【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第二十三部・幸せへ 編

マティアスの実家

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『マティアスは経営者じゃないし、今後Chief Everyで秘書として働くと言っていたわね。でも彼が多くのお金を持っているのは事実だし、私たちや佑と深い関わりを持っているのも事実。……もしかしたら、一般常識では対処しきれない問題が発生する場合もあるわ。そういう時、頼れる先を作っておくべきだと思うの』

『……そうですね。……では、いつか困った時は宜しくお願いいたします』

 頭を下げると、節子は満足げに微笑んだ。





 二人への挨拶が済んだ翌日、麻衣はマティアスの父ドミニクと、そのパートナーであるマリーに会いに行った。

 二人の住まいはブルーメンブラットヴィル内でもレトロな家並みが並ぶ区域の、一軒家だ。

『わぁ……』

 おとぎ話に出てきそうな三角屋根の家を見て、麻衣は密かにテンションを上げる。

 記念に写真を撮りたいと思ったが、人様の家を撮影するのは失礼なので我慢しておいた。

 日本で考えてみても、京都のように伝統的な家が並ぶ街があったとしても、実際にそこに住む人から考えてみれば、自分たちの家をパシャパシャ撮られるのは嫌に決まっている。

『Ich bin wieder da(ただいま)』

(イッヒビンビーダーダー?)

 ドイツ語を理解していない麻衣は、耳をかすった言葉を聞いて心の中で首を傾げる。

 英語ですらまともに話せないのに、ドイツ人と結婚するのは如何なものかと自分でも思う。

 しかしこうやって彼の関係者とたまに会う事を思うと、日常会話ぐらいはできるようになりたいと思い、ドイツに着いたあと、聞こえてくる言葉に耳を澄ませている。

 ドキドキして日本から持ってきた日持ちするお菓子を手にしていると、奥からマティアスに似た雰囲気の、背の高い中年男性と優しげな女性が現れた。

『Willkommen zuruck !(おかえり!)』

 マティアスの父とおぼしき男性は笑顔になり、息子を抱き締めて背中を叩く。

 ポーッとしていた麻衣は、おずおずと暗記した挨拶を口にした。

『ハロー、グーテンターク(こんにちは)。イッヒ ハイセ マイ・イワモト(私の名前は岩本麻衣です)。フロイト ミッヒ ズィー ケネンツーレァネン(お会いできて嬉しいです)』

 とにかく、相手と同じ言葉を話すのが重要だと思い、ネイティブが聞けばたどたどしい発音だろうが気にせず挨拶をしてみた。

 すると二人はニコッと笑い、握手の手を差しだしてきた。

『あなたがマイさんですね? 私はドミニクです』

 ドミニクは、マティアスほどではないものの、かなり流暢な日本語で挨拶をしてくれた。

『は……っ、話せるんですね?』

 驚いて握手していると、彼はチャーミングに笑う。

『フラウ・セツコがいる街ですからね』

 その言葉を聞き、この街で節子がどれだけの影響力を持っているのか分かった気がした。

(そういえば、クラウザー家の人たちのお陰で、子供たちが無償で日本語教室に通えているって言ってたっけ)

 次にマリーが麻衣の手を握り、ニコニコして挨拶する。

『私はマリーです。よろしく』

 こちらはドミニクほど流暢ではないが、それでも日本語に触れているのはありがたかった。

『こちら、私の故郷の札幌の銘菓です。良かったらお召し上がりください』

 麻衣が手土産を差しだすと、二人は喜んで受け取ってくれた。





 家は外観を見ても窓が多いと感じていたが、中に入ってみると本当に光溢れる……という感じだ。

『マティアス、珍しいだろうから、家を案内してあげて。私はコーヒーを用意してる』

 ドミニクは麻衣が分かりやすいように日本語で話してくれ、その気持ちが嬉しい。

『うちは基本的な作りをしているから、大体他の家も似た間取りだと思っていい』

 マティアスはそう言い、家の中を案内してくれた。

 玄関のすぐ横は物入れや手洗いになっていて、反対側は書斎になっている事が多いそうだ。

 奥行きのある玄関ホールの突き当たりは、三方向を窓に囲まれたダイニングテラスになっていて、そこから外のテラスが見え、リビングも窓に囲まれてとても明るい。

 日本ではカウンターキッチンが好まれる傾向があるが、ドイツではセミクローズドキッチンで、見えないところで料理を作るタイプが多いそうだ。

 その奥には家事室と呼ばれる空間があり、家事をする場所と寛ぐ場所とを明確に分けている印象があった。

 玄関ホールの上は吹き抜けになっていて、階段を上がると中央の廊下を挟んで左右に部屋が分かれ、夫婦の寝室と子供部屋があり、その奥に続き部屋としてクローゼットやバストイレがあるのだそうだ。
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