タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

29,ガインさん再び

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  キマイラ討伐戦から一ヶ月。私たちはガインさんの武器屋に向かって歩いてた。目的は私のナイフの修理。レベッカに教わりながら自分で手入れしてだましだまし使ってたけど、さすがに限界がきた。キマイラと戦った時からおかしな感じはしてたから、もっと早く行けばよかったなあ。

「しかし、あのガインさんのところと縁があるなんてね」
「あのガインさん?」

  ガインさんって、あの、とかつけられるくらい有名だったのか。確かにテンションというか、なんか独特な人だったけど普通にいい人だったからなあ。

「ガインさんはとんでもなく腕のいい鍛冶師なんだけど、自分で売るまでやる珍しい人なんだ。しかも自分が気に入った人以外は追い返すって有名なんだ」
「え、じゃあなんで私これ買えたの?  このベルトもおまけだよ?」
「おまけまでもらったの!?  一体何をしたのアンジュは……」

  若干引き気味のレベッカ。失礼な、私はただ怒鳴られてもめげずにいっただけだよ。……あれ、それが理由か?  いや、さすがにそれだけじゃ簡単すぎない?

「アンジュ、どこまで行くの?」
「うえっ!?」

  危ない危ない、いつの間にか通り過ぎてた。よし、用件を短く元気よく。少し緊張するけど、ナイフが刃こぼれとかしたら来いって言ってたし、大丈夫でしょ。

「すいません!  ナイフの修理お願いします!」
「お、お邪魔します」
「邪魔すんなら……!  ん?  なんだ、嬢ちゃんか。見せてみろ」

  お邪魔しますはやっぱり禁句なのかな。私がいたからか追い出すのは途中でやめたみたいだけど。

「二本ともお願いします」

  ベルトごとカウンターに置くと、ガインさんはナイフを二本とも外して代わりにダガーをカウンターに置いた。

「日が暮れる頃にまた来い。そいつは護身用の貸し出しだ」
「ありがとうございます。お金は後でですか?」
「おう、どのくらいかかるかは見てからだ」
「わかりました、よろしくお願いします。それじゃあ日暮れ頃にまた。レベッカ、行くよ?」

  剣に見蕩れてるレベッカを引っ張ってお店を出る。あのままだと売り物の剣を触っちゃいそうだったし。多分ガインさんは許可なく武器を触られるの嫌だろうからね。

「すごいな、あんなに見事な剣がいくつもあるなんて……」
「そんなに凄いんだ?」

  正直私は武器の善し悪しなんてわからないからなあ。ピンと来ない。

「簡単なエンチャントがされた鋳造式の物よりは高いな」
「えーと……?」

  エンチャントは多分武器に何かしらの追加効果みたいなのつけるやつだよね。鋳造式……?

「あー、まあ剣の作り方の一つだよ。量産出来るけど質は良くも悪くもない感じ。エンチャントすると話は別だけどね」
「ふーん」
「随分と軽い反応だね……」
「私剣とかわからないし」

  二人でぶらぶらと歩いていると、ふと路地裏が気になった。

「どうかした?」
「いや、ちょっとだけそこが気になっただけだから大丈夫」
「……しばらく暇だし、行ってみようか」

  そのまま路地裏に入っていくレベッカ。慌てて後を追いかける。いくら暇だからってこんなとこ入らなくても……。あんまりいい思い出じゃない……いや、だいぶ笑いこらえてたな。

「アンジュ、あれ何?」
「……毛玉?」

  レベッカの指さす先には赤と白のまだら模様の毛玉がいた。
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