サマーナイトパーティ

言ノ葉征

文字の大きさ
13 / 26

第13話 鶴の一声

しおりを挟む
「それで、俺たちは何から手を付けたらいいんですか?」
小吉の質問、もとい詰問が続く。

「そうだねえ、闇雲に探してもしょうがないからある程度の目星をつけて探した方がいいだろうねえ」賀茂が顔色を変えずに答える。

「でも、目星をつけるにしても手がかりが少ないですよ」瀬奈が答える。

「そうね、せめて写真でもあれば見つけやさすが段違いなのに」美鈴さんが腕を組みながら言う。

 こういう場合、何から調査していけばいのかさっぱりわからないが、賀茂という男の持っている情報がこれだけとは思えなかった。本当はもっと核心的な情報を持っているのではないだろうか。しかしそれを口にせずに知らないフリをしている。もしかしたら僕たちを試しているのかもしれない。だとしたら、賀茂の先ほどの少しの情報に何かしらのヒントが隠れているのではないだろうか。
 大学と名前はわかっている。逆にそれ以上の情報はない。それはもしかしたら僕たち同じ学生にしかわからない情報、というより知りうることができない情報なのではないだろうか。しかし、僕の立案にこの人たちが乗ってくれるだろうか。もしかしたら的外れなことを言ってしまうかもしれない。その結果、無能と判断されてしまったら僕はここにいることができなくなってしまうのではないだろうか。
 僕はふと隣にいる小吉を見た。小吉は毅然とした表情で僕を見返してくれた。何も言わなかったが小吉のその表情を見たときに迷いが消えた。

「情報課に何とかして聞き出せないですかね」僕は恐る恐る口を開く。

「情報課?」美鈴さんが返してくれた。

「えぇ、僕たちの大学には学内のあらゆる情報を取り扱っている情報課というものがあります。落とし物や各種手続きはそこでできます。また、検索用パソコンなども完備されているので何かしらの情報がわかるかもしれません。」

「ほう、なるほど」賀茂が少しニヤリとしながら言った。

「確かに、そこにいけば何かわかるかもしれないわね」瀬奈が続いて言う。

「よし、まずはその線で進めてみよう」小吉も同意してくれた。

 よかった。とりあえず的外れな発言をしたわけではないようだ。しかしやはりこの賀茂という男、不気味だ。何を考えているのかわからない。僕の若干20年の歴史でこんなタイプの人間に出会ったのは初めてだ。

「でもいくら情報課とは言え、いち学生の個人情報は流石に教えてくれないんじゃないかしら」瀬奈が思い出したように付け加える。

「それなら、俺にいい考えがあるよ」小吉がいつもの良からぬことを考えているような顔でそう言った。こういう時の小吉は少しワクワクする。僕は、何か今までとは違う、刺激的なことが起きる予感がしていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...