慌ててカフェインレスティーの用意をし始めると、何も言わずとも佑が手伝ってくれた。





 やがてマティアスもリビングに来て、五人でティータイムをとる。

「日本ってクリスマスイブにディナー行くんだってね?」

「あと! 性の六時間だっけ? 僕、それ知ったとき呼吸困難になるまで笑った!」

「……せいの六時間?」

 クラウスが笑っている理由が分からない香澄は、〝性〟を〝聖〟だと思い、「何がおかしいんだろう?」と内心首をひねっている。

 分からないのでとりあえず、ドイツでのクリスマスを話題にした。

「そちらでは家族で仲良く過ごすんですよね」

「そうそう。家族との絆を深める日で、ムッティはシュトーレンやクッキー、ご馳走を作ったりするね。俺たちはマーケットに行ってグリューワイン飲んでソーセージ食ったり……まぁ、毎年やってること変わんないんだけど。アドベントカレンダーなんかは、ドキドキするから毎年楽しみだけどね」

 知っている単語が出て、香澄はパッと表情を明るくする。

「あ! アドベントカレンダー、私も好きです! 百貨店のコスメのやつとか、持っているアイテムがあるのに、ワクワクしちゃいます」

「あれはいい商売してるよねー。特別感がある。僕らもいっその事、化粧品部門作ろうかとか言ってるよ」

「た、佑さん。CEPでも何かやらないと!」

 とっさに香澄は隣に座っている佑の手を握り、必死に訴える。

「そうだな。十二月は金が動くから、服やアクセだけと言わないで色々考えないとな」

 顎に手を当てて「ふむ」と頷いた佑は、香澄を抱き寄せてスンッと匂いを嗅ぐ。

「どうせなら、フレグランスから着手してみようかな。好きな女を自分の香りにするのも、味わい方が違うかもしれない」

 佑の案を聞いて、香澄はニコニコする。

「楽しみにしてるね。フルーツの香りがいいな」

「だな。俺も嗅いだら、かぶりつきたくなるのがいい」

 見つめ合って微笑んでいると、双子がわざとらしく咳払いをする。

「カスミに一番似合う香水作るの、僕たちなんですけど」

「は? 俺以上に香澄を知ってる男がいる訳がないだろう」

 妙な張り合いを始めた三人を見て苦笑いしつつ、香澄はラ・フランスをもぐもぐと食べる。

「お三方は、あと四日間どうします? 私たちは会社がありますし、二十七日も忘年会があります。麻衣は二十七日の夜に東京に来るので、忘年会を早めに切り上げた足で迎えに行く形になりますが」

「ふぅーん。まぁ、俺たちはプラプラ遊ぶから気にしなくていいよ。戸締まりはどうしたらいい?」

 アロイスに尋ねられ、佑は紅茶を飲んで返事をする。

「出掛ける時は離れに声を掛けてくれ。円山さんが施錠してくれるはずだから」

「りょーかい」

「明日の夜、ここでパーティーするの?」

 今度はクラウスに尋ねられ、佑は不承不承という感じで頷く。

「日本式で言えばそうだな。不本意だが、クリスマスツリーの下に、お前らのプレゼントも用意しておいた。日本式のクリスマスを楽しんでくれ」

 佑が溜め息をつきつつ言うと、プレゼントと聞いて双子がパッと顔を見合わせた。
 そのあと、リビングの隅にある、天井まで届きそうなクリスマスツリーを見る。

「マジ!? タスクいいところあるじゃん!」

「楽しみにしてる! アロ! 僕らも急ごしらえだけどタスクのプレゼント買ってやろうぜ。カスミのだけは用意してきたけど、気が変わった!」

 プレゼントと聞いて子供のようにはしゃぐ双子を、香澄は苦笑して見る。

 その時、マティアスが尋ねた。
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