焼きたてフィーリング

１章 合同球技大会

１７話 清々しく終われない球技大会

ピーッ！

試合終了のホイッスルが鳴り響き渡った。
「わーいっ！」

「やりやがったな…」
化け物を見るような目でコートを見る智登。
後ろの得点…梨山高校-林檎台学園、2-25。
流卵、秋花のいる林檎台学園チームの優勝。圧勝であった。

「よぉっしゃー！！」

「…良かったっ。」
また別のコートでも試合が終わった。
その様子を見て、模子は安心している。
梨山高校のコートに1人、林檎台学園のコートに0人のドッジボールコート。
菜羅のいる梨山高校が優勝をとった…

「どっちもほぼ圧勝ってところだな。」
「お疲れ様～！」
菜羅と秋花、流卵が智登達の元へと来た。
「ふぅ～、やっぱゴリランが居て助かったわ。」
「酷くないですか秋花様！？」
流卵の肩に手を乗せた秋花。
化け物並みの流卵の能力に秋花も恐怖を覚えたそうだ。
「…まぁ良かったよ、ゴリっ…流卵！」
「模子ーーーーー！！！」
流れのせいか、模子も秋花の言った異名を言いそうになった。
友人に言われるとは思わなかった流卵は叫んでしまった。
「まぁまぁ落ち着けゴリラ。」
「ご主人様、せめて直で言わないでくださいっ…！」
とうとう智登はそのまま言ってしまった。
「そこまでっ、可愛いお猿さんだっていいじゃない。以上。」
流石超ムードメーカー、話の流れを華麗に切った。
「菜羅君もお疲れー」
「応援ありがとなロッコちゃん！」
嬉しそうな菜羅と模子。

これで球技大会も終わり…

「あっ！」
模子がいきなり声を出した。
「どうしたの模子？」
「今から試合だ…」

球技大会はまだ終わりではない。
模子の出番がもうじき始まろうとしていた。
「それじゃ、行ってくるねー！」
「おっす！頑張れよー！」
模子は試合会場へ走っていった。
「あれ…？確かこの時間って…」
秋花は小声で何か言った。

「宜しくねっ、模子ちゃん。」
「あなたはっ…！？」

模子は対戦相手と交流した。
「あー、多々先輩か…」
「先輩と模子…ねぇ…」
「模子も先輩も運動オンチだったはずでしたが…」
「ロッコちゃんも多々さんもやばいよなぁ…」
4人はこの試合が不安でならなくなった。

試合スタート。
先制は多々。

「いくわよー！」
シュッ…
多々の落とした羽は見事に多々の振るラケットを交わした。

「行きますよー！」
模子に移りサーブ、
パシュッ…

当てたものの、ネットにっ引っ掛かる。

「見てなさい…！」
多々のサーブ、成功し、模子のコートへ行くが…
飛びすぎてアウトになった。

模子の番、サーブをうつ、
キーンッ…
羽はラケットの変な部分に当たり、妙な角度で飛んでいく。
多々のコートに入らなかった。

「これはひどい。」
智登は思わず声が出てしまった。

その後、二人の試合はサーブミスが多発、1セット目はほぼそれだけで模子が勝ってしまった。

「あの二人だけはやばいわね…」
球技大会は、運動オンチ二人の残念なバドミントンを見て、幕を閉じた。