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本編
43,不穏だなあ
しおりを挟むまんまじゃん! まんま雷門じゃん! ファンタジーどこ行ったのさ!
「この門は中央街を作る時に作られて、帝国の初代皇帝の得意としていた雷魔法にちなんだらしい。門に吊り下げられていたのは初代の故郷のランプで、提灯というんだそうだ。書いてある文字も初代の故郷のものらしいよ」
故郷のものって……、もしかしなくても初代皇帝って日本人?
私たちの前にも日本人がこの世界に来てたの?
「この国っていつごろ、どうやってできたの?」
「大体千年くらい前かな? 初代皇帝は勇者だったんだけど、その時代の魔王を降して、人と亜人が共存するこの国を作り上げたんだ。その時代の魔王はかなりの愚か者でね。色んなところに戦争を仕掛けては相手の国と自分の国の民を疲弊させてたらしい。それを止めたのが勇者なんだ」
千年前の勇者!? それって平安時代とかその辺だよね? その時代に雷門ってあるわけないよね? タイムスリップでもしてるわけ?
だめだ、私の頭じゃ追いつかなくなったきた。今度キオウ様に相談してみよう。リュウセン様は会えたらで。二人とも神様だから多分勇者についても知ってるだろうし。
……あれ、そういえば魔王って昔にもいたの? 復活したとか新しい魔王が出てきたってことなのかな? というか、戦争中って言ってた気がするけど、全然そんな空気ないよね。国民は知らない、なんてことはないと思うんだけど……。
「レベッカ、今って魔王と王国って戦争中?」
「戦争? 王国が魔王軍と? いや、そんな話は聞いてないけど……」
「ギルさんたちは? なにか聞いたりとかしました?」
「俺も聞いたことはねえな」
「私も。アンジュはどこでそんな話を?」
「王宮にいたときにちょっとね」
うん、怪しい。というかほとんどアウトだよね。戦争を普通の人には隠してるのか、それとも本当は戦争なんて起きてないのか。どっちかはわからないけど、嘘をついたってことは間違いなく何か企んでるよね。
うーん、なんとかして相模さんたちにこれを伝えられないかな。難しいだろうなあ。王国に行くのにも時間がかかるし、王宮に入り込むことなんて出来ないし。もっと早く気づけばよかった。それならやりようはあったんだろうけど……。
「そんな話を聞いていたなら、帝国に来たのは正解だったかもね」
「そうだな。冒険者は戦争に直接は駆り出されないが、魔物の討伐って体で依頼が出されたりするからな。面倒ごとはごめんだ」
あ、冒険者は傭兵みたいに扱われることはないんだ。でも抜け道みたいな方法を使ってくるからあんまり変わらないのか。
「帝国が巻き込まれたりはしないの?」
「帝国は王国と同盟国だけど、戦争はその国の問題だからね。魔王軍が帝国にちょっかい出して来ない限り戦争に関わることは無いよ。第一、魔王が治めてるグリサリス魔導王国は中立国だから戦争なんて仕掛けられた時しか起きないよ」
魔王の国は中立国……? それってつまり自分から戦争を起こすことも、他の国の戦争に介入することもないって事だよね? というか、魔王って普通に役職名なのか。王様とかと同じ。
もしかして、王国は自分から戦争ふっかけたけど、負けそうだから勇者を呼んでなんとかしてもらおうって考え? なんて国だ。いくらなんでも酷すぎないかな。
「きな臭い話だけど、国同士の戦いに私たちが出来ることは何も無い。木々の調べ亭も見つけたし、とりあえず宿をとるよ」
「あ、うん」
閉じ込められてたまるかって、王国を飛び出してきたけど、どうにかして相模さんたちに連絡を取らなきゃ。人を救うならともかく、利用なんてさせてたまるか。
同じ世界の人ってことくらいしか接点はないけど、異世界だったらそれでも十分な縁だ。
早く方法を考えないと。
10
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