焼きたてフィーリング

作者チョロまつ

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2章 訪問!紫躍財閥

18話 壊れた重要機器

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「ありがとうございましたー!」
最後のお客を見送り、今日の営業は終了した。

「今日は一段と多かったわね…」
いつもより来客が多く、疲れ気味の秋花。

「終わった?」
キッチンから智登が出てきた。
「終ったわよー」
「あー、そう。」
智登はちゃんと質問が返されたはずなのに肩を落としてまたキッチンへ戻った。

「どうしたのかしら…?」
秋花はキッチンへと向かった。

キッチンに行ってみると、智登がオーブンをいじっていた。
オーブンの後ろを見たり、コンセントを抜いたりはずしたりしている。
「どうしたの?」
気になって秋花は事情を聞いた。

「んー?電源が着かなくなった。」
無表情で全く感情が分からないが、パン屋のオーブンの電源が着かないのであれば一大事である。
「壊れたとか?」
「落ち着け、まだそう決めるのは早い。」
壊れてない事を願う智登はひたすらにオーブンをいじっている。
「…それ何年使ってるの?」
「ここに来る前だから…10年以上は経ってる。」
「はぁ…」
即答した智登の言葉にため息をついた秋花。
「そりゃそんだけ使っていれば壊れるわよ。」
10年以上、それだけ経っていればよく耐えてくれたと言ってもいいほどである。
「何の前触れも無かったんだけど…」
しかし智登は諦めてない。
「前触れ無く壊れる事もあるわ、実際うちもそんなことあったし。」
「えー」
いつもより智登のテンションが低く感じられた。
「どしよー」
ただ事のように言う智登、これでも大事を言っている。
オーブンが無ければ営業に支障が出る。
休むわけにもいかない。

なんとなく気持ちを理解した秋花はこう言った。
「なんなら買ってあげるけど?」
「ゑ…」
智登は大きく驚いた。
オーブンを買ってあげるの意味…
家にある小さなオーブンではない。
店のオーブン。

つまり…300万円以上あげるという事である。
「い…いや、いいよ。」
それを聞いた智登は当然断った。

「えっ…?あぁ…気にしないでいいのよ!ほら、あたし紫躍財閥の娘なのよ!」
「いや、それでも気にする。」
秋花はなぜか断ると思ってなかったので焦った。
とはいえども智登は意見を変えなかった。

「えぇっと…!その…!」
「…?」
昔から友達のいない秋花、コミュニケーション障害的なのが表に出てしまう。

「んあぁ!もうっ!買ってあげるって!というか買わせて!」
「どうした…?そこまでいうならいいけども…」
押しに押す秋花の押しに負けた智登。
秋花はよく分からないが顔が真っ赤になっていた。

「それじゃ、一旦あたしの家に来てよ。」
「へっ…?」
何気なく言った言葉に智登は目を丸くした。

「ちょっと待ってて……もしもし?あたし。車でここ来て。…うん、お願いねー。」
「いやこっちが待てだ。」
智登の了承を得ず話を進める秋花。
「そもそも、場所教えなくていいのか?」
「GPSあるから大丈夫でしょ。」
「GPS…?」
日常茶飯事的に物を言う秋花の心情を疑いたくなる智登。

キィィィィン。
店の外で音がした。

「ご主人様!?何かすごいの来たんですが!!??」
外で洗濯をしていた流卵が慌てて店に入ってきた。

流卵の開けた扉の横に見えたのは…

「リムジン…?リムジン!?」
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