魔竜を封じる部室にて!!

秋月 銀

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一章

その6 一つ目の不思議

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 俺達は早速行動を開始することにした。と言っても昨日は作戦会議が終わった後、皆で駄弁って帰宅時間になってそれぞれ自宅に戻っただけだったのだが、それは置いておく。


 全ては七不思議を解明する為。そして『永遠の愛』を見つけて、恋人との素晴らしい青春を謳歌する為である。


 というわけで。

 「さっそく七不思議の現場に来てみたわけだが」
 「ただの池ね」
 「ただの池ですね」
 「ただの池じゃんね」
 「ただの池だねー」

 部員達が次々に感想を漏らした。


 日ノ宮学園七不思議、一つ目『池に眠る人魚』

 その不思議を解明すべく、俺達は体育館横にある池に集っていた。

 池の大きさは直径三メートル程の生円の形をしている。池のふちは大小様々な石で敷き詰められており、ぐるりと池全体を取り囲んでいた。長く清掃されていないのか池の水は暗い緑色に濁っており、底を見通す事は出来ない。しかしこれといっておかしな所はない。ただの池にしか見えなかった。

 俺達文芸部は各々好き勝手に池を覗いたり、小石を投げたりしていたが、勿論なんの変化もなかった。暫くしてアメが俺に話かけてきた。

 「シュウの案で順番に解明していくってことだったけど、この一つ目の不思議も相当謎だよね」
 「そもそもがノーヒントだからな。まぁいくらなんでも、この池にジュゴンが住んでいるということはないだろ」
 「その場合、眠る人魚は死んでるジュゴンだったことになるからね」

 あながち何かの墓がこの池の底に存在するという線は否定出来ない。眠るが何を意味しているのか。先程アメが言ったとおり、何らかの死を意味しているのだろうか。

 「それで、もしかして死体漁りの為にそんな物持ってきてたのー?」
 「死体漁り言うな」

 ナツキが不吉なことを言い出したので、そこはしっかり否定しておく。

 今回俺が七不思議解明に当たって持って来た物。それは……

 「また虫取り網なんてどこで見つけてきたんだか……」
 「何を言っているんですかハル。あれは最初から文芸部室の掃除用ロッカーに入ってましたよ」

 そう、虫取り網である!フユカの言ったとおり、文芸部室に何故か人数分の虫取り網が入っていたのでこれ幸いにと持ってきた次第である。

 俺は一人に一つずつ虫取り網を渡していった。そして五人で均等に広がり池を取り囲む。

 「それじゃあ今から池の底漁りを開始する」
 「ちょっとストップ」

 意気揚々と始めようとしたらハルから止められた。

 「なんだよ何か問題発生したか?」
 「問題大アリでしょうよ。何勝手に池漁りを始めようとしてんのよ。流石にこういうのは学校側の許可とか━━━━」
 「それは私が取っといたよー。担任の先生と、後一応校長先生にもー」

 流石我らが頼れる部長ナツキ。まぁ池漁りの可能性もあると思ったので、俺が頼んでいただけなのだが。俺は面倒くさかったのでこういう仕事は基本人に丸投げしている。

 思わぬ方向から入る俺へのフォローに対し、ハルはぐっと言葉を詰まらせた。ハルが俺に対して怒れなくなるのは珍しい。せっかくだからもっと煽っとくか。

 「ハハハ!このくらいお前に言われなくたってわかってんだよ!許可くらい最初から取っとくだろバーカバーカ!」
 「アンタ池に突き飛ばすわよ!?」
 「許可取ったの私なんだけどー」

 下らない喧嘩が起きたせいで、池漁りの開始が少々遅れた。
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