魔竜を封じる部室にて!!

秋月 銀

文字の大きさ
12 / 53
二章

その12 二つ目の不思議

しおりを挟む
 放課後。ホームルームが終わって、部室棟三階の一番端に陣取る部室へと足を運ぶ。文芸部と書かれた古びた看板、それを一瞥いちべつしてから部室の扉へと手をかける。さぁ今日も不思議解明を頑張るとするかね!

 スライド型の扉を開けるとそこに広がっていたのは━━━━


 「オラッオラッ、ここがいいんですか!そんな声あげちゃって、はしたないですよ!」
 「あっ、あっ、そ…そこ、効くーー!」


 女子が女子を踏みつけるという、なんともカオスな光景だった。

 一もニもなく扉を閉める。

 一体何だったんだ今のは。もしかして俺は疲れているのか?最近夜遅くまで恋愛アドベンチャーやってたしな。疲れ目になっているのかもしれない。目頭を右手で軽く抑えた。よし、もう大丈夫。

 軽く深呼吸して、もう一度扉に手をかけた。スライド型の扉はガタガタと音を立てて開かれ、


 「ふふふ、どこがいいんですか?その口で言ってみてくださいよ……」
 「あ、あひゅ…しぇ、しぇなかぁ……」


 今度は女子が女子に馬乗りになっていた。もう俺は駄目かもしれない。

 思わず泣きそうな目になると、馬乗りされている方の女子とバッチリ目があってしまった。驚きで固まる女子。俺は会釈だけして部室を離れようと扉を閉めたのだが、閉める直前に万力のような手が扉の間に差し込まれた。

 ぜぇぜぇと荒い息のハルがこちらをギロリと睨みつけていた。呼吸が荒いのは、急いで扉をこじ開けたからなのか、踏まれたり馬乗りされていたからなのかは、俺には分からない。

 「シュウ……ちょっとあんた何か勘違いしてない…?」
 「わかってる。お楽しみの所、申し訳なかったな」
 「違うから!」
 「本当に申し訳ない。……でも、俺はそういうのに理解ある方だと思うから。だから、これからも俺達の関係は変わらないから」
 「だから違うって!楽しんでなんかない!!」

 厳つい表情のハルに、俺は心底済まないという感情を浮かべて謝罪する。わかっていると言っているのにハルは怒りと焦りが混ざった表情を崩さない。

 すると今度は、部室の奥からすすり泣く様な呟きが聴こえてきた。

 「そ、そんな……ハルは楽しくなかったんですか」
 「あっ、いや…、フユカ?あのそういうことじゃなくてね」
 「あんなにも二人で激しく絡みあったのに!私とは遊びだったと言うんですね!!」
 「それじゃ失礼しまーす」
 「あああもう、面倒くさぁぁぁぁぁい!!」

 ハルの悲痛な叫びが部室にこだました。

◆◆◆

 しばらくして、アメとナツキがやって来て文芸部は全員が集合した。

 「シュウはその頬、大丈夫なのかい?」
 「大丈夫だ、問題ない」

 結局、俺はハルにビンタされた。俺に対して、暴力でオチをつけるのはいい加減やめて欲しい。そしてフユカはデコピンで済んでいた。解せぬ。

 先程の光景を思い出す。足で腰を踏んだり、馬乗りで指圧している光景を見て、マッサージと誰でもすぐにわかるだろう。俺だってわかっていて、わかったと何度も言ったのに信じてもらえていなかった。何故だ。悪ノリに走ったからか。うん、それしかないな。

 ナツキがまたどこからともなくホワイトボードを引っ張り出してくる。俺達も自然とナツキの対面に四人並んで座った。いつもの作戦会議の形だ。ナツキはポケットから取り出したマーカーで、ホワイトボードにキュッキュッと軽快に文字を書きつづる。そこには、『体育館で笑う魔女!!』と読みやすい字で書かれていた。

 ナツキが腰に手を当てて、不敵に笑う。

 「それじゃあ、二つ目の不思議も解明しようかー」

 こうして毎度お馴染みの作戦会議は幕を開けた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...