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五章
その35 足りない歯車は無理矢理にでも回りだす
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「………でも、これで本当に良かったのかなぁー」
三人だけになった文芸部室で、ナツキはそう呟く。
「良かったのですよ……。それとも、ナツキは私達と残ったことを後悔しているのですか…?」
「ううん、違うよー。私はただ文芸部でありたい、そう思ってるだけだからー」
「……?そう、なんですか?」
イマイチ納得しきれていないようで、フユカの言葉尻には疑問符が浮かんでいた。
今のナツキの言葉は、額面通り以外のニュアンスも含まれていたように感じた。だが、それをナツキに問うことはしなかった。ナツキ自身も、特に察して欲しいわけでもないのか文芸部室内を移動しだした。
そしてどこからともなく、いつものホワイトボードを持ってくる。
「作戦会議、するんだよねー?」
「………ああ」
確認の視線を向けてきたナツキに、頷きで返す。決心が鈍らないように、できるだけ強く頷いたつもりだ。彼らはもう、戻ってはこないだろうから。俺が、決定的な言葉を叩きつけてしまったから。だからと言って五人揃うまで七不思議解明を遅らせるわけにはいかない。
今はこの三人が、文芸部なのだから。
俺の返答を見たナツキも軽く頷いた後、ホワイトボードにマーカーを用いて文字を記入していく。
フユカがパイプ椅子に腰掛けて、その隣に俺も座った。
そうして始まる。作戦会議が始まる。
欠けた歯車の隙間を虚勢で無理矢理埋め込んで、数の足りない歯車を無理矢理回し始める。
心のどこかに、ぽっかりと大きな穴が空いたような感覚だった。
それでも回す。歯車を回す。
その空いた穴から目を反らして、歯車を回す。
◆◆◆
始業式のあの日から、既に二週間近く経過しようとしていた。
その間も勿論、アメとハルの二人が文芸部室に訪れることなどなかった。学校生活ですら、二人を見かけることはなかった。
それでも二人の話は良く耳に入ってはきていた。
隣のクラスの美少女だの、隣の隣のクラスのカップルだの。まぁ話題は挙げ続ければきりがない。噂が耳に入るたび、俺は彼と彼女との違いを実感せざるを得なかった。
だが、そんな大量の噂とは裏腹に、本人に出くわす機会は全くと言っていいほど存在していなかった。おそらく、避けられているのだろう。それだけのことを俺はしたし、それをおかしいとは思わない。
ただ、今更ながらに不思議に思っていた。
アメとハルと過ごしていた文芸部での日々を。本当にあれは実際にあった出来事だったのであろうか、と。人気者も日陰者も関係なく集って繋がっていた文芸部という場所の存在が、不思議に思えてきた。
「………………………」
ガヤガヤと騒がしい喧騒に包まれた放課後の教室。
俺のクラスには、文芸部員はいない。文芸部は全員が全員違うクラスだからだ。
俺は帰り支度を整えて、正鞄を持って教室を後にした。
今日の文芸部の活動は、再びの作戦会議である。五つ目の不思議は、つい先日に解明を終えた。見つかった文字は『だ』。未だに文字が何を示しているのか、想像もあまりできないがそれももうすぐ終わる。
今日は六つ目の不思議を解明するための作戦会議だ。それさえ解明してしまえば、七不思議はもう終わったも同然だ。
後は、俺達が『永遠の愛』と出会うだけ。
俺は文芸部室へと歩みを進めた。
三人だけになった文芸部室で、ナツキはそう呟く。
「良かったのですよ……。それとも、ナツキは私達と残ったことを後悔しているのですか…?」
「ううん、違うよー。私はただ文芸部でありたい、そう思ってるだけだからー」
「……?そう、なんですか?」
イマイチ納得しきれていないようで、フユカの言葉尻には疑問符が浮かんでいた。
今のナツキの言葉は、額面通り以外のニュアンスも含まれていたように感じた。だが、それをナツキに問うことはしなかった。ナツキ自身も、特に察して欲しいわけでもないのか文芸部室内を移動しだした。
そしてどこからともなく、いつものホワイトボードを持ってくる。
「作戦会議、するんだよねー?」
「………ああ」
確認の視線を向けてきたナツキに、頷きで返す。決心が鈍らないように、できるだけ強く頷いたつもりだ。彼らはもう、戻ってはこないだろうから。俺が、決定的な言葉を叩きつけてしまったから。だからと言って五人揃うまで七不思議解明を遅らせるわけにはいかない。
今はこの三人が、文芸部なのだから。
俺の返答を見たナツキも軽く頷いた後、ホワイトボードにマーカーを用いて文字を記入していく。
フユカがパイプ椅子に腰掛けて、その隣に俺も座った。
そうして始まる。作戦会議が始まる。
欠けた歯車の隙間を虚勢で無理矢理埋め込んで、数の足りない歯車を無理矢理回し始める。
心のどこかに、ぽっかりと大きな穴が空いたような感覚だった。
それでも回す。歯車を回す。
その空いた穴から目を反らして、歯車を回す。
◆◆◆
始業式のあの日から、既に二週間近く経過しようとしていた。
その間も勿論、アメとハルの二人が文芸部室に訪れることなどなかった。学校生活ですら、二人を見かけることはなかった。
それでも二人の話は良く耳に入ってはきていた。
隣のクラスの美少女だの、隣の隣のクラスのカップルだの。まぁ話題は挙げ続ければきりがない。噂が耳に入るたび、俺は彼と彼女との違いを実感せざるを得なかった。
だが、そんな大量の噂とは裏腹に、本人に出くわす機会は全くと言っていいほど存在していなかった。おそらく、避けられているのだろう。それだけのことを俺はしたし、それをおかしいとは思わない。
ただ、今更ながらに不思議に思っていた。
アメとハルと過ごしていた文芸部での日々を。本当にあれは実際にあった出来事だったのであろうか、と。人気者も日陰者も関係なく集って繋がっていた文芸部という場所の存在が、不思議に思えてきた。
「………………………」
ガヤガヤと騒がしい喧騒に包まれた放課後の教室。
俺のクラスには、文芸部員はいない。文芸部は全員が全員違うクラスだからだ。
俺は帰り支度を整えて、正鞄を持って教室を後にした。
今日の文芸部の活動は、再びの作戦会議である。五つ目の不思議は、つい先日に解明を終えた。見つかった文字は『だ』。未だに文字が何を示しているのか、想像もあまりできないがそれももうすぐ終わる。
今日は六つ目の不思議を解明するための作戦会議だ。それさえ解明してしまえば、七不思議はもう終わったも同然だ。
後は、俺達が『永遠の愛』と出会うだけ。
俺は文芸部室へと歩みを進めた。
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