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3章 初城祝いの日
王城にてニーバンの正体
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王城の二の丸に両翼の大きな建物がある。神話に伝えられる東洋風だ。建物は高さ十メートルの瓦屋根、照明は太陽光を頼りにしていたから、壁は二メートルぐらいの高さまでしかない。両翼の役目は、結婚式の両家が別々に控えるような使い方だ。日影は軒先まで長く伸びる瓦屋根のお陰。雨や風を防ぐためであり、台風の時のために、鎧戸も準備されていた。
本堂は儀式会場になり、影になるところで椅子に座り集まる令嬢たち。
「本日はお日柄も良く」
アカリーヌは社交辞令的な挨拶をした。
「本日はお日柄も良く」
返す言葉を後に本堂へ続く三段の階段へ近づく。傍に折り畳み椅子があり、手にした。階段の正面に座るのが伯爵家令嬢の6人で円陣をつくる。色とりどりのスカーフが風になびく。右手の片隅に男爵令嬢が4人座っていて、軽く会釈して右側に座った。みんな、普段着よりはお洒落な服を着る。襞が多く、襟元や胸にも赤い刺繍が描かれたドレスで、裾を広げて佇む姿は貴族感があらわれていた。
反対方向には領地持ち子爵家令嬢たち12人。思い切り黄色を使った飾りに、原色のドレス。悪目立ちする服で、6人づつかたまり座る。一家族4人の参加だが、子爵家では大勢でかけつけるときもある。
男爵家令嬢たちで品評会が始まるのは恒例になっている。
「子爵家の方々は相変わらず派手ね」
17歳のキレイナが珍しそうにいう。去年は初登城でセレモニーへ参加していた。
「きょうは人数も多いけど、何が目当て?」
21歳のカトリーネは、判ってるという顔。狙いは初登城の若い男だと、意見は一致している。一応は爵位が上の家柄だから羨ましさがあり、こき下ろしたいのだ。
(そういうことでは考えも似てるけどねー。私は庶民と話すのが好きだし)
ほかの男爵家令嬢は貴族の意識も強く、どこか友達にはなれない余所余所しさも感じている。
足音が響き振り返ると、壁側の通路を歩き近づく女性。淡いワインカラーのドレスに白いスカーフを巻く。茶髪が広がり揺れた。アマクマ侯爵家の令嬢サナエだ。
「本日はお日柄も良く」
挨拶を交わし合うと、優雅に階段を下る。堀の深い顔に長いまつ毛。女王の雰囲気さえかもしだすが、いたって陽気だ。折り畳み椅子を取ると伯爵家令嬢たちへ近づく。
「もうすぐ昼食が始まるようや、メイドたちが準備しとる。牛肉、ステーキだよ、久しぶりやねん」
「式で変わったことがございませんでしたか?」
6人の令嬢たちが、立ち上がり、サナエの席を準備するため間隔を開ける。自然と話題の中心になるのだ。
「今回の初登城は男が豊富や。喜ぶものがいるやんか」
子爵家の令嬢たちへ目を向けて笑顔を作る。みんなと隔てなく話す女性だ。
それより、アカリーヌは左端に座るハルナに軽く会釈した。きょうは参加しているようだ。
「姉様と交代ですの」
立って近づきながら、声をかける。何気に何人かは、座ているサナエを囲む。王家の情報も聞けるかもしれない。ハルナとアカリーヌは話がしたい。
「伯爵家は4人の規則を守るでなー。姉も婚約まじからしゅうて、デートやろうなー」
「いつも弟が迷惑をかけております。あまり、相手なさらずにも」
「かまわんよってなー。きょうは楽しみでもあるんょ」
(また、なにかちょっかいをだすつもりかなー)
アカリーヌは姉として考えるが、これは普通に恋愛の兆候かもしれない。
「それで。女優の肌は綺麗だし、あれ以上に良くなるかしら」
「それなー。だから私は参加を遠慮しよる。自分のペースが一番。勝ち負けにあまりこだわらなくていいでのー」
「千マニーは大きいからねー。つい、勝負しちゃった」
やはり、金は人を変えるのか。純粋に美容術を競いたい気持ちもあるが、これで稼げるならちょろいと思う。
「何がテーマかのー。イザベル様とシラベル様は課題を秘密にしよるでなー」
「その課題に気付かないと、勝てないの?」
「あとは、女王様の判断やのー。ひいきのお客様を増やすと思えば、良い巡り合いにはなりよるしなー」
コマチのように来てくれる人が増えるならありがたいことだ。
「ビンタ美容も、一応は人気があったのに、何故ケイヒキュウシュウ美容術に変えたのでしょうか」
「作戦やのー。いつもビンタでは、ほんとに腫れてしもうでなー」
相手も考えているようだ。思わぬ落とし穴があるかもしれない。
華やぐ声に、アカリーヌとハルナはサナエの話へ耳を傾ける。
「公爵家のニートや。きょうは参加しちょる。次男やが、王家の血筋やんか」
縁を持ちたいものは多い。ただ、顔を知る人は少ない。ここに集まる若い令嬢は、様々な思惑を持っているようだ。
「爵位が子爵か無爵になるのでございましょう」
「王家と縁を持つのは、わずらわしさもございましょう」
いずれにしても、相手次第との考えらしい。仕事をしてないことが、謎の部分として興味を持ってはいる。
「正直に言った方が勝ちやなー」
ハルナが牽制し合う令嬢たちに提案したが、正直に言えないのは女心。家同士で縁談を決めることも多いから、みんなが、なにか伝手を考えているかもしれない。
「王家とは良い距離感だし。結婚相手としては悪くないと思う」
アカリーヌの考えが、みんなの本音でもあろう。ただ、肩が凝る、と思う。ニーバンみたいに庶民的なほうが気持ちは楽だ。
女子会が賑やかだが、ざわめきが聞こえる。大声で喚きながら近づく燕尾服の男性。
「大衆の代表として来た。爵位あるものが大衆に手を上げるか!」
ステッキを振り回しながら、制止しようとする若い令息たちを追っ払う仕草。門番も、大衆の代表、ということばで通過させたのだろう。いまは平穏な時代だ。
令嬢たちは声のほうへ振り返り立ち上がると、椅子を取り、ちょっと離れた。サナエが階段の方は開けるように指示する。燕尾服が今にも走りそうだから。
「大衆の不満を聞け! 王様に会わせろ」
(王様なら庶民の意見を聞くと思うけど)
アカリーヌはスカートの裾を上げて、小走りでステッキを振りかざす相手に近づく。
「順序があるでしょ。まず地区長に相談して、陳情書をだしてね。王様はお聞きくださると思う」
「私が屁地区の地区長だ。代表だぞ」
「へっ、地区長。それにしては弁えがないよね」
つい正直に答えた。
「な、なんだと」
燕尾服の男性はステッキを震わせて怒ったようだが、なにかに気付いたようす。
「そのドレスは、たかが男爵家。貴族だからと威張れない身分じゃないか」
「言ったわね」
虚仮にされて黙っていないが、ここは二の丸だと思いだす。二度ほど地面を蹴って我慢した。
「貴族は庶民に手は出せんだろう。あまり威張らないほうがいい」
燕尾服は高々に笑う。
「だれがやねん」
サナエが、ぐいっ、と燕尾服の男へ近づく。
「偉ぶってるんは、あんたはんやろ」
実際にステッキで殴るのは躊躇する男。侯爵家のドレスだと気づきもしたのだろう。
「私はこれでも、子爵の孫。イーバヤだ。庶民とは格がちがう」
(あらあら、自分で大衆より偉いと宣言しちゃったよ)
孫なら、とっくに爵位と関係もない。
「それで、不満ってなにかしら?」
アカリーヌは、何が彼をそうさせたか知りたい。
「宴会をして、うまいものを食べているらしいな。こっちにも寄こせ」
ちょっと幼稚だろう、みんなが噴き出して笑う。サナエが真面目な表情を無理してつくっていう。
「各地区へ牛一頭分の肉が配給されたはずや。いまは屁地区でも、成人のお祝いパーティーをしているはずやんけ」
「う、うるさい。私も食べたい。要求に従わないと大衆が付いているぞ」
サナエは大きくうなずく。
「そうか。革命やな。侯爵家が手伝ってやろうやんか。庶民が立ち上がるなら手を貸すでー」
(いやいやいや。二の丸本堂のまえで言う言葉ではないはず)
燕尾服男も、そこまでは考えていないようだ。
「庶民の意見を聞け」
「だから革命やろ」
サナエは半ば呆れて笑うふう。そこで階段の上から声がした。
「ぶっそうな話だな」
貴族の服を着る男。一個だけだが、王国へ貢献した証の金色の勲章を付ける。
「ニーバン!」
聞き覚えのある声にアカリーヌは思わず呟くが、ニーバンが飛び降りて男の前へ走る。
「イーバヤだな。地区長は辞めさせられただろう。身内びいきで、お下がりものを独り占めしたんだよな」
「なにを。わたしは由緒ある」
「うるさい!」
ニーバンは相手のステッキをもぎ取る。
「この男は、大衆の敵だ。かまわない連れ出せ」
令息たちは、大衆へ反感を持たれないと判断したらしい。ここで大きく出るのはヨシキ。
「令嬢たちをビビらせおったな。私が許さん」
先頭になりイーバヤを捕まえる。
(また格好つけたね。正義感は強いけど、喧嘩は弱い)
ヨシキはトーナリーノ伯爵家の令息。
(女好きだけど正直。竜の目の涙を飲ませても同じことを喋るし、ほんと正直な男)
二股かけていると公然といいながら口説いて来た。それでアカリーヌは蹴飛ばした。
(口が上手ければ騙されてたわね。ま、人を騙す性格ではないんだよね)
領地が隣で幼いころから知っているし、父が婚約の話を持ち出してきたが、女癖が悪い、と母が取り下げた経緯もある。
令息たちは、門番へ連絡だ、といいながら、燕尾服男を引っ張っていく。
(話の流れからすると、ニーバンが公爵家の次男になるのかしら)
王家の関係者以外は、ここへ集まっている。王様の弟、アッチスグ公爵の息子だと思う。爵位を気にしないアカリーヌでも、ため口で話すには躊躇われる立場だ。
(普通でいいて行ってたしさ。でも、礼儀はあるよね)
公爵家の令息で間違いないと思い、これからどのように話そうか迷う。
本堂は儀式会場になり、影になるところで椅子に座り集まる令嬢たち。
「本日はお日柄も良く」
アカリーヌは社交辞令的な挨拶をした。
「本日はお日柄も良く」
返す言葉を後に本堂へ続く三段の階段へ近づく。傍に折り畳み椅子があり、手にした。階段の正面に座るのが伯爵家令嬢の6人で円陣をつくる。色とりどりのスカーフが風になびく。右手の片隅に男爵令嬢が4人座っていて、軽く会釈して右側に座った。みんな、普段着よりはお洒落な服を着る。襞が多く、襟元や胸にも赤い刺繍が描かれたドレスで、裾を広げて佇む姿は貴族感があらわれていた。
反対方向には領地持ち子爵家令嬢たち12人。思い切り黄色を使った飾りに、原色のドレス。悪目立ちする服で、6人づつかたまり座る。一家族4人の参加だが、子爵家では大勢でかけつけるときもある。
男爵家令嬢たちで品評会が始まるのは恒例になっている。
「子爵家の方々は相変わらず派手ね」
17歳のキレイナが珍しそうにいう。去年は初登城でセレモニーへ参加していた。
「きょうは人数も多いけど、何が目当て?」
21歳のカトリーネは、判ってるという顔。狙いは初登城の若い男だと、意見は一致している。一応は爵位が上の家柄だから羨ましさがあり、こき下ろしたいのだ。
(そういうことでは考えも似てるけどねー。私は庶民と話すのが好きだし)
ほかの男爵家令嬢は貴族の意識も強く、どこか友達にはなれない余所余所しさも感じている。
足音が響き振り返ると、壁側の通路を歩き近づく女性。淡いワインカラーのドレスに白いスカーフを巻く。茶髪が広がり揺れた。アマクマ侯爵家の令嬢サナエだ。
「本日はお日柄も良く」
挨拶を交わし合うと、優雅に階段を下る。堀の深い顔に長いまつ毛。女王の雰囲気さえかもしだすが、いたって陽気だ。折り畳み椅子を取ると伯爵家令嬢たちへ近づく。
「もうすぐ昼食が始まるようや、メイドたちが準備しとる。牛肉、ステーキだよ、久しぶりやねん」
「式で変わったことがございませんでしたか?」
6人の令嬢たちが、立ち上がり、サナエの席を準備するため間隔を開ける。自然と話題の中心になるのだ。
「今回の初登城は男が豊富や。喜ぶものがいるやんか」
子爵家の令嬢たちへ目を向けて笑顔を作る。みんなと隔てなく話す女性だ。
それより、アカリーヌは左端に座るハルナに軽く会釈した。きょうは参加しているようだ。
「姉様と交代ですの」
立って近づきながら、声をかける。何気に何人かは、座ているサナエを囲む。王家の情報も聞けるかもしれない。ハルナとアカリーヌは話がしたい。
「伯爵家は4人の規則を守るでなー。姉も婚約まじからしゅうて、デートやろうなー」
「いつも弟が迷惑をかけております。あまり、相手なさらずにも」
「かまわんよってなー。きょうは楽しみでもあるんょ」
(また、なにかちょっかいをだすつもりかなー)
アカリーヌは姉として考えるが、これは普通に恋愛の兆候かもしれない。
「それで。女優の肌は綺麗だし、あれ以上に良くなるかしら」
「それなー。だから私は参加を遠慮しよる。自分のペースが一番。勝ち負けにあまりこだわらなくていいでのー」
「千マニーは大きいからねー。つい、勝負しちゃった」
やはり、金は人を変えるのか。純粋に美容術を競いたい気持ちもあるが、これで稼げるならちょろいと思う。
「何がテーマかのー。イザベル様とシラベル様は課題を秘密にしよるでなー」
「その課題に気付かないと、勝てないの?」
「あとは、女王様の判断やのー。ひいきのお客様を増やすと思えば、良い巡り合いにはなりよるしなー」
コマチのように来てくれる人が増えるならありがたいことだ。
「ビンタ美容も、一応は人気があったのに、何故ケイヒキュウシュウ美容術に変えたのでしょうか」
「作戦やのー。いつもビンタでは、ほんとに腫れてしもうでなー」
相手も考えているようだ。思わぬ落とし穴があるかもしれない。
華やぐ声に、アカリーヌとハルナはサナエの話へ耳を傾ける。
「公爵家のニートや。きょうは参加しちょる。次男やが、王家の血筋やんか」
縁を持ちたいものは多い。ただ、顔を知る人は少ない。ここに集まる若い令嬢は、様々な思惑を持っているようだ。
「爵位が子爵か無爵になるのでございましょう」
「王家と縁を持つのは、わずらわしさもございましょう」
いずれにしても、相手次第との考えらしい。仕事をしてないことが、謎の部分として興味を持ってはいる。
「正直に言った方が勝ちやなー」
ハルナが牽制し合う令嬢たちに提案したが、正直に言えないのは女心。家同士で縁談を決めることも多いから、みんなが、なにか伝手を考えているかもしれない。
「王家とは良い距離感だし。結婚相手としては悪くないと思う」
アカリーヌの考えが、みんなの本音でもあろう。ただ、肩が凝る、と思う。ニーバンみたいに庶民的なほうが気持ちは楽だ。
女子会が賑やかだが、ざわめきが聞こえる。大声で喚きながら近づく燕尾服の男性。
「大衆の代表として来た。爵位あるものが大衆に手を上げるか!」
ステッキを振り回しながら、制止しようとする若い令息たちを追っ払う仕草。門番も、大衆の代表、ということばで通過させたのだろう。いまは平穏な時代だ。
令嬢たちは声のほうへ振り返り立ち上がると、椅子を取り、ちょっと離れた。サナエが階段の方は開けるように指示する。燕尾服が今にも走りそうだから。
「大衆の不満を聞け! 王様に会わせろ」
(王様なら庶民の意見を聞くと思うけど)
アカリーヌはスカートの裾を上げて、小走りでステッキを振りかざす相手に近づく。
「順序があるでしょ。まず地区長に相談して、陳情書をだしてね。王様はお聞きくださると思う」
「私が屁地区の地区長だ。代表だぞ」
「へっ、地区長。それにしては弁えがないよね」
つい正直に答えた。
「な、なんだと」
燕尾服の男性はステッキを震わせて怒ったようだが、なにかに気付いたようす。
「そのドレスは、たかが男爵家。貴族だからと威張れない身分じゃないか」
「言ったわね」
虚仮にされて黙っていないが、ここは二の丸だと思いだす。二度ほど地面を蹴って我慢した。
「貴族は庶民に手は出せんだろう。あまり威張らないほうがいい」
燕尾服は高々に笑う。
「だれがやねん」
サナエが、ぐいっ、と燕尾服の男へ近づく。
「偉ぶってるんは、あんたはんやろ」
実際にステッキで殴るのは躊躇する男。侯爵家のドレスだと気づきもしたのだろう。
「私はこれでも、子爵の孫。イーバヤだ。庶民とは格がちがう」
(あらあら、自分で大衆より偉いと宣言しちゃったよ)
孫なら、とっくに爵位と関係もない。
「それで、不満ってなにかしら?」
アカリーヌは、何が彼をそうさせたか知りたい。
「宴会をして、うまいものを食べているらしいな。こっちにも寄こせ」
ちょっと幼稚だろう、みんなが噴き出して笑う。サナエが真面目な表情を無理してつくっていう。
「各地区へ牛一頭分の肉が配給されたはずや。いまは屁地区でも、成人のお祝いパーティーをしているはずやんけ」
「う、うるさい。私も食べたい。要求に従わないと大衆が付いているぞ」
サナエは大きくうなずく。
「そうか。革命やな。侯爵家が手伝ってやろうやんか。庶民が立ち上がるなら手を貸すでー」
(いやいやいや。二の丸本堂のまえで言う言葉ではないはず)
燕尾服男も、そこまでは考えていないようだ。
「庶民の意見を聞け」
「だから革命やろ」
サナエは半ば呆れて笑うふう。そこで階段の上から声がした。
「ぶっそうな話だな」
貴族の服を着る男。一個だけだが、王国へ貢献した証の金色の勲章を付ける。
「ニーバン!」
聞き覚えのある声にアカリーヌは思わず呟くが、ニーバンが飛び降りて男の前へ走る。
「イーバヤだな。地区長は辞めさせられただろう。身内びいきで、お下がりものを独り占めしたんだよな」
「なにを。わたしは由緒ある」
「うるさい!」
ニーバンは相手のステッキをもぎ取る。
「この男は、大衆の敵だ。かまわない連れ出せ」
令息たちは、大衆へ反感を持たれないと判断したらしい。ここで大きく出るのはヨシキ。
「令嬢たちをビビらせおったな。私が許さん」
先頭になりイーバヤを捕まえる。
(また格好つけたね。正義感は強いけど、喧嘩は弱い)
ヨシキはトーナリーノ伯爵家の令息。
(女好きだけど正直。竜の目の涙を飲ませても同じことを喋るし、ほんと正直な男)
二股かけていると公然といいながら口説いて来た。それでアカリーヌは蹴飛ばした。
(口が上手ければ騙されてたわね。ま、人を騙す性格ではないんだよね)
領地が隣で幼いころから知っているし、父が婚約の話を持ち出してきたが、女癖が悪い、と母が取り下げた経緯もある。
令息たちは、門番へ連絡だ、といいながら、燕尾服男を引っ張っていく。
(話の流れからすると、ニーバンが公爵家の次男になるのかしら)
王家の関係者以外は、ここへ集まっている。王様の弟、アッチスグ公爵の息子だと思う。爵位を気にしないアカリーヌでも、ため口で話すには躊躇われる立場だ。
(普通でいいて行ってたしさ。でも、礼儀はあるよね)
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