【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
1,257 / 1,589
第十九部・マティアスと麻衣 編

そっけない部屋ですみません

しおりを挟む
「マティアスさんもお水飲みます?」

「ああ、もらおう」

 麻衣はグラスに水を注ぎ、「はい」と手渡す。

「何もなくてすみません。今回、家を空けるのが長かったので、冷蔵庫を空っぽにして出かけたんです」

「いや、構わない。水は美味しい」

 麻衣は相変わらずなマティアスに思わず笑ってから、部屋が散らかっていないかさり気なく確認する。

 リビングには二人掛けのソファとローテーブルがある。

 AV機器は少し金を掛けて、そこそこ大きな4Kテレビとブルーレイレコーダーがある。

 ステレオも少しいい物だし、夜間に音楽を聴く時のヘッドフォンも凝っている。

 基本的に料理をするのは好きなので、冷蔵庫は大きい物を買ったし、調味料も各種揃っている。

 金があれば鍋類も良い物を揃えたいが、今はまだ集めている途中だ。

 寝室にはシングルベッドがあり、量販店で買った植物柄の緑色のカバーを掛けている。

 カーテンも淡い緑色で、一人暮らしをする時に「緑は心を安らげる効果があるらしい」と知って統一させた。

 部屋に女子っぽい物――ぬいぐるみやアンティークな小物などは一切ない。

 そこも香澄と同じで、「掃除が大変そうだもんね」で意見が一致している。

「何か……そっけない部屋ですみません。もっと可愛かったらいいんですが」

「いや? とても住み心地が良さそうだ」

「ありがとうございます。荷物を片づけるので、適当に座っていてください。テレビとか見ていていいんで」

 そう言って麻衣はスーツケースを開け、洗濯物を出していく。

 マティアスの前で下着を出すのは恥ずかしいので、下着が入ったビニール袋はそのままだ。

「俺も洗濯が必要だな。近くにコインランドリーはあるだろうか?」

「ん? ありますけど……。うちの洗濯機が嫌じゃなかったら、自由に使っていいですよ?」

「ありがとう。じゃあ、金を払う」

「いやいや、いいですって」

 早めに洗濯をしたいが、今日は遅いので時間的に近所迷惑だ。

(明日やろう。……っていうか、マティアスさんがいるのに下着を干すのは恥ずかしいな)

 香澄のように可愛くてセクシーな下着ならともかく、麻衣の下着は可愛くなく、そこそこ大きい。

(うー……)

 体で隠しながら下着類をネットに入れ、麻衣は考え込む。

「マイ、同じ洗濯機で俺のパンツを洗っても、嫌じゃないか?」

「ぶふっ」

 どストレートに言われ、思わず噴き出してしまった。

(ほんっと飾らない人だなぁ)

「思春期の娘じゃないんですから、そんな事言いませんよ」

「……そうか。思春期の娘はそういう事を言う可能性があるのか」

 マティアスはそう言って何やら考え始める。

 麻衣は彼が何を想像しているのか察して、真っ赤になった。

「まっ、まだ先の話ですからね!?」

「想像するだけタダだろう」

 何とも俗っぽい事を言ってから、マティアスは手持ち無沙汰にテレビをつける。

 話題が逸れたのに安堵し、麻衣は洗濯機に衣類を入れて溜め息をついた。

 明日は土曜日なので、土日のうちに荷物を片付けて日曜日の夜にはゆっくり眠りたい。

「とりあえず、お風呂入って寝ましょうか」

 そう言って、布団を出すべく押し入れを開ける。

「力仕事なら俺がやる」

「あ、どうも。じゃあ、お願いします」

 敷き布団と羽毛布団を出してもらったあと、シーツは二人で協力してセットする。

「香澄もこの布団で寝てたんですよ。たまに母も来て寝ますけど」

「そうか。……何回も泊まりに来ていて、カスミが羨ましい」

 しみじみと言ったマティアスの嫉妬がおかしくて、麻衣は羽根枕を整えながら微笑む。

 そのあとお風呂が沸くまで、マティアスとたわいのない話をした。

「日本に来て一番何が印象的でした?」

「タヌキの金玉かな」

「んぶふっ」

 即答したマティアスの言葉に、麻衣は思わず笑う。

 その件については香澄から聞いていたので、うんうんと頷いておいた。
しおりを挟む
感想 575

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

元カノと復縁する方法

なとみ
恋愛
「別れよっか」 同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。 会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。 自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。 表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...