5 / 53
序章
その5 俺達の本当の目的
しおりを挟む
「それで?だいぶ考えていたみたいだけど何かいい案思いついたの?」
ハルの呼びかけで、俺は思考を一時中断した。というより、いい案なんて思いついてすらいなかったので中断したのはどうでもいい考えだったのだが。と、まぁ意識を部室の皆に戻すと、全員が全員期待してない目で俺を見ていた。期待されても困るが、少しくらいは期待しろよ……。悲しくなったのでゴホンと咳払いで気持ちの切り替え。
そもそも論で考えた結果、一つの案しか俺は浮かんでいなかった。
「やっぱり、一つ目の不思議から解明していくしかないんじゃないか?3ヶ月、俺達なりにも必死にこの部室の不思議に向き合ってたわけだが一向に成果がない」
「真面目………?あの中二ごっこが……?」
いらん横槍を無視して俺は言葉を続けた。
「文芸部の七不思議は三つ目だ。セオリー通りに一つ目から順番に解明していけば自ずと『文芸部室に封印された魔竜』の解明も出来ると思う」
「まぁ一理ありですね」
「いいんじゃない。僕は賛成」
「シュウにしてはまともな案だったわね」
「なるほどー。じゃ、この案でけってーい」
ナツキがホワイトボードに書いた『順番に解明!』の文字の上に水性マーカーで花丸を添える。俺にはこれくらいしか考えられなかったのだが、とりあえずは今後の方針として決定した。それに伴い、作戦会議もお開きとなる。
そも、何をもって七不思議の解明とするかの定義は俺達自身にもよくわかっていない。知らない誰かの黒歴史ノートを魔竜と呼んで文芸部室に封印しているのか、はたまた本当に魔竜が封印されているのかなんてさっぱりだ。ただ、この七不思議が創られた理由というのは確かに存在しているはずであり、その根拠となった事象を確認することが、解明なのかなと俺は勝手に思っていたりする。
作戦会議にかけた時間は十数分程。まだまだ夏真っ盛りの今日の太陽は、沈む兆しを一向に見せない。それに部活動の終了時間にはまだ早い。皆もまだ帰るつもりはないのか、部室内でだらけている。
ホワイトボードを片付けたナツキがパイプ椅子を持ってきて俺達の対面に座る。端から見ると一対四であまりにも勢力差が激しいので、なんとなく俺がナツキの隣にパイプ椅子を持ってきて腰掛けた。
べたりと長机に張り付く見慣れたポーズを取るフユカが、しみじみとした口調で言葉を漏らす。
「それにしても、高校生って早いですね…」
「そうだねぇー早いねぇー」
「入学してからもう3ヶ月経ったなんて、ちょっと信じられないかも」
「この調子じゃ卒業まであっという間だよね」
皆の会話を聴き流しながら、俺は窓の外へと視線を向けた。部室棟の対面と左手側には校舎が見える。右手側には、あまり大きなサイズではない体育館。L字型の校舎と長方形の部室棟、それに体育館を真上から見るとカタカナのロの形に見えることだろう。その囲いの真ん中には中庭があり、名前を知らない樹木と鮮やかなヒマワリで彩られた花壇があった。
この景色も、もう見慣れたものである。
なんだか感慨深い気持ちになって、天井を見上げた。
「青春って過ぎるの早いな」
俺の呟きに、部員全員がそれぞれ頷き返してくれる。
「だから早いとこ、七不思議を解明しなきゃいけませんね」
「もう一つの謎に3ヶ月かかってるし、このままじゃ卒業までには全部の不思議解明出来ないわよ」
「それじゃあこの部に入った意味もなくなるからね」
「それはちょっと、嫌かなぁー……」
フユカが体を起こして意気込みを新たに、ハルも少々焦りを感じている口調だった。アメの何でもない様な言葉に、ナツキがしょぼんと肩を軽く落とす。
そして俺達の言葉が重なった。
「「「「「青春が終わるまでに恋人が欲しい」」」」」
◆◆◆
日ノ宮学園七不思議。
一つ『池に眠る人魚』
二つ『体育館で笑う魔女』
三つ『文芸部室に封印された魔竜』
四つ『屋上で吠える人狼』
五つ『図書館に閉じ籠もる悪魔』
六つ『出入り口を見守る天使』
そして最後の七つ目━━━━『六つの不思議を解明した者は、永遠の愛と出会う』
俺達、日ノ宮学園文芸部の活動内容は七不思議の解明である。その本当の目的は、好奇心なんかではなく、七つ目の不思議『永遠の愛』と出会う為だ。文芸部に入部したのは、七不思議に直接的に関連している部活が文芸部しかなかったからだ。それは他の部員も皆同じ。
ここに集った五人は要するに、高校三年生という短い青春を有意義に過ごす為、恋人と出会いたいが為だけに七不思議を解明しようとしている、いわば━━━━
恋人がいない者達の集まりでもあるのだった。
ハルの呼びかけで、俺は思考を一時中断した。というより、いい案なんて思いついてすらいなかったので中断したのはどうでもいい考えだったのだが。と、まぁ意識を部室の皆に戻すと、全員が全員期待してない目で俺を見ていた。期待されても困るが、少しくらいは期待しろよ……。悲しくなったのでゴホンと咳払いで気持ちの切り替え。
そもそも論で考えた結果、一つの案しか俺は浮かんでいなかった。
「やっぱり、一つ目の不思議から解明していくしかないんじゃないか?3ヶ月、俺達なりにも必死にこの部室の不思議に向き合ってたわけだが一向に成果がない」
「真面目………?あの中二ごっこが……?」
いらん横槍を無視して俺は言葉を続けた。
「文芸部の七不思議は三つ目だ。セオリー通りに一つ目から順番に解明していけば自ずと『文芸部室に封印された魔竜』の解明も出来ると思う」
「まぁ一理ありですね」
「いいんじゃない。僕は賛成」
「シュウにしてはまともな案だったわね」
「なるほどー。じゃ、この案でけってーい」
ナツキがホワイトボードに書いた『順番に解明!』の文字の上に水性マーカーで花丸を添える。俺にはこれくらいしか考えられなかったのだが、とりあえずは今後の方針として決定した。それに伴い、作戦会議もお開きとなる。
そも、何をもって七不思議の解明とするかの定義は俺達自身にもよくわかっていない。知らない誰かの黒歴史ノートを魔竜と呼んで文芸部室に封印しているのか、はたまた本当に魔竜が封印されているのかなんてさっぱりだ。ただ、この七不思議が創られた理由というのは確かに存在しているはずであり、その根拠となった事象を確認することが、解明なのかなと俺は勝手に思っていたりする。
作戦会議にかけた時間は十数分程。まだまだ夏真っ盛りの今日の太陽は、沈む兆しを一向に見せない。それに部活動の終了時間にはまだ早い。皆もまだ帰るつもりはないのか、部室内でだらけている。
ホワイトボードを片付けたナツキがパイプ椅子を持ってきて俺達の対面に座る。端から見ると一対四であまりにも勢力差が激しいので、なんとなく俺がナツキの隣にパイプ椅子を持ってきて腰掛けた。
べたりと長机に張り付く見慣れたポーズを取るフユカが、しみじみとした口調で言葉を漏らす。
「それにしても、高校生って早いですね…」
「そうだねぇー早いねぇー」
「入学してからもう3ヶ月経ったなんて、ちょっと信じられないかも」
「この調子じゃ卒業まであっという間だよね」
皆の会話を聴き流しながら、俺は窓の外へと視線を向けた。部室棟の対面と左手側には校舎が見える。右手側には、あまり大きなサイズではない体育館。L字型の校舎と長方形の部室棟、それに体育館を真上から見るとカタカナのロの形に見えることだろう。その囲いの真ん中には中庭があり、名前を知らない樹木と鮮やかなヒマワリで彩られた花壇があった。
この景色も、もう見慣れたものである。
なんだか感慨深い気持ちになって、天井を見上げた。
「青春って過ぎるの早いな」
俺の呟きに、部員全員がそれぞれ頷き返してくれる。
「だから早いとこ、七不思議を解明しなきゃいけませんね」
「もう一つの謎に3ヶ月かかってるし、このままじゃ卒業までには全部の不思議解明出来ないわよ」
「それじゃあこの部に入った意味もなくなるからね」
「それはちょっと、嫌かなぁー……」
フユカが体を起こして意気込みを新たに、ハルも少々焦りを感じている口調だった。アメの何でもない様な言葉に、ナツキがしょぼんと肩を軽く落とす。
そして俺達の言葉が重なった。
「「「「「青春が終わるまでに恋人が欲しい」」」」」
◆◆◆
日ノ宮学園七不思議。
一つ『池に眠る人魚』
二つ『体育館で笑う魔女』
三つ『文芸部室に封印された魔竜』
四つ『屋上で吠える人狼』
五つ『図書館に閉じ籠もる悪魔』
六つ『出入り口を見守る天使』
そして最後の七つ目━━━━『六つの不思議を解明した者は、永遠の愛と出会う』
俺達、日ノ宮学園文芸部の活動内容は七不思議の解明である。その本当の目的は、好奇心なんかではなく、七つ目の不思議『永遠の愛』と出会う為だ。文芸部に入部したのは、七不思議に直接的に関連している部活が文芸部しかなかったからだ。それは他の部員も皆同じ。
ここに集った五人は要するに、高校三年生という短い青春を有意義に過ごす為、恋人と出会いたいが為だけに七不思議を解明しようとしている、いわば━━━━
恋人がいない者達の集まりでもあるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている
甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。
実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。
偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。
けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。
不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。
真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、
少し切なくて甘い青春ラブコメ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜
沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」
中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。
それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。
だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。
• 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。
• 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。
• 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。
• オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。
恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。
教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。
「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」
鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。
恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる