タロットチートで生き残る!…ことが出来るかなあ

新和浜 優貴

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本編

30,スクイレル・ラフィー

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  なんだろう、あの毛玉。薄暗い路地裏なのにきらきら光ってるように見える。それに、少し動いてる……?

「とりあえず近づいてみよう」

  レベッカの提案に従って毛玉に近づいてく。すると毛玉が、ぴょん、と跳ねて私たちと距離をとった。動くのかあの毛玉。生き物……なんだよね?  動くってことは。

「レベッカ、これって近づいて大丈夫なのかな」
「わからない、あんな生き物見たことない。でも魔物かもしれないから問題が起きる前に捕まえなきゃいけないとは思う」

  やっぱりそうだよね。危なくはなさそうだけど、街中に魔物がいるのは落ち着かないだろうし。
  でもなんかあの毛玉ぷるぷる動いてるというか、なんだか震えてるような……。

「それじゃあ、私が行くよ。アンジュは待ってて」

  ゆっくりとレベッカが毛玉に近づいてく。レベッカが毛玉に飛びつくと、毛玉はレベッカの頭を踏みつけて私の方に飛んでくる。

「わぷっ」

  避けることもキャッチすることも出来なくて、顔に飛びつかれる。ふわふわして気持ちいいけどなんか濡れてるし、鉄臭い……ってもしかして!

悪魔デビル!  教授!」
「了解だレディ」

  顔から毛玉をはがして教授を呼ぶ。教授が毛玉に触れると、赤色がひいて行って綺麗な白になった。

「アンジュ大丈夫?」
「うん、私は。この子が怪我してたみたいだったから教授を呼んだの」

  毛玉は少し震えたあと、ぴょん、と跳ねるとリスの姿になった。白の体に灰色の縞模様が入ってすごい綺麗。まだ私を警戒してるみたいで、手の上で唸ってる。

「こいつは……スクイレル・フラフィー?  なんでこんなところに?」

  レベッカが首をかしげる。この子はスクイレル・ラフィーっていうんだ。レベッカの反応的にこの近くにはいないはずなのかな?
  ……うん?  この子、首輪がついてる。飼われてるのかな。それにしてはなんか禍々しいというか、嫌な雰囲気のする首輪だなあ。

「どうも、お嬢さんがた。私の大切な売り物を捕まえてくれてありがとう」

  いつの間にか路地裏をふさぐように男の人が三人、私の後ろに立ってた。スーツみたいなジャケットを着た細身の狐顔の男。その右にはスキンヘッドの大男。逆側は真っ黒な布で口元を隠した、腰に剣を二本下げた長髪の男。三人とも明らかに危ない人だ。

「そのスクイレル・ラフィーは私の物だ。渡しなさい」

  狐顔の男が手を伸ばしてくる。スクイレル・ラフィーが震えてる。この子の怪我はこの人たちの仕業か。渡したらまたあんな風に傷つけられるよね。

「渡さないって言ったらどうします?」

  私が言うとレベッカが剣に手を添える。向こうの長髪の人も剣に手をのせる。

「……やれ」

  狐顔の人がつぶやくと同時に、長髪の人が剣を抜き放って突っ込んでくる。レベッカも剣を抜いて応戦する。
  レベッカがその人の相手ってことは……。やっぱり私は大男相手ですよね!

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