焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

文字の大きさ
18 / 46
1章 合同球技大会

16話 化け物の居る悪魔のチーム

しおりを挟む
「お疲れ様ー」
模子は一試合終えた二人の元へ向かった。
「オッスロッコちゃん!」
「お疲れー」
菜羅はもちろん嬉しそうだった。
智登は…表情が分からずよくわからない。

「見たか!?見たか!?俺等の試合!」
「うん…見たよ。」
「いや見てなかったら来ていないでしょ。」
興奮気味の菜羅。
「えへへっ…おめでとっ菜羅君!」
「おうっ!!」
でも、本当に嬉しそうだったため、なんだか模子も嬉しくなった。

「おーい、まだ一試合目だぞー。」
「おっ、そっか。すぐ試合か!じゃ行ってくる!」
智登につっこまれて菜羅はそのまま二試合目へと向かった。

「えーっと…残念だったね、智登君。」
菜羅がいなくなったところで智登に情けをかけた。
「一試合目で負ける予定が熱くなってしまってね。まっ、結果オーライ?」
「そ…そう。」
あまりどころか全く悔しそうじゃない智登。

「そいじゃ流卵とこの試合見に行っか。」
「そだねー」
智登の様子がよくわからぬまま、二人はバレーの試合を見に行った。

… … …

「うわぁ……」
二人同時に声をもらした。

二人の目にうつったもの。
「そぉいっ!」
流卵がブロック二人を倒す勢いでシュートを打っている所だった。
始まったばかりであるはずなのに、点数がおかしい。
梨山高校0ー林檎台学園19
「開始15分で1セット目終わるぞ…?」
「流卵すご…」
その状況に目を疑う二人。

それだけではなかった。
相手のシュート、しかも誰もいないところにあててきた。
「これは取られたな…」
と思った時だった。

ポンッ…

なんと、秋花がボールをあげた。
しかも、とても味方の取りやすい位置にそのボールは向かった。
「守備もかたいのか…」
鉄壁の守り、秋花がどんなボールも見逃さない。
だが、そう関心している暇もない。

「流卵ちゃんっ!」
「まかせてー!」

見方のあげたトスに向かう流卵。
シュートを打とうとするが、ブロックが何重にも重なる。
察した流卵は微妙にボールを打つ角度を変えてシュート。
アウトにもならず、入る。
そしてまた、林檎台学園に1点追加される。

「何このチーム…化け物…?」
「違う…これは悪魔だ…」
林檎台学園の二人を見る智登と模子。
もはや人間のチームじゃなかったらしい。

その後…どうしようもないミス以外、林檎台学園は点を譲らなかった。
結果は当然、完全勝利。
ランクを言うとしたら、(ド)Sランクだろう。

バレーは試合が長引くため、かなり時間を使うが…
試合終了、かかった時間は30分近く。休憩時間が1時間。
試合より長い休憩となった。

「お疲れ化け物。」
「お疲れ悪魔。」
「散々な言われようね…」
思わず二人はさっき言った言葉を言ってしまった。
意味を理解して苦笑いの秋花。

「それにしても相手の方々皆私の方見てきて怖かったんですけど…」
一気に視線を集められた流卵は不思議に思ったが…
「そりゃ悪魔アタッカーにゃ目をつけるだろ。」
「誰が悪魔ですかっ…!」
悪魔かどうかはともかく、強いアタッカーには目がいくだろう。
視線を浴びるのも無理もない。

「一応、次も頑張れよ。」
「もちろんです!」
流卵は気合いをもらい、次の試合に向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

やさしいキスの見つけ方

神室さち
恋愛
 諸々の事情から、天涯孤独の高校一年生、完璧な優等生である渡辺夏清(わたなべかすみ)は日々の糧を得るために年齢を偽って某所風俗店でバイトをしながら暮らしていた。  そこへ、現れたのは、天敵に近い存在の数学教師にしてクラス担任、井名里礼良(いなりあきら)。  辞めろ辞めないの押し問答の末に、井名里が持ち出した賭けとは?果たして夏清は平穏な日常を取り戻すことができるのか!?  何て言ってても、どこかにある幸せの結末を求めて突っ走ります。  こちらは2001年初出の自サイトに掲載していた小説です。完結済み。サイト閉鎖に伴い移行。若干の加筆修正は入りますがほぼそのままにしようと思っています。20年近く前に書いた作品なのでいろいろ文明の利器が古かったり常識が若干、今と異なったりしています。 20年くらい前の女子高生はこんな感じだったのかー くらいの視点で見ていただければ幸いです。今はこんなの通用しない! と思われる点も多々あるとは思いますが、大筋の変更はしない予定です。 フィクションなので。 多少不愉快な表現等ありますが、ネタバレになる事前の注意は行いません。この表現ついていけない…と思ったらそっとタグを閉じていただけると幸いです。 当時、だいぶ未来の話として書いていた部分がすでに現代なんで…そのあたりはもしかしたら現代に即した感じになるかもしれない。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

処理中です...