焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

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プロローグ

8話 トラウマを抱える新メイド

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翌朝…
智登は流卵と共に警察の元へと向かった。
予想外の事が起こるとは知らず…

「すみません。ちょっといいですか?」
警察の所に来た二人。
事情を話す、智登。
その横で、何故か流卵は怯えていた。
話をしている間、流卵は智登の服を握り、離しはしなかった。

「すみません…星野さんは居ますか?」
警察の人の態度が怖いのだろうとよんだ智登は知り合いの警察官を呼んだ。
星野は優しい人だから大丈夫だろうと思った。
「そっか…大変だったね。」
事情を聞いた星野は自分の事のように悲しんだ。
優しい口調で話す星野。
それでも流卵の様子は変わらなかった。

「その子は一旦こちらで引き取ることになるけど…」
と、星野が言った瞬間だった。
「行きたくないです…!!」
「え…?」
何故か彼女は警察の元へと行くのを拒んだ。
それどころか、智登の服を掴む力が強くなっていた。
「どうして?」
率直に智登が尋ねる。
「昨日、似たような服装の人にずっと追いかけられてたんです…!怖いんです…!」
智登と星野は顔を合わせ、察した。
彼女は昨日一人で道をさ迷っていた。
警察の一人や二人は彼女に目をつけるだろう。
一人していると子供は危ないので、警察も必死になったのだろう。
それが逆効果だったのか…かえって流卵には恐怖となってしまった。

「彼女がそうしたいっていうなら、そうしよう。」
「じゃぁ…養護施設とか…?」
「……」
提案をするも、流卵はうつむいたままだった。

「…事情は分かった。…後の事は二人で考えた方が良さそうだね。」
「すみません、ありがとうございました。」
二人は警察を後にした。

外に出て、流卵は智登の手を離した。
「私、なんでもしますから、貴方の家に住まわせてください!」
彼女は智登に向かって深く頭を下げた。
これには智登も驚き、固まってしまった。
「…いや…ちょっとなぁ…」
智登は反対した。
「こうみえても、家事とか得意なんですっ!」
しかし、流卵は諦めなかった。
流卵の言葉に智登もちょっと気がゆるんだ。
智登は、母親が忙しく家事をしているのを思い出した。
仕事もあるのに、家事もして、毎日の夜は死んだように寝ている。
しかし…
「僕は、君には君の思うまま生きてほしいんだけど…」
家の家事をしたりするなら、自分の時間が無くなる。
若いのにもったいない。
そう考える智登は返答を変えなかった。
流卵の返答は、予想を遥か斜め上にいった。
「これが私の思うままの人生であれば…!?」
「えっ…?」
その答えに戸惑う智登。
「私は貴方に、生命だけでなく、精神的にも救われました。全て貴方のおかげです。だからこそ、貴方にこの命を捧げたいのです!」
さらに押してくる流卵。
笑い事のようにも見えたが…やはり本気である。
(僕はそのために君を助けたんじゃない。)
そういいかけた智登、
だが、不意に星野の言葉を思い出した。
『彼女がそうしたいっていうなら、そうしよう。』
相手の気持ちを優先させるのもまた一つの常識である。
「分かった。」
そのたった一言で、流卵の表情はガラッと変わった。
「…ありがとうございます智登様!いえ、ご主人様!」
「…そういう感じなの?」
「そういう感じなのです!」

そんなこんながあって、今の形となった…
しかも流卵は智登と同じ学校に進学予定で手続きも終わっていたそうだ。

こうして、現役高校生のメイドを連れた生徒という形が完成した。
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