【R-18】死神元帥はただ一人のために策謀する

臣桜

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初夜1 ☆

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「……ありがとう。君に受け入れられてホッとした」

 残った右目を細め、今度はギルバートがシャーロットの両頬を包む。

「ギルさまの手……、大きいです。わたしをすっぽり包んでしまいそう」

「君を守る夫だからな」

 そう言ってギルバートは、スリスリとシャーロットの頬を撫でた。やがて長い指が彼女の顎を上向かせる。

「あ……」

 キスの予感を感じたシャーロットは、赤面しながら目を閉じた。

 そしてシャーロットの唇を、ギルバートが優しく奪う。

(やわらかい)

 唇が合わさった瞬間、シャーロットはまず驚いた。

 ギルバートはその外見から、クールで筋骨隆々という印象しかない。それなのに彼の唇はマシュマロのように柔らかいのは意外だった。

「ん……」

 柔らかな唇が押しつけられたあと、はむ、とシャーロットの唇が食まれる。

「んっ」

 そんな訳はないのに「食べられてしまう」と思ったシャーロットは、ほんの少し身を引いた。

「――私を拒むな」

 少しだけ唇を離したギルバートは、低く囁いた。

「拒んでな……っ、ぁ」

 口を大きく開いたギルバートは、今度はシャーロットの首筋に唇をつける。そのあと強く吸いながら、シャーロットの首筋の匂いをスンスンと嗅ぎ出した。

「えっ? あ、やっ」

 匂いを嗅がれるというのは、存外恥ずかしい。

 恥じらって身をよじらせるシャーロットを、ギルバートはそのまま抱きすくめて押し倒した。

「きゃっ」

 プラチナブロンドが広がり、マットレスがたわんだ。同時にジャスミンの花が弾み、匂い立つ。

「出会った時から感じていたが、君はとてもいい香りがする」

「そ、そうですか? お花がまかれてあるから……それかも……」

「いや、君の香りだ。花の香りに似ていて、少し甘くて……。――男を堕落させる香りだ」

 褒め言葉が続いたあとに甘い毒のような言葉が続き、シャーロットは思わずゾクッとする。

「そんな……」

 男性など知らないのに――。

 そう思って抗議の意味も込めて花婿を見上げれば、隻眼がある。

 夜空に煌々と輝く満月のような、金色の瞳。

 片方だけの目に見つめられては、シャーロットもギルバートの右目を見つめ返さざるを得ない。

「君は……、いけない人だ。私をこんなにも燃え立たせる」

 ガウンのベルトが緩められ、ハラッとギルバートの胸板が露出された。

 その肌には、彼を軍人たらしめる無数の傷が刻まれている。古くなって色が薄くなっているものから、割と近年ついたものらしくまだ色も濃く腫れ上がっているものまで――。

 それを見てシャーロットは思わず眉根を寄せた。

「痛く……ないのですか?」

「傷は縫って塞がっているから大丈夫だ。……君は夫の体がこういう風に醜いのは、嫌か?」

 また、ギルバートはそれとなくシャーロットを気遣ってくれる。

 そういう気遣いをされると、心の中にホゥッと温かな光が灯ったような気持ちになった。

「いいえ。ギルさまがこの国を思われて働かれた証ですもの」

 そう言って微笑むと、ギルバートも安心したように目を細めた。

 シャーロットの上に馬乗りになったまま、ギルバートはじっと彼女を見つめてゆっくりとガウンを完全に脱いでしまう。

「あの……」

 シャーロットは男性の肌など、見たことがない。

 精悍な顔の下、いつもは襟に隠されている首は太く逞しい。鎖骨の周辺もしっかりとしていて、自分の体に同じ骨があると思えない。

 張り出した胸板は厚い。その下に続く腹部への陰影は、絵画に出てくる軍神を彷彿とさせる。

 腹筋と腰骨から下のラインが、やけになまめかしく――。

 おまけに数々の傷跡は、彼が歴戦の勇士であり生身の男性だということを物語っている。

(いけないわ。こんなにジロジロ見たら、はしたない)

 つい見とれてしまったが、思い出したようにシャーロットは視線をずらす。

「もっと舐めまわすように見てもいいんだぞ?」

「そっ……、そんなことしません……」

 消え入りそうな声で反論し、シャーロットは両手で顔を覆う。けれどどうしても好奇心を隠しきれない目が、指の間からチラチラと夫を盗み見した。

「私は君の体に釘付けだがな」

 トン、と鎖骨の中央に置かれた指先が、ゆっくりと胸の谷間を下がる。そこからツ……と指はまるい膨らみをのぼり、胸の先端にある柔らかな蕾を押さえた。

「あ……っ」

 まだ柔らかな蕾は、ギルバートの指に押さえられてゆっくりと勃ち上がってゆく。

「指の腹に感じる。……君の乳首がいやらしく勃ちあがっているのが……」

「や……」

「私の指に感じているのか?」

 クリッと指の腹で乳首をこすると、硬くなった蕾が絹のネグリジェをプクリと下から持ち上げる。

「は……恥ずかしいっ、……ですっ」

 そのまま指の横でコスコスとこすられ、シャーロットの乳首はさらにしこり立ってゆく。

「どんな風に恥ずかしいんだ?」

 隻眼で見下ろしたまま、ギルバートはゆっくりとシャーロットを追い詰めてゆく。

「そ……その。……ぁっ。ギ、ギルさまのようなすてきな方に見られながら……、ち、恥部を弄られるのは……っ」

「……へぇ? 私は『すてきな方』なのか」

 あまり興味がなさそうにギルバートは言い、今度は反対の胸の乳首を弄り出す。

「すてきですよ? 男性らしいですし、お顔だって格好いいです。体だって……、その。た、逞しくて……すてきです」

 潤んだ目で見上げると、言葉の通り自分の夫は美しいと思う。

「ギルさまが女性から恐れられていたというの……。こう言ってはとても失礼ですが、わたしは結果的に嬉しかったです。あなたのようなすてきな方を、こうして独り占めできるようになったんですから……」

 うっとりとした目で夫を見ると、彼は意外そうな顔をしていた。

「君は……本当に私を恐れていないのか?」

 長い指がシャーロットの顔の輪郭をたどり、確認するように唇に触れる。

「恐ろしい方だ……という『噂』は耳にしたことがあります。同時にギルさまを英雄と呼ぶ『民の声』も聞きます。けれど『わたし』の目の前にいる旦那さまは、ご自身が妻を欲する気持ちより、わたしのことを考えてくださる優しい方です」

「…………」

 シャーロットの回答を聞き、ギルバートは少し考えてから、その指でネグリジェのボタンを外してゆく。
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