【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第二十三部・幸せへ 編

フェレール城にて

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 ブルーメンブラットヴィルに宿泊した佑は、翌日アドラー、節子と共にランスへ向かった。

 陸路では六時間は掛かってしまうので、一度パリまで飛行機で行ったあと、車で移動する。

 そのような道程で、フェレール城に着いたのは昼過ぎになった。





 執事に先導されて応接室に向かうと、ガブリエルがすでにソファに座っていて、一行の姿を見て立ちあがった。

 事前に彼に連絡して聞かされたが、同席しているのはガブリエルの弁護士、ジャンだ。

 エミリアはガブリエルの妻なので、弁護人として働いてもらっているらしい。

『久しぶりだな、ガブリエル』

 既知であるアドラーが彼に挨拶し、ガブリエルは全員と軽いハグをする。

 席についてコーヒーが出されたあと、彼は神妙な面持ちで口を開いた。

『今回の事について、申し訳なく思っている。エミリアの態度が軟化し、城内に監視カメラがあり、警備員もいるからと油断していた』

『……なぜこうなったのか、順を追って説明してくれないか?』

 険しい顔をした佑の言葉を聞き、ガブリエルは頷いた。

『私のもとに嫁がされても反省しなかったエミリアは、大人しくなったふりをして、まず城内を歩き回る自由を得た。そして城に出入りする業者を観察し、外部の者を体で籠絡し、言いなりにした』

 彼女らしい思考回路に、佑は溜め息をつく。

『実はショーが始まる直前に、エミリアは業者の協力を得て城から姿をくらましていた。その時点で連絡すべきと思ったが、まさかショーに向かっていると思わなかった。私は仕事の一環としてパリ・ファッションウィークへ向かい、その一方で妻が失踪したと警察に通報し、彼女を探してもらっていた。勿論、個人でも大勢の人を雇い、探させた』

 ガブリエルの落ち度と捉えていたが、彼は彼なりに責任を感じ、できる事はしていたようだ。

『不幸にもCEPのショーは満席とならなかった』

 理解した佑は溜め息をつく。

 ショーを見るには個人に宛てた招待状が必要で、その人でなければ使う事ができない。

 チケット制でもなく、金があればいいという話ではないのだ。

 しかし用意した客席が満席とならなかった場合、空席を嫌ったブランド側が当日に一般人を無料で入場させる事はある。

 ショーを見るには招待されるか、メディア関係者になるか、アパレル関係の職について同行人として見させてもらうか、当日の空席を狙うかだ。

『一般人として会場に潜り込んだエミリアは、そこで共謀していたフェルナンドとタイミングを見計らい、騒ぎを起こした』

 もう一人の実行犯の名前が出て、佑は無意識に刺された腹部をさすった。

 パリにいる間、佑は警察に知っている限りの情報を話し、彼の弁護士である剣崎が記憶喪失の部分を補った。

 香澄も事情聴取を受けたはずで、恐らくその時は松井や剣崎が手助けしてくれたはずだ。

 入院中は彼女の事を思い出せていなかったが、自分の判断を仰がず、彼らは独自に香澄を助けた。

 現在、久住、佐野、瀬尾が彼女と一緒にいるように、周囲にいる者たちは、たとえ佑自身が香澄を忘れていても、雇い主の大切な宝物を守るために動いただろう。

 エミリアから話を聞いたジャンは、この場だけの話という約束で彼女らの動機を話し始めた。

『フェルナンド氏は、スペインでアパレル会社を経営していました。が、経営が立ちゆかなくなり、奥様が以前に経営されていたアパレル会社に買収される約束をされていたのです。しかし去年の夏、奥様のアパレル会社は倒産しました。フェルナンド氏はその原因がミツルギ氏にあると逆恨みをし、攻撃するに至ったのです』

 エミリアとフェルナンドの繋がり、そしてすべての原因が自分にあると知った佑は、深い溜め息をついた。

 言わずもがな、エミリアの会社を潰したのは佑だ。

 去年の八月に香澄を誘拐され、どうしても許す事ができなかった佑は、あらゆるツテ、手段を使ってメイヤー家の名誉、保険会社ごと、エミリアを潰した。
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